当ページのリンクには広告が含まれます

【センサ/電子機器 】

リニアエンコーダの取付けと精度【リニアスケールは高精度】

2020年6月12日

 

今回は「リニアエンコーダ(リニアスケール)の取付けと精度」についての記事です。

リニアエンコーダは高精度な位置決めが必要な場合に使用されることがあります。私の場合は機械装置業界で10年以上組立をしていますが、リニアエンコーダを扱ったのは3回しかなく、扱ったことがない人も多いのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、リニアエンコーダについて私の覚書も兼ね紹介しようと思います。

 

リニアエンコーダ(リニアスケール)の取付けと精度

リニアエンコーダ(リニアスケール)とは

リニアとは直線、エンコーダとは位置を検出する機器のことで、リニアエンコーダとは直線上の位置検出ができるセンサです。

高精度な位置制御が可能となるので主に工作機械などに使用されています。

 

位置情報の検出方法は光学式(光量変化を検出)と磁気式(電磁誘導の変位量を検出)があり、それぞれ絶対位置測定を行うアブソリュート式と、相対位置測定のインクリメント式があります。

 

*リニアエンコーダは別名リニアスケールとも呼ばれています。

リニアエンコーダ

リニアエンコーダ

 

リニアエンコーダーの取付け注意点

リニアエンコーダの取付けで注意したいことは下記の2項目です。

  • スケールの貼り付け方法
  • 取付け精度

私が特に重要視しているのは取付け精度です。取付け精度を規定値で取付けたいのですが、装置の構造(部品の形状やレイアウト)によって方法を考える必要があります。

 

スケールの貼り付け方法

私が組付けたリニアエンコーダはレニショー製ですが、製品やメーカーによって取付方法が異なるので取扱説明書を確認する必要があります。

 

例えば、スケールの取付けはいくつかの方法や条件があります。

  • 両面テープ貼り付け
  • 部品でクランプ
  • スケールのエンドはエポキシ接着
  • 専用治具(位置出し治具)で張り付け

スケールの取付けは基本両面テープでの貼り付けですが、貼り付け一発勝負ですので思い込みで作業せずに必ず取扱説明書で確認しておきましょう。

 

*例えばこのような記載があります

スケールの貼り付け

レニショー RGH22

リニアエンコーダの取扱説明書

 

取付け精度

取付方法よりも注意したいのが取付精度です。取付方法は取扱説明書に記載がありますが、取付け精度に対して規定値で取付ける方法については記載がありません。

それは、リニアエンコーダをどのような取付方法で設計されているかが予測できないためだと思いますが、そのために組立て作業者が状況に応じで判断する必要があるのです。

 

それではレニショー製のリニアエンコーダを例として、モデル別の取付け条件を確認しましょう。

取付け条件

レニショー RGH22

リニアエンコーダの取扱説明書

レニショー QUANTiC

リニアエンコーダの取扱説明書

レニショー TONiC

リニアエンコーダの取扱説明書

 

*上記三者を比べてみます。

RGH22 QUANTiC TONiC
センサとスケールの距離 0.8±0.1 1.9±0.17 1.9±0.12
ヨー公差 0.38 0.55 0.25
ロール公差 0.13 0.12 0.08
ピッチ公差 0.8 0.6 0.6

 

このように同じリニアエンコーダでもモデルによって取付け精度に違いがあります。

しかし、違いがあると言っても、どのモデルも1.0mm以下の取付け精度ですから組立後に調整するのではなく、組立て段階でしっかり測定しながら取付ける必要があると思います。

 

スケールの貼り付け位置と精度

ここからは、スケールの貼り付け例と精度測定について考えてみましょう。

 

私がリニアスケールの貼り付けに使用する測定器は3点です。

  1. ハイトゲージ・・・スケールの貼り付けに使用
  2. ストレートエッジ・・・スケールの貼り付けに使用
  3. ダイヤルゲージ・・・平行度の測定に使用

*作業の前提として、取付け部品は平面度、直角度、平行度が1/100台の精度で確保されていなければ難しくなります。

 

スケールの貼り付け

スケールを貼り付ける部品(ブロック)に、段付き加工がされていればスケール突き当てで貼り付けて良いかもしれませんが、もし基準が無い場合にはスケールを貼り付ける部品に予めハイトゲージで基準線を罫書いておきます。

罫書き線に沿って貼り付けるのが不安な場合には、罫書き線にストレートエッジを合わせて固定しておき仮の基準面を作ります。基準面に沿わせながらスケールを貼り付けると最小限にズレが抑えられると思います。

 

測定測定

取付け精度はダイヤルゲージを使用します。

例えばLMガイドの移載にセンサを取付ける場合には、LMガイドとスケールの位置関係を測定します。

測定は「高さ平行」と「走り平行」の2方向の平行度をダイヤルゲージで測定し、規定値に収まるようにシムなども使用しながら調整します。

*平行度は0.1mm以下におさまるように調整しておくと確実です。

 

測定

リニアエンコーダの取付け方法

 

参考動画

レニショーのリニアエンコーダの貼り付け動画です。参考にしてください。

 

 

ポイントまとめ

それでは、リニアエンコーダ(リニアスケール)の取付けと精度について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • リニアエンコーダとは直線上の位置検出ができるセンサ
  • リニアエンコーダは、スケールの貼り付け、取付け精度、に注意が必要
  • 貼り付けの精度は、ハイドゲージ、ストレートエッジ、ダイヤルゲージ、などの測定器を使用する

 

以上3つのポイントです。

高精度な位置検出センサなので、組立て精度もいい加減な現合ではなく測定器を使って数値化して組立てる必要があります。参考にしてください。

 

 

関連記事:【センサ/電子機器 】

以上です。

 

-【センサ/電子機器 】
-

© 2024 機械組立の部屋