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【S2000/メンテ/セッティング】

高精度ドライブシャフトの作り方【研磨して低フリクションにする】

2019年8月12日

S2000のドライブシャフトの異音とガタ

S2000のドライブシャフトは異音のトラブルが発生すると言われています。

実際に私のS2000でも「アクセルを踏み込んだ時のタイムラグ」「走行中のノイズと異音」が起きているようで不快でなりませんでした。

そこでドライブシャフトを分解してどのような問題が起きているのか調査してみたのです。

下記の写真をご覧いただくと分かると思いますがインボードのカマに明らかな損傷が見られました。

 

インボードの問題

*クリックで拡大

ドライブシャフトの異音とガタ

ドライブシャフトの異音とガタ

 

最終的にはドライブシャフトを全てバラシたのですが、結果下記の損傷や不具合がありました。

  • インボード側のカマが摩耗・・・ベアリングと強く接触する部分
  • アウトボードの可動が悪い・・・グリースの膜切れと熱変形

 

どうやら私が感じていた「アクセルを踏み込んだ時のタイムラグ」「走行中のノイズと異音」は上記に示したような損傷や不具合が関係しているに違いないようでした。

 

原因

なぜこのような問題が起きたのか?

ハッキリ言ってこのような問題が起きては困るので原因を考えてみたのです。

 

私が考えた原因は下記の2点です。

  1. 車高を低くした為に、ドライブシャフトの角度が悪くなりインボードのカマに部分的に接触する
  2. サーキット走行をするため、ブレーキの発熱がドライブシャフトのグリースに影響した

 

実はこの件について、同じ事例がないか調べたのですが多数情報がありまして、どうやら上記の原因で間違いないようでした。

 

インボードの問題

インボードの問題

原因はなんとなくわかりましたが、よくよく考えると解決する方法はなさそうです。

私には車高を上げたりサーキット走行をやめる選択はない、、、、。しかしこのままではなんだか気分が悪いですね。

そこでドライブシャフトの寿命が少しでも長くなるような対策が出来ないか考えてみる事にしたのです。

 

対策とオーバーホール

ドライブシャフトの耐久性について考えた結果、下記の3点が思いつきました。どれも当たり前の事なのですが、これらを実際に自分でやってみる事にしました。

  • 新品/中古良品の使用
  • ドライブシャフトの可動部品を研磨する
  • グリースを高負荷、高温用に交換する

 

分解

中古の良品をヤフーオークションで入手しました。

まずは分解して「洗浄」と「損傷」がないかの確認を行いました。

 

分解工程

中古良品を分解

分解する

スプラインのはめ合いが抜けない場合はプーラーを使用

プーラーで抜く

アウトボードは内部のリングが溝にハマっていて簡単に抜けない。スライドハンマーで打ち抜く

スラストベアリングハンマー

 

磨く

分解した内部部品の一つ一つを磨き上げます。

 

今回、みがき作業に使用したモノはこちら

  • 青棒
  • ピカール
  • エアーリューター&フェルト棒

 

みがき工程

青棒とピカールをフェルト棒(リューター)で磨き上げる

研磨して磨く

インボードのベアリングも分解し磨く

ニードルベアリングの組立

 

グリース充填(オメガ85番)

グリースは純正では「高負荷」「高温」に耐えうるには不十分だと思い、適したグリースがないものか?調べた所いくつかのメーカーからドライブシャフト用のグリースが販売されていました。

  • オメガ・・・オメガ85番(等速ジョイントグリース)
  • ビリオン・・・BILLION OILS MFX-6080 ドライブシャフト専用グリース
  • ワコーズ・・・バーフィールドグリース (競技用車両用等速ジョイントグリース)

 

迷ってしまいますが、今回はオメガ85番のグリースを使用する事にしました。

 

グリース充填

グリスの充填

これらを実施して可動部がクタクタにひっかっかりがなく動けば良いと思います。

*もし使用してみてバラス機会があったら、グリースの劣化具合をレポートしようと思います。

 

ドライブシャフトの交換

補足情報としてドライブシャフトの交換の注意点があります。

ハブとドライブシャフトのスプラインが焼き付きで抜けなくなることがあるので、スプラインには必ず銅ベースの焼き付き防止グリースを塗布してください。

 

グリース塗布

焼き付き防止グリースを塗布

 

走行してみた結果

驚きました。ノイズはかなり少なくなりました。アクセルを踏み込むと自然に滑らかに車体が進んでいきます。「気持ちがいい」そう思いました。

ただ、これで永遠に使用できることはありません。私のようにサーキット走行をする場合は、定期的なメンテや交換は必要だと思う。

今回は純正の高精度オーバーホール品を使用しましたが、今後は社外品(アメリカ製)を使用する事も検討したいと思います。

 

 

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以上です

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