結論を言いますと、マイクロメーターの測定面は「紙」でふき取りを行うと汚れが除去できます。(この方法は測定範囲が「0mm~」の外側マイクロメーターに有効な方法です)
因みにですが、手やウエスで測定面を拭くと、油や繊維が付着して+2㎛以上の誤差が生じます。
と言うことで、小さな誤差が間違った判断となってしまうこともあるので、「2㎛なんて大したことじゃない」なんて思わずに、正しいやり方で測定するように心がけましょう。
マイクロメーターの測定面は紙でふき取り清掃する
測定面の汚れが2㎛の誤差を生じる
多くの測定器がデジタル化して扱いが容易になり、誰でも簡単に測定ができるようになってきました。
特に、形状の大きさや深さを「0.001mm=1㎛」単位で測定可能なマイクロメーターは、目盛りの読取りに慣れが必要なのでデジタルのマイクロメーターを使用している人は多いでしょう。
とは言え、結局は正しい取り扱い、正しい測定、が分かっていなければ得られる測定値に誤差が発生することになるので、アナログでもデジタルでも基本は抑えておきたいですね。
出典:出典:ミツトヨ マイクロメーター カタログ
マイクロメーターはアナログの場合、目盛りのズレから1㎛単位の測定が可能なのですが、誤差が大きくなってしまう要因に測定面(アンビルとスピンドルの先端)の汚れが挙げられます。
昔の私は「測定面の汚れは見た目で汚れていなければ問題ない」って認識でしたが、それは大間違いでした。
測定面の汚れによる誤差
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汚れは「0.002mm=2㎛」以上の誤差が発生します
0.002mm=2㎛の誤差が生じる汚れとはなに?
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油
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手垢
- 繊維
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ホコリ
例えばこんな汚れが考えられますが、これは目視で確認することができないかもしれません。なにせ2㎛ですからね。
どうすれば良いのか?
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測定面(アンビルとスピンドル)を「紙」ふき取り清掃する
この方法は測定範囲が「0mm~」の外側マイクロメーターに有効な方法なのですが、私が初めてやってみたときは内心「ほんとに?」て思っていましたが、ホントに2㎛の誤差がなくなり驚きました。
線一本分のズレ=2㎛
目盛りの線一本分のズレが0.002mm=2㎛です。測定面が汚れていると2㎛以上ズレます
測定面は【紙】でふき取り清掃する
測定器の清掃に適しているモノと言えば「セーム皮」と呼ばれる羊の皮があり、セーム皮で測定面をふき取り清掃する方法もOKなのですが、いつも手元にあるわけではないですし、汚れたら捨てればいいやって気軽に使えるものでもありません。
逆に紙の場合は、どこでも手に入るし気軽に使うことができるメリットがあります。そして、メカニズムまでは分かりませんが油、手垢、繊維、ホコリを除去することが出来ます。と言うことで、測定面のふき取りに「紙」をおすすめします。
紙とマイクロメーター
どのような紙を使えば良いのか?
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薄くて表面が適度にツルツルしている紙
紙の種類はノートやメモ帳に使われているような「薄くて表面が適度にツルツルしている紙」がおすすめです。ザラザラしていたり、けば立っているような紙は測定面の傷や紙の繊維が付着してしまう心配がありますし、スライディングペーパーのようなツルツルの紙では汚れが伸びるだけなのでお勧めしません。
と言うことで、実際にやってみました。
測定面を紙でふき取る
この方法のポイントを強いてあげるなら「紙を引っ張り引き抜くときの手ごたえ」をしっかり感じることです。感覚的に手ごたえが強すぎたら測定面の把持力をラチェットの回数を少なくして弱める、手ごたえが弱ければラチェットの回数を多くして強めに把持するようにします。
これ以上は言葉で説明するのは難しいので、実際にやってみてコツをつかんでみてください。
マイクロメーターの把持力について
ラチェットは測定面が当たってから「カチ、カチ、カチ」と3回から4回でOKです。
ありがちなのですが、測定面が当たって「カチ、カチ、カチ」、もう一回「カチ、カチ、カチ」、さらに「カチ、カチ、カチ」と何セットもラチェットを効かせてしまう作業者がいますが、これは「押さえすぎ」です。このやり方では2㎛以上の誤差が生じるかもしれません
絶対禁止の清掃方法
マイクロメーターの測定面は紙でふき取り清掃するのが基本ですが、正しいやり方を知らない人は「ふき取りすれば何でもいいでしょ?」って考えがちなので要注意です。
絶対禁止の清掃方法
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手でふき取る
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ウエスでふき取る
こんなこと、やってしまっとことありませんか?
だめですよ、手で拭いたり、ウエスで拭いたりすると測定面の汚れを除去するどころか、「手垢や油が付着する」「繊維が付着する」ことで、2㎛の誤差が生じます。
間違ったふき取り方法
これ、実際にやってみたのですが、手で拭く、ウエスで拭く、両者とも+2㎛を示しましたね。その後、紙でふき取り清掃をすることで0を示しました。
嘘だと思う人はぜひ自分でやってみてください。
ポイントまとめ
それでは、マイクロメーターの測定面について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 測定面は紙でふき取り清掃する
- 手やウエスで拭くと油や繊維が付着して+2㎛以上の誤差となる
以上2つのポイントです。
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関連記事:【精度測定/精度調整】
以上です。