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エアシリンダがエア漏れによって落下したり、チャックしているワークを落としてしまう、、、こんなトラブルは、現場では「あるある」ですよね。
連続流動している時は発生しないんだけど、非常停止によって元圧エアーを開放したときや、装置を長時間停止させる場合に発生しますよね。
大抵の場合は、「クローズドセンタ(オールポートブロック)の電磁弁を使用する」「継手のねじ部にシールテープを追加してエア漏れ対策を行う」ことで解決します。
しかし、それでも「もう一段安心できる対策をしたい」「非常停止後や長時間停止後でも、できるだけ状態を維持したい」って考える場合には、パイロットチェック弁付きスピードコントローラを検討してみてください。
パイロットチェック弁付きスピードコントローラーとは
パイロットチェック弁付のスピコンとは
パイロットチェック弁付きスピードコントローラーとは、エアシリンダ(エアアクチュエータ)の速度調整をおこなうスピードコントローラー(スピコン)と、パイロットエアで開閉するチェック弁(逆止弁)が一体化した機器です。
参考
スピードコントローラー(スピコン)とは、流路の断面積を無段階に調整できるニードル弁と、一方向の流れのみを許容するチェック弁(逆止弁)を一体化させた機器です。
制御の方法については「エアシリンダの速度制御はメーターアウトが基本」の記事で解説しています。
出典:SMC パイロットチェック弁付き スピードコントローラー
エアシリンダ(エアアクチュエータ)のトラブルには、エアー圧の消失による「上下動作で自重落下する」「チャック機構では、把持力を失いワークが落下する」「位置決め機構では、停止位置がずれてしまう」などがありますが、このようなトラブル対策として使用されます。
特徴・仕組み・注意点
特徴
パイロットチェック弁付きスピードコントローラーの特徴をまとめてみます。
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逆止弁を使用した構造により、シリンダ内の残圧を保持することができる
*落下防止の目的で使用する場合は、シリンダの下側にパイロットチェック弁付きスピードコントローラーを1つ入れればOKです。上側には入れる必要はありません。
出典:SMC パイロットチェック弁付き スピードコントローラー
残圧排気機能付と残圧排気機能なしの2種類があります。
パイロットチェック弁付きスピードコントローラは、逆止弁(チェック弁)を用いた構造により、パイロットエアが供給されていない状態では、シリンダ内の残圧を封じ込めて保持することができます。つまり、エアー圧の消失による「上下動作で自重落下する」「チャック機構では、把持力を失いワークが落下する」「位置決め機構では、停止位置がずれてしまう」と言ったトラブルの対策に有効です。
この点において、パイロットチェック弁付きスピードコントローラはパーフェクトブロックと同様の効果を持っており、「シリンダ内の残圧を保持する」という機能そのものに差異はありません。
では、両者の違いは何かというと、機能の違いではなく、回路における「取付位置の違い」とそれに伴う「エア漏れリスクの大きさ」にあります。
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パーフェクトブロックは「電磁弁⇒エア配管⇒パーフェクトブロック⇒エア配管⇒エアリンダ」
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パイロットチェック弁付きスピードコントローラーは「電磁弁⇒エア配管⇒パイロットチェック弁付きスピードコントローラ⇒エアシリンダ」
このように、パイロットチェック弁付きスピードコントローラは、シリンダのポートに直接取り付けて使用ができるため、パーフェクトブロックよりも、配管点数を減らせるので、回路がコンパクトでエア漏れリスクが低くなるメリットがあります。
仕組み
パイロットチェック弁付きスピードコントローラーの流路の仕組みはコレ
- 供給エアーは、パイロットエアの供給あり・なしに無関係にチェック弁を押し広げてシリンダ内へ自由に流れる
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パイロットエアが供給されていない状態では、チェック弁が閉じているので、シリンダ内の残圧は排気されない
- パイロットエアが供給されると、チェック弁が開き、シリンダからの排気エアーがスピードコントローラを通って排出される
パイロットチェック弁付きスピードコントローラー
供給エアーは、チェック弁を開く方向へ流れるので、パイロットエアの供給あり・なし、に無関係にシリンダに供給されます。

パイロットチェック弁付きスピードコントローラー
パイロットエアの供給なしの場合は、チェック弁が開かないので、排気エアーは排気されません

パイロットチェック弁付きスピードコントローラー
パイロットエアの供給ありの場合は、チェック弁が開くので、排気エアーはニードル弁を通り、排気されます。

パイロットエアの供給方法は、シリンダを動作させる電磁弁の供給側配管から分岐させるのが一般的な回路構成です。具体的には、「シリンダへ供給を行う側の配管」から分岐し、反対側の「パイロットチェック弁付きスピードコントローラーのパイロットポート」へ接続します。
*その他の制御方法については、SMCの取扱説明書で確認してみてください。
注意点
パイロットチェック弁付きスピードコントローラーを扱う上で、知っておかなければならない注意点があります。
注意点
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スピコンのねじ部からのエア漏れに対しては残圧の保持はきない
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シリンダのロッドパッキンからのエア漏れに対しては残圧の保持はきない
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5ポート3位置ABR接続(エキゾーストセンタ)を使用することが基本
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残圧開放バルブを取付けないと、スピコンを外さない限り残圧を開放できない
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パイロットエアの回路にニードル弁を入れて開閉タイミングを調整することはできない
上記の中でも特に覚えておきたい事は、電磁弁の選定と残圧開放についてです。
電磁弁は5ポート3位置ABR接続(エキゾーストセンタ)でなければならない
シリンダの残圧を保持する方法で、最も一般的な方法は、5ポート3位置オールポートブロック(クローズドセンタ)を使用する方法ですが、パイロットチェック弁付きスピードコントローラーを使用するのであれば、5ポート3位置ABR接続(エキゾーストセンタ)を使用しなければなりません。
これは、パイロットエアをシリンダ動作用の電磁弁供給側から分岐させている場合、5ポート3位置オールポートブロック(クローズドセンタ)や5ポート3位置PAB接続(プレッシャセンタ)を使用すると、電磁弁が中立位置になった際にパイロット配管内に残圧が閉じ込められてしまうからです。
つまり、パイロットに残圧が掛かった状態ではチェック弁が「開」のまま保持されるため、シリンダ内のエアーを封じ込めるという本来の機能が全く働かなくなるわけです。
残圧開放バルブを取付けないと残圧を開放できない
パイロットチェック弁付きスピードコントローラーによってシリンダ内の残圧を保持している状態は、スピードコントローラーのワンタッチ継手部分からエアーホースを抜くことはできますが、シリンダ内の残圧を開放させることはできません。
シリンダ内の残圧を抜くのであれば、パイロットエアを仮配管で供給してチェック弁を開くか、パイロットチェック弁付きスピードコントローラーをねじ込み部から取り外す必要があります。
そのため、できれば残圧排気機能付きのパイロットチェック弁付きスピードコントローラーを使用することをお勧めします。
ポイントまとめ
それでは、パイロットチェック弁付きスピードコントローラーについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- パイロットチェック弁付きスピードコントローラーは、スピコンにパイロットエアで開閉するチェック弁(逆止弁)が一体化した機器
- エアー圧の消失による「上下動作で自重落下する」「チャック機構では、把持力を失いワークが落下する」「位置決め機構では、停止位置がずれてしまう」などの対策に有効
- パイロットエアの供給ありでは「シリンダの残圧は排気される」、供給なしでは「シリンダの残圧は排気されない」
- 使用する電磁弁は、電磁弁は5ポート3位置ABR接続(エキゾーストセンタ)でなければならない
以上4つのポイントです。
*エアーホースを直角にカットするために必要なカッターです
*シールテープの購入はこちらから
参考
*パーフェクトブロックについてはこちらの記事で紹介しています
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パーフェクトブロックとは気密を保つ機器【特徴と仕組みと注意点】
続きを見る
*シリンダの飛び出し現象についてはこちらの記事で紹介しています
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メーターイン制御とメータアウト制御の調整方法【エアシリンダの飛び出し対策】
続きを見る
関連記事:【空気圧/油圧】
以上です。


