今回は「ワンウェイクラッチやカムクラッチとは/回転方向と潤滑剤には注意」についての記事です。
ワンウェイクラッチは一方向にしか動力伝達しない部品ですが、見た目はベアリングに似ているので組付け間違いが起きてしまうことがあります。私の場合、ワンウェイクラッチを使用する頻度は年に1回程度なので、触れる頻度が少なく組付けるたびに「これってどうだったかな?」と一瞬混乱しています。
そこで今回の記事では、ワンウェイクラッチとはなんなのか?構造から注意点までをまとめておこうと思います。
記事の目次
ワンウェイクラッチやカムクラッチとは
回転方向に制限があるワンウェイクラッチ
ワンウェイクラッチやカムクラッチと呼ばれる部品は、回転方向を規制して動力が一方向のみにしか伝達しない(回転しな)クラッチ機構の部品です。
*以下ワンウェイクラッチと表記します。
簡単に説明しますと、、、
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右回転は動力伝達するけど、左回転は空転する
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左回転は動力伝達するけど、右回転は空転する
このようなことになります。
構造
ワンウェイクラッチの構造ですが、下記の資料をご覧ください
出典:NTN ワンウェイクラッチ
上記のNTNのワンウェイクラッチの場合は、、、
*クラッチがかみ合うとき(動力伝達するとき)
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外輪が反時計回り または 内輪が時計周り の力が働いたときにバネの作用でローラーがカム面にかみ合うため空転せずに同調して回転する
*クラッチがかみ合わないとき(動力伝達しないとき)
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外輪が時計回り または 内輪が反時計周り の力が働いたときにローラーはカム面のにかみ合わないので動力は伝達されず空転する
このようなイメージとなります。
椿本チエインのカムクラッチの構造と作用については下記をご覧ください。
出典:椿本チエイン カムクラッチ
*空転(クラッチ解放)・・・外輪(または内輪)を黒矢印の方向に回すと、AB のつっかい棒(カム)は内外輪に対してはずれる方向になります。したがって、外輪(または内輪)は黒矢印方向に自由に回転し、内輪(または外輪)には回転を伝えません。この状態を“空転”と言います。
*かみ合い(クラッチ連結)・・・外輪(または内輪)を白矢印の方向に回すと、AB のつっかい棒(カム)は瞬時に A・B 点で内外輪とかみ合います。外輪・カム・内輪は一体となって(連結状態)駆動機側から被動機側へ動力を伝達します。この状態を“かみ合い”と言います。内外輪の軌道面上に多数配列されているカムは、スプリングの作用によって瞬時に均等な荷重分担でかみ合うことになります。
メーカーによっていろいろな構造がありますが、空転する方向と、空転しない(動力伝達)方向の2通りがあることに違いはありません。
使用用途
ワンウェイクラッチを使用する目的にはどのようことがあるでしょうか?
目的
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間欠送り・・・回転運動や直線運動を一定周期で動力伝達する
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逆転防止・・・一定方向のみにしか動力伝達したくないとき
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回転差が起きないように・・・速度差によって故障が起きないように
このような目的で使用されており、機械装置だけでなく私たちの身近なところでも使用されています。
例えば、こんなところに使用されています
- コンベアの駆動と従動
- バルブの周期開閉
- 昇降装置
- 自転車のペダルとタイヤ
- リール(巻き取り機)
- エンジンのセルモータ(スターター)
結構いろいろな機構に使用されているんですよね。
回転方向と潤滑剤には注意が必要
回転方向
ワンウェイクラッチは、一見すると普通のベアリングと見分けがつかずに、特に気にせずに組付けてしまうことがあります。
しかし、ワンウェイクラッチには前項で紹介したような特徴があるので、組付ける時には注意が必要です。
注意点
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回転方向の向きを確認して組付ける
ワンウェイクラッチには、空転する方向と空転しない方向(動力伝達)があるので、使用する機構の回転方向をよく確認して組付けましょう。
ワンウェイクラッチが「表側なのか?」「裏側なのか?」によって回転方向が逆になってしまいます。
オイルやグリース給油の注意点
ワンウェイクラッチに使用するオイルやグリースには注意が必要です。
注意点
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極圧添加剤入りのオイルやグリスは使用しない
極圧添加剤は減摩作用があるので滑りやすくなります。そのため、極圧添加剤が入っているオイルやグリースを潤滑に使用すると、クラッチのロックがスリップして空転してしまう恐れがあるのです。
基本的には指定されたオイル、グリースの場合はリチウムグリースを使用しましょう。
参考
*極圧添加剤についてはこちらの記事をご覧ください
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極圧添加剤を潤滑剤に添加して摩耗や焼き付きを防止する
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ワンウェイクラッチのポイントのまとめ
それでは、ワンウェイクラッチについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- ワンウェイクラッチは動力が一方向のみにしか伝達しない部品
- 使用目的は、間欠送り、逆転防止、回転差が起きないように、などです。
- 組付ける時には、回転方向に注意する
- 潤滑剤には極圧添加剤を使用しない
以上4つのポイントが大切です。
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関連記事:【回転運動の要素】
以上です。