今回は「ローティングジョイントの組付け注意点/偏心と偏角の吸収」についての記事です。
フローティングジョイントはシリンダのロッド先端によく使用される部品です。
単純な部品ではありますが、実は組付けには注意点があり理解していないと偏心の吸収ができないどころか破損してしまう危険性もあります。
そこで今回は、私が行っている組み付け方法を交えながらフローティングジョイントについて解説しようと思います。
記事の目次
フローティングジョイントの組付け注意点
フローティングジョイントとは
フローティングジョイントは、「偏芯を吸収するタイプ」と「偏芯と偏角を吸収するタイプ」がありますが、一般的には「偏芯と偏角を吸収するタイプ」のことを指す場合が多いです。
特徴は、球を内蔵していることにより偏心と偏角を吸収することが可能であることです。
主にシリンダや単軸ロボットなどのロッド先端に取付けて組付け誤差、部品精度による偏心と偏角を吸収します。
出典:SMC フローティングジョイント カタログ
フローティングジョイントは機械装置に使用されることは多く、お手軽な部品なのですが注意点を理解しておかないと偏心/偏角の役目を果たすことができず、最悪の場合は破損してしまいます。
フローティングジョイントの取付け注意と構造
フローティングジョイントを組付ける時に特に注意すべきこと、、、それは
-
底突きするまでねじ込んではいけない
と言うことです。
下記の内部構造をご覧ください。
*SMCのフローティングジョイントを例として解説します。
引用抜粋:SMC フローティングジョイントカタログ
内部に組み込まれている「球形状」の部品が自在に可動するので偏心/偏角を吸収できるのですが、組付ける時にねじ込み過ぎると「球」にねじが接触して可動しなくなってしまうのです。
ねじ込みのイメージ
フローティングジョイントのねじ込み量
それでは、具体的にフローティングジョイントへのねじ込み量はどの程度にすればよいのでしょうか?
調べてみますと、SMCのカタログには下記のような記述があります。
引用抜粋:SMC フローティングジョイントカタログ
ソケットまたはケースのめねじへロッドのおねじをね じ込む時には、底に突当たらないようにしてください。 ロッドが底に突当たった状態で使用すると、スタッドがフロ ーティングしないため、破損します。 めねじへのねじ込み深さは、外形寸法表(P.1139)に記載して ありますので参照してください。目安としては、底に突当た った位置から、1~2回転戻した位置が適当です
このように、型式によって「最大ねじ込み深さ」が決まっているようで、底突きを考えるとこのねじ込み量以上にねじ込むべきではないでしょう。
しかし、様々な種類のフローティングジョイントがあるなかで、それぞれのねじ込み量を暗記したり調べたりすることはなかなかできません。
そこで、上記のカタログにも記載されているように「底に突当た った位置から、1~2回転戻した位置が適当です」の方法が覚えやすくおすすめしたいと思います。
私の場合は、図面に寸法の指示が特になければ、
-
底突きから1回転戻し
を基本として組み付けていますが、今まで問題が起きたことはありませんので間違いない方法でしょう。
フローティングジョイントのポイントまとめ
それでは、フローティングジョイントについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- フローティングジョイントとは、球内蔵の偏心と偏角の吸収をする推力を伝達する連結部品
- 組付け注意点は、底突きするまでねじ込んではいけない、と言うこと
- 組付けは、底突きから1回転戻し、です。
以上3つのポイントです。
参考
こちらの記事も参考になります
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ソフトアブソーバー(ダンパー)とは【取付けと使用の注意点】
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関連記事:【空気圧/油圧】
以上です。