今回は「運動用と締結用のねじ」についての記事です。
ねじは機械装置だけでなく世の中に存在するあらゆるものに使用されていて非常に身近な機械要素です。ねじと聞けば大抵の人が思い浮かべるねじは締結用の三角ねじだと思いますが、実はねじにはねじ山に種類があり、その特徴も様々です。
今回の記事では、ねじの種類やねじ山の形状、その特徴について基礎情報をまとめておこうと思います。
記事の目次
運動用と締結用のねじ
ねじと聞けば、すぐに頭に思い浮かぶのは「何かを固定するねじ」ではないでしょうか?
ところが、ねじには固定するねじと何かを移動させるねじがあり、この2つのねじは区分けされています。
ねじの区分け
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締結用のねじ
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運動用のねじ
「何かを固定するねじ」は締結用のねじとなり、「何かを移動させるねじ」は運動用のねじとなります。
締結用のねじ
締結用のねじとは、ねじを締付けることで軸力を発生させて別個の部材を連結させる目的で使用されるねじです。
締結用のねじの特徴
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ねじを締めこむとおねじとめねじのねじ山が食い込み合い、ねじが伸びる(軸力)ことで別個の部材を締結させる
締結用のねじの種類はコレです
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三角ねじ
締結用に使用されるねじはねじ山の断面が三角形の三角ねじ一択です。
運動用のねじ
運動用のねじとは、回転運動を直線運動へ変換し何かを移動させる目的で使用されるねじです。
運動用のねじの特徴
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ネジが回転するとナットが進む
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ナットが回転するとネジが進む
代表的な運動用のねじはコレです
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丸ねじ
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角ねじ
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台形ねじ
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ボールねじ
このようなねじは回転運動を直線運動に変換することを目的とした形状のねじになっており、それぞれの形状には違いがあるのでそれによって特徴にも違いがあります。
ねじ山の種類と特徴
締結用と運動用のねじには種類がありますので整理しておきます。
ねじ山の種類
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三角ねじ・・・ねじ山が三角形
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丸ねじ・・・ねじ山が丸形
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角ねじ・・・ねじ山が角型
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台形ねじ・・・ねじ山が台形
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ボールねじ・・・おねじとめねじにコロが内蔵されている
それでは、それぞれのねじ山の特徴について次項にまとめておきます。
三角形
三角形のねじ山のねじは三角ねじと呼ばれます。
使用用途
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締結用
特徴
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緩みにくい
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ねじ山が三角形
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ねじ山のピッチを小さくできるので摩擦面積が大きい
三角ねじ
丸形
丸形のねじ山のねじは丸ねじと呼ばれます。
使用用途
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運動用
特徴
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ねじ山が丸形
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異物が入りやすい部分に使用される
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ねじ山に角がないねじなので摩耗に強い
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ねじ山が破損する恐れのある薄板などに使用される
角形
角形のねじ山のねじは角ねじと呼ばれます。
使用用途
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運動用
特徴
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精度が低い
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ねじ山が角形
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ねじの加工精度が悪い
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万力などに使用される
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小さなモーメントで大きな伝達が出来る
台形
台形のねじ山のねじは台形ねじと呼ばれます。
使用用途
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運動用
特徴
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ねじ山が台形
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工作機械の送りねじなどに使用される
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軸方向の精度が良く、バックラッシュが少ない
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三角ねじより摩擦は低く、角ねじよりも摩擦は大きい
ボールねじ
ボールねじは、おねじとめねじにコロが内蔵されているねじです。
使用用途
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運動用
特徴
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繰り返し精度が高い
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摩擦抵抗が非常に少ない
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バックラッシュが非常に少ない
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精密な位置決めの移動ユニットに使用される
ねじ山の種類と特徴のポイントまとめ
それでは、ねじ山の種類と特徴ついて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ねじはねじ山の形状によって種類がありそれぞれに特徴がある
- 締結用のねじと運動用のねじがある
- 部品や部材の固定には締結用の三角ねじを使用する
以上3つのポイントです。
参考
*ねじの勉強にはこちらの本がおすすめです
関連記事:【締結要素】
以上です。