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【精度測定/精度調整】

CR-Scan Raptorでスキャンして3DCADに取り込む【3Dスキャナー入門】

2025年9月24日

この記事はAIで音声配信しています。

入門グレードの3Dスキャナーを購入したので、対象物をスキャンして3DCADに取り込むまでの方法を、ざっくり解説します。

 

CR-Scan Raptorでスキャンして3DCADに取り込む

Creality CR-Scan Raptor

2024年に、クリアリティ(Creality)の3Dスキャナー「Raptor(ラプター)」を購入しました。

3Dスキャナーは、対象物の形状や寸法をデジタルデータとして取得できる装置です。ここでいうデジタルデータとは、物体の表面を「 X・Y・Z」 の座標で表現した「点群データ」のことです。

複雑な形状や通常の測定器で数値化できない対象物でも、3Dスキャナーなら計測できるため、リバースエンジニアリングなどに最適です

 

出典:CREALITY CR-Scan Raptor

クリアリティのCR-Scan Raptor

 

価格帯は17万円前後で、ハンディで使用できる3Dスキャナーとしては入門的なモデルです。

 

特徴はこんな感じ

  • カラーでスキャン可能
  • ハンディで使用できる
  • スキャン精度は0.02mm
  • スキャンサイズは5mm~2m
  • ブルーレーザーモードは、細かい凹凸やエッジを高精度にスキャンできる
  • 赤外線モードは、スキャンスプレー(白っぽいマットな粉末)なしで黒色や金属のスキャンが可能、ただし精度が悪い

 

3Dスキャナーには注意点もあります

  • 「スキャンデータ = 3Dモデル」ではない

 

3Dスキャナーで取得できるデータは「点群データ」です。点群データは、物体を無数の点で表現したものであり、「線」や「面」で構成された3Dモデルではありません。

 

点群データを3DCADに取り込むためには?

  • 点群データをメッシュ化(点を線で繋いだ形)

 

スキャンしたデータをそのままでは設計や加工に使うことはできません。

Creality CR-Scan Raptorの場合は、専用のスキャンソフトの「Creality Scan」で、点群データをメッシュ化することがきます。

メッシュ化することで、点が面となり、表面が細かくボコボコしたモデルとなります。

この状態に変換したら、3DCADで取り込み可能な、STLファイルなどで保存します。

そして、3DCADでSTLファイルを読み込み、それを元にモデル化(図面化)することで、やっと設計や加工に使うことができます。

ただ、将来的にはスキャンデータをそのまま活用できるようになるのではないかと思います。

 

上手にスキャンする方法

3Dスキャナーは年々進化しており、また、価格も数万円から数千万円まで幅広く存在します。

上級グレードのスキャナーであれば、マーカーやスキャンスプレーが不要で、対象物の形状を高い精度で取得できます。

一方、比較的安価なスキャナーでは、マーカーの貼り付けやスキャンスプレーの使用が必要となり、データ精度も上級機に比べて劣ります。

今回紹介している、Creality CR-Scan Raptorは安価なスキャナーなので、上手にスキャンするためのポイントがあります。

 

Creality CR-Scan Raptorで上手にスキャンする方法

  • 対象物の周囲にマーカーブロックを置いた方がスキャンが速い
  • 小物の対象物は回転テーブルに乗せてスキャンしたほうが効率がイイ
  • 黒や透明の対象物にはスキャンスプレー(白っぽいマットな粉末)をすると良いかも

 

マーカーブロックと回転テーブルとスキャンスプレー

スキャンに必要なもの

 

マーカーブロックについて

3Dスキャナーは、対象物の表面を X・Y・Z の座標データとして取得します。そのために必要となるのがマーカーで、マーカーの位置関係をもとに座標を算出しています。

一般的には対象物の表面に直接マーカーを貼り付けますが、それだけでなく、対象物の周囲にマーカーブロックを設置すると座標系の認識が速くなります。私の場合はFusion360で設計し、3Dプリンターで自作したマーカーブロックを活用しています。

 

回転テーブルの活用

3Dスキャンでは、対象物を全方向から撮影する必要があります。方法としてはスキャナーを動かすか、対象物を回すかのどちらかですが、小物であれば回転テーブルを使用するのがおすすめです。

回転テーブルを使えばスキャナーは固定したまま、対象物の向きを効率よく変えられるため、作業の手間が大きく減ります。

 

スキャンスプレーについて

スキャン対象の色や表面状態によっては、光を吸収してしまいスキャン精度が落ちることがあります。特に黒色や透明な素材ではデータが正しく取れないこともあります。その対策として使用するのが スキャンスプレーです。

市販の専用スプレーは性能が高い反面、やや高価であるので、代用品として 探傷試験用の現像液を使っています。探傷剤は金属のクラック検査に使われるものですが、現像液は表面を白くコーティングでき、水洗いで簡単に落とせるため、使いやすいと思います。

 

 

実際にスキャンしてみた

スキャンの段取り

今回スキャンした対象物はコレ

  • 黒色の取手

 

スキャンの段取り

スキャンする対象物 対象物を回転台にセット

 

スキャンの段取りとしては、①取手にマーカーを直接貼り付ける、②回転テーブルに乗せる、③周囲に自作のマーカーブロックを配置して完了。と言った感じです。

ただ、この取手には座グリ(ボルト穴の加工部)があり、スキャナーの光が届きにくい上に、部品の色が黒いため、光を吸収してスキャンができない可能性がありました。

そのため、座グリのところだけに、スキャンスプレー(現像液スプレー)してみました。白い粉末の薄い膜ができるので、スキャナーの光がしっかり反射し、座グリの奥までデータを取得することを期待してのことです。

 

ブルーレーザーモードでスキャン

ということで、ブルーレーザーモードでスキャンしてみました。

 

スキャンのやり方

  • 回転テーブルをゆっくり回転させる
  • スキャナーを上下・左右に振ってスキャンする
  • 全方向を一度にスキャンすることができないので、表側と裏側を2回に分けてスキャン
  • スキャンソフトの「Creality Scan」でスキャンの進行状況を確認して、不足している部分を重点的にスキャン

*表側のスキャンデータと裏側のスキャンデータは、あとでスキャンソフトで結合することができます。

 

ブルーレーザーモードでスキャン

3Dスキャンした点群データ 3Dスキャンした点群データ

 

こんな感じでやってみたのですが、問題が発生しました。

 

問題発生!

  • 結局、スキャンスプレーをした「座グリの部分」は、うまくスキャンできなかった

 

座グリの部分が、微妙にスキャンできませんでした。よくよく観察してみると、マーカー不足や光の反射ではなく、座グリの形状が深く複雑で、そもそもブルーレーザーが奥まで届いていないことが問題でした。

こればっかりは何ともできないので、これ以上はあきらめました。

 

スキャンデータは点群データ

3Dスキャンした点群データ

 

スキャンデータを拡大してみると、点群の集まりであることが分かります。このままでは使えないので、次のステップでメッシュ化します。

 

データの結合とメッシュ化

スキャンしたデータは点群なので、スキャンソフトの「Creality Scan」で、点と点を線で繋いで面にする「メッシュ化」をおこないます。

その後、表側と裏側のそれぞれのデータを結合することができます。

*スキャンソフトでは、様々なデータの加工ができるのですが、今回は話しが長くなるので渇愛しています。

 

メッシュ化と結合

表側と裏側を結合してメッシュ化 表側と裏側を結合してメッシュ化 表側と裏側を結合してメッシュ化

 

こんな感じで加工したら、データを3DCADに取り込みができるファイル形式で保存をして完成となります。

今回はSTLファイルで保存しました。

 

SLTファイルでFusion360に取り込む

3DスキャンしたSTLファイルをFusion360に取り込んでみます。

 

SLTファイルでFusion360に取り込む

STLファイルを3DCADに取り込んでみる STLファイルを3DCADに取り込んでみる

 

ぱっと見は、良い感じに見えますが、上手くスキャン出来ていなかった座グリは、変形してしまっています。

なので、この状態から3Dモデルを作る場合、現物の取手を測定して、その値でモデル化するしかありません。

 

測定してみる

STLファイルを3DCADに取り込んでみる

 

気になるスキャン精度ですが、取手の内側寸法を測定してみました。

現物はノギスで測定した結果【107.3mm】、スキャンデータは3DCADで測定した結果【約107.2mm】でした。正直なところ、スキャンデータは、表面がボコボコしているので、正確に測定することができませんでした。なので、カタログには「スキャン精度0.02mm」と書いてありますが、実際のところは「良くて0.1mm」程度だと思っておいた方が良さそうです。

この点をどう考えるかですが、メッシュ化したモデルを3DCADで部品モデルにするためには、この寸法の曖昧さを緩和するために、怪しい部分は対象物を実測して、総合的に判断したほうがいいと思われます。

 

ポイントまとめ

それでは、「CR-Scan Raptorでスキャンして3DCADに取り込む」について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • クリアリティ(Creality)の3Dスキャナー「Raptor(ラプター)」は入門的なハンディスキャナー
  • カタログにはスキャン精度は0.02mmと書いてあるが、実際は「良くて0.1mm」程度と思っておいた方が良さそうです
  • スキャンデータは点群データなので、ソフトで加工し、メッシュ化し、3DCADで取り込み可能はファイル形式で保存すること
  • 3DCADで読込んだデータを元に、モデル化(図面化)しなければ活用することができません。

 

以上4つのポイントです。

 

*私が使用している3Dスキャナーの購入はこちらから

 

*スキャンスプレーの代用の現像スプレーの購入はこちらから

 

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以上です。

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