軸の溝加工不要なお手軽止め輪
分解も再使用もできない止め輪
止め輪と言うと、スナップリングに代表される円形の抜け止めズレ止めの部品ですが、実際のところ止め輪の種類はかなり多く、スナップリングと違い破壊しないと分解できない止め輪もあります。
破壊しないと分解できない止め輪はコレ
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溝加工不要のスラスト方向取付けタイプの止め輪
出典:オチアイ スラスト方向取付けタイプ
このタイプの止め輪は、溝なしの相手部品に圧入すると、止め輪の爪が食い込むので挿入方向には抜けなくなります。ただ、硬度が高い表面処理であったり、滑りやすい部品には食い込み力が低下するので、止め輪がズレる可能性もあります。
主な使用目的は、抜け防止、ズレ防止、落下防止、などです。
軸の溝加工不要の止め輪の特徴
軸の溝加工不要の止め輪の特徴をまとめます
- 安価
- 再使用不可
- 取付けが簡単
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軸用と穴用がある
- 破壊しないと分解できない
- 軸は樹脂でも金属でも施工可能
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許容できるスラスト荷重の大きさによって種類がある
簡単で安価な止め輪として、主に定期的なメンテナンスが不要な部分に使用されます。私が知りうる限りだと、車の外装、内装部品や家電製品です。
止め輪の種類とスラスト許容荷重
溝加工なしで使用できる止め輪の種類はたくさんありますが、今回ご紹介するのは4種類です。
軸用の溝加工不要の止め輪
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CS形止め輪
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プッシュナット
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丸形スピードナット
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フラットプッシュナット
止め輪の種類
全て5mmの軸用の止め輪です
プッシュナットは、溝加工なしで使用できる止め輪の「スタンダードタイプ」です。その他の止め輪は、プッシュナットを基本とし、用途に応じた特徴を持たしています。
丸形スピードナットは、プッシュナットよりもスラスト荷重は低いですが、長い爪が軸挿入時の芯ずれのガイド役目になる特徴があります。
CS形止め輪は、スラスト荷重が低いので軸に傷をつけるリスクが少ない止め輪です。
フラットプッシュナットは、挿入するときに爪が曲がる仕組みで、挿入前は爪が平なので表と裏の向きがない特徴がありますが、その反面、爪が軸の案内にはならず、軸挿入の安定性がありません。そのため、爪と爪の間の溝をガイドの代わりとして使うことができます。
軸に止め輪を取付けた状態
全て5mmの軸用ですが、ご覧の通り「外径」「爪の数」「爪の大きさ」「爪の形」に違いがあますね。それによって、許容できるスラスト荷重にも違いがあります。
許容できるスラスト荷重の違い
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プッシュナット > 丸形スピードナット、フラットプッシュナット > CS形止め輪
スラスト荷重が大きいほど、止め輪を挿入しにくく抜けにくいってことになります。
ポイントまとめ
それでは、軸の溝加工不要の止め輪について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 許容できるスラスト荷重は種類によって違う
- 爪が軸に食い込むので止め輪を破壊しないと分解できない
- 種類によって「外径」「爪の数」「爪の大きさ」「爪の形」の違いがあり、特徴に応じて使い分ける
以上3つのポイントです。
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以上です。