今回は「固定用のOリングが漏れる原因」についての記事です。
何かを密封(シール)するときの定番として、ガスケットやOリングがありますが、先日こんなことがありました。
固定用のOリングを再使用したら作動油が漏れた、、、、さてその原因は何だったのでしょうか?
と言うことで今回の記事では、中古のOリングを再使用して起きた作動油の漏れについて紹介します。
記事の目次
Oリングからの漏れの原因
Oリングとは
Oリングとは材質がゴムの断面が円形の形状で、圧縮(押しつぶして)や圧力をかけると変形して密封するシールです。*圧縮して使用するシールはスクィーズパッキンと呼ばれます。
参考
*Oリングについてはこちらの記事で解説しています。
-
-
Oリングで密封する原理【圧縮と圧力によってシール性が上がる】
続きを見る
Oリング
Oリングからの漏れ
先日ですが、機械の改造作業で長年使用されていた油圧制御ユニットの制御弁を組み換えたところ、作動油が漏れるトラブルが起きてしまいました。
作動油が漏れた状況はこうです
-
Oリングを再使用して組み換えた
-
試運転したら制御弁のすき間から作動油が漏れた
作動油の漏れの原因はコレでした
-
Oリングが変形(弾性がない)していてシール性が低下していた
どうすれば良かったのか?
-
Oリングは再使用せずに新品を使用する
「Oリングを再使用すれば、漏れるのは当たり前でしょ?」と言う意見もあると思いますが、その通り、私もそう思います。だから、この作業ははっきり言って「私の失敗」でした。
Oリングの特徴と変形
特徴と変形すると起きること
それでは、今後このような失敗がないように、Oリングの特徴と変形についてまとめておきましょう。
Oリングの特徴
Oリングの特徴をまとめますとこうなります。
-
Oリングを圧縮してつぶすと、Oリングに反発力が発生し部品に密着するので密封される
当然、新品のOリングは円形なので部品を組合わせればつぶれます。ところが、長年使用し続けた固定用Oリングは 「溝の形状」 = 「四角形」 に変形してしまうのです。
四角形に変形してしまったOリングはこうなります。
-
初めから潰れた形状になっているので、つぶし代がなくOリングに圧縮が起きないためシール性がない状態となる
変形したOリング
このように、Oリングが変形してしまうと本来の特徴は失われてしまうのです。
Oリングの変形と摩耗の実例
それでは、実際に変形してしまった固定用のOリング紹介しておきます。
固定用Oリングの変形
ご覧の通り、見事に四角形に変形しているのが確認できると思います。この状態ではシール性があるわけありませんよね。
因みにですが、運動用Oリングの場合は変形ではなく、摩擦によって摩耗し密閉性が低下して漏れることが多いです。
運動用Oリングの摩耗
この運動用Oリングは、内側に軸が入って摩擦するため、内側が摩耗してR面ではなく平面になっています。ここまで摩耗すると末期状態なので、交換が必要になります。
Oリングからの漏れのポイントのまとめ
それでは、Oリングからの漏れについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- Oリングは圧縮してつぶすことでシールする
- 中古のOリングは変形していてつぶし代がないのでシール性が低下している
- 中古のOリングは再使用しない方が良い
以上3つのポイントが大切です。
*Oリングの購入はこちらか
関連記事:【シール要素】
以上です。