今回は「ボールスプラインの給油と合いマーク」についての記事です。
ボールスプラインと呼ばれる直動ユニットは、軸とナットに相性を判別するために合いマークが刻まれているので、相性の組合せを間違えて精度が低下したり破損などのトラブルが起きないように注意が必要です。また、ボールスプラインは直動ユニットと言うことで給油も欠かせません。
そこで今回の記事では、ボールスプライン注意点として給油と合いマークについてまとめておこうと思います。
ボールスプラインの特徴と組付けポイント
ボールスプラインとは
ボールスプラインとは、スプライン軸にスプラインナットを組合わせた直動ユニットです。
LMガイドの軸バージョンと言った方がイメージが付きやすいかもしれませんね。
ボールスプライン
*クリックで拡大
ボールスプラインとナット
ナットの形状はスプライン軸に合わせた形状で、丸ではありません。
スプライン軸には球がスライドする溝(スプライン)があります。
スプライン軸とスプラインナットはお互いに嵌り合っているので、軸に対してナットが回転する事がありません。状態を維持したまま直線運動します。
また類似の直動ユニットのリニアブッシュ(スライドブッシュ)と比べて、同じ軸径の場合の負荷荷重が10数倍あり、精度もボールスプラインの方が優れています。
給油方法
ボールスプラインは内部にボール(球)が組み込まれていますので、必ず給油が必要となります。
私の場合はリニアブッシュと同じ方法で、スプラインナットに直接リチウムグリスを給油しています。
参考
*リニアブッシュの給油についてはこちらの記事をご覧ください。
-
リニアブッシュやスライドブッシュのグリスの給油方法と注意点
続きを見る
ナットに直接給油
*クリックで拡大
もし間接的に給油する場合には2つの方法があります。
-
スプライン軸に潤滑油かリチウムグリスを塗り、スプラインナットをスライドさせて給油する
-
スプラインナットの給油口からナットのはめ合い部品にグリスニップルを取付てグリスガンで給油する
スプラインナットには下記のようにナットのケースに給油口があいているモノがあります。この給油口にグリスが行き届くように、ナットのはめ合い部品に給油システムを設けます。
ボールスプライン
*クリックで拡大
スプラン軸とスプラインナットの組合せ
ボールスプラインを部品に組み込んだりグリス給油をする時に、スプライン軸からスプラインナット抜いたり挿入したりしますが、その時に注意しなければならない事が2点あります。
まず1点目は「スプライン軸とスプラインナットには相性がある」と言うことです。
その相性の判断は「合いマーク」があっているか?です。つまり挿入する時には合いマークの位置が合致するように組合わせなければなりません。
これはLMガイドのLMレールとLMブロックの相性が決まっている事と同じです。
*下記の写真で会いマークの位置を確認してください。
ボールスプラインの合いマーク
*クリックで拡大
2点目の注意事項は、スプライン軸からスプラインナットを抜いたり挿入したりするときに、「こじったり」「無理やり入れたり」してはダメだと言う事です。
例えば、挿入時に無理にスプラインナットを押し込むと、ボール(球)が飛び出したり、リテーナ(保持器)が破損します。かろうじて挿入できたとしても、「ゴリゴリ」感がでて短命になります。
*THKのカタログに下記の注意事項が記載されています。
引用抜粋:THK 直動システムサポートブック 3-32
スプライン軸の組込み
スプライン軸をスプラインナットに組込む場合 は、スプライン軸とスプラインナットに合わせ マーク( 図4 )がありますので、位置関係を確認し ながら、こじらないように挿入してください。
無理に押込むとボールが脱落する恐れがあるた めご注意ください。
シール付きや、予圧を与えてあるスプライン ナットに挿入するときは、スプライン軸外径に 潤滑剤を塗布してください。
ポイントまとめ
それでは、ボールスプラインの給油と合いマークについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- スプラインナットに直接リチウムグリスを給油
- スプライン軸とスプラインナットの合いマークを合わせる
- スプラインナットを抜いたり挿入したりするときに、「こじったり」「無理やり入れたり」してはいけない
以上3つのポイントが大切です。
*ボールスプラインの購入はこちらから
関連記事:【直線運動の要素】
以上です。