今回は「LMガイドにCVキャップを打ち込む方法」についての記事です。
LMガイドのレールは座グリになっており、その部分に異物混入を防ぐ目的でキャップをする場合があります。キャップの打ち込みはコツがいる作業で、うまく打ち込めなかったり失敗してしまうこともあります。
そこで今回は私の打ち込みの方法を紹介しようと思います。
記事の目次
LMガイドのCVキャップ打ち込む方法
LMガイド
LMガイドについては、下記の引用をご覧ください。
引用抜粋:5分でわかるTHK
LMガイドは「Linear(直線)Motion(運動)Guide(案内)」の略で、機械要素部品の一つとして、機械を真っ直ぐ動かすときの案内部分に使われています。
参考
こちらの記事も参考にしてください。
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LMガイドの平行出しを素早く行う方法【ダイヤルゲージの測定ポイント】
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LMガイド
LMレールの取付穴キャップ
LMガイドのレールにはオプションでキャップ(ふた)を選定することができます。
*今回紹介するキャップは、THKのCVキャップ(合成樹脂)です。THKからは金属タイプのGCキャップもラインナップされています。
THKのCVキャップ
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キャップをする目的
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キャップは、LMレールの座グリにグリス/ゴミ/異物などが溜まり、LMブロックに入り込むことを防ぎます。
THKのCVキャップ
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打ち込み方法
キャップは座グリの穴にボルトを締め付けた後に打ち込んで使用します。
打ち込みの注意点
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打ち込みは簡単そうで意外と難しく、斜めに入ってしまったり、割れたり変形してしまうことがあります。
そこで、皆さんにおすすめしたい方法がこちらです
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PETやPVCを「当て板」として使用してハンマーで叩いて打ち込む
PETやPVCを「当て板」とする理由は下記の2点です。
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樹脂なのでLMレールに傷が入らない
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板(平面)でキャップを打ち込むとツラがそろって綺麗に入る
板とハンマー
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また、ハンマーについても私がおすすめしたいのが、「無反動ハンマー(ショックレスハンマー)」です。
無反動ハンマー(ショックレスハンマー)は打ち込んだ時の反動がなく、打ちかえりでハンマーが跳ねたりしないので綺麗に打ち込むことができます。
*実際の打ち込みを動画で確認してください。
キャップの打ち込み
うまくいかないやり方
うまくいかないやり方は、当て板を使用せずにハンマーでそのまま打ち込む方法です。
ハンマーで直接打ち込むとうまくいかない理由
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ハンマーの先端の形状がRになっているので、平面で打ち込められない
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先端がデコボコになっているようなハンマーは均一な打ち込みができない
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LMレールと平行にハンマーを当てることができない(手の加減)
ハンマーで直接打ち込むと下記の写真のように斜めに入ってしまうことがあります。
打ち込み方法の違い
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このような状態になると、見た目も汚く、機能としても良くありません。ですから綺麗に打ち込められる「当て板」を使用する方法で作業を行った方が良いのです。
補足 キャップの取り外し方法
もし、キャップを取り外したい時はどうしたらよいでしょうか?
例えば、「キャップを斜めに打ち込んでしまいやり直したい」「LMガイドの交換でねじ外したい」時などです。
私のやり方はこれです!
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細目のマイナスドライバーを差し込んで抜き取る
下記の画像をご覧ください。
樹脂キャップの取外し
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*キャップは打ち込みなので、無理やり取り外すことになり再使用はできません。再度キャップをする場合には新品を使用しましょう。
LMガイドのCVキャップ打ち込む方法のポイントまとめ
それでは、LMガイドのCVキャップ打ち込む方法について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- キャップの目的は、LMレールの座グリにグリス/ゴミ/異物などが溜まり、LMブロックに入り込むことを防ぐこと
- おすすめの打ち込み方法は、PETやPVCを「当て板」として使用して無反動ハンマーで叩いて打ち込む
- キャップは、細目のマイナスドライバーを差し込んで抜き取る
以上3つのポイントが大切です。
*今回使用した無反動ハンマー(ショックレスハンマー)の購入はこちらから
関連記事:【直線運動の要素】
以上です。