今回は「AIによるNCプログラミングの 完全自動化」についての記事です。
先日、第6回名古屋「機械要素技術展」に行ったところ、「NCプログラミングの完全自動化をAIでおこなう」と言う非常に興味深いものに出会ったので、今回の記事で紹介しようと思います。
記事の目次
AIによるNCプログラミングの 完全自動化
NC工作機械のデメリット
近年、部品の加工と言えば汎用工作機械ではなく数値制御によるNC工作機械が欠かせません。
それはNC工作機械は、プログラムによって自動で加工が可能なので多くのメリットが見込まれるからです。
例えば、NC加工機械のメリットにはこんなことがあります。
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品質のバラつきが少ない
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加工が速く数ものに有効
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機械が自動で加工するので安全
このメリットによって、スピーディーで正確な部品を大量に作ることができるので、あらゆる技術の進歩を加速させたことに間違いないでしょう。
ところが、メリットがあればデメリットもあるわけで、この点も抑えておく必要があります。
NCのデメリットはこれです。
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プログラムの作成に時間がかかる・・・図面から加工条件を考えて入力する
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プログラムの作成には知識が必要・・・工作機械、加工条件などの専門的な知識が必要
そして、このデメリットによってこんなことが起きています。
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コスト削減ができない・・・NCプログラミングは加工コストの50%を占めている
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人手不足に対応できない・・・専門知識が必要なので育成に時間がかかる
これは長年の課題でありました。いくらNC工作機械のシステムが進歩しても人間が介入する以上、根本的な解決に至っていなかったのです。
AIを導入してNC工作機械のデメリットを克服する
先日のこと、機械要素技術展に行ってきたのですが、とあるAIを取り入れたシステムに驚かされました。
それはコレです
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AIによるNCプログラミングシステム「ARMCODE1」
出典:アルム株式会社 ARMCODE1
もう少し詳しく言いますと、、
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ARMCODE1はソフトウエア = AI(人工知能)
つまり、AIによって加工プログラムを自動化することで、従来のNC工作機械のデメリットを克服出来るというのです。
ARMCODE1とはなにか?
ARMCODE1の特徴
ARMCODE1によってNC工作機械の加工プログラムを自動化できると言うことなのですが、まずは特徴をまとめておきましょう。
出典:アルム株式会社 ARMCODE1
ARMCODE1によって部品を製作するフローはこのようなイメージです。
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図面解析&加工プログラム作成(ARMCODE1) ⇒ 部品を製作(NC工作機) ⇒ 部品を測定(検査機) ⇒ 検査結果をARMCODE1にフィードバック(AIが学習して成長)
ARMCODE1の特徴
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図面データを解析して工具を選定し加工プログラム(NCプログラム)をAIが作成
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製作した部品の寸法をフィードバックすればAIが学習して成長し精度が良くなる
これによって得られるメリットはコレです
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コスト50%削減・・・人が加工プログラムの作成して入力する時間が無くなる
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熟練工の不足を解消・・・専門的な知識は不要で、AIが学習して良い部品を作る(2021年4月の段階では5μレベルの精度)
このメリットによりNC工作機械のデメリットであった、「プログラムの作成に時間がかかる」と「プログラムの作成には知識が必要」を解消すると言うことになります。
*紹介動画
ARMCODE1の課題
ARMCODE1はもの凄く大きなメリットがありますが、実は課題もあります
私が感じた課題はコレです。
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2021年の9月から実践投入予定なので、まだまだ成長段階である
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100%の自動化ではない。ワークの取付け取出しや工具の交換には人の作業が必要
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AIのアルゴリズム(計算や判断する方法)は定期的なアップデートは必要になるかも
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部品の測定をする検査機は別途必要で、ライン化した生産工程に組込む検査機は独自開発する必要がある
このような課題もありますが、私は全く悲観的に感じていません。そもそもこのようなAI化の流れは今後さらに身近なものになっていくのは間違いないからです。
なので、この課題も早々に自動化されていくことでしょう。
*AIの進歩についてはこちらの本が参考になります。とても刺激なる本なので皆さんにもおすすめです。
NCプログラミングの 完全自動化のポイントのまとめ
それでは、NCプログラミングの 完全自動化について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- NC工作機械には、「プログラムの作成に時間がかかる」と「プログラムの作成には知識が必要」のデメリットがある
- ARMCODE1のAI(人工知能)によってNC工作機械のデメリットを克服できる可能性がある
- ARMCODE1の特徴は「図面データを解析して工具を選定し加工プログラム(NCプログラム)をAIが作成」「製作した部品の寸法をフィードバックすればAIが学習して成長し精度が良くなる」
以上3つのポイントです。これからの未来はAIが様々な分野で発展し加速してきます。今回のARMCODE1もその一つですので進展に注目していきます。
*ARMCODE1を開発されたのはアルム株式会社さんです。HPはこちらから ⇒ 「アルム株式会社」
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以上です。