今回は「アルミフレームの端面にタップ加工」についての記事です。
アルミフレームは機械装置には定番の部品で、使用方法の自由度の高い特徴があります。
その中でも今回は、アルミフレームの端面にタップ加工する方法について解説することにします。
アルミフレームとは
アルミフレームとは架台やフレーム、安全カバーの骨格などに使用するアルミの構造材です。通常アルミフレームと言えば汎用性が高く自由度が高いのが特徴です。
アルミフレーム
*以下、ミスミのアルミフレームを例として解説します。
アルミフレームの端面のタップ
アルミフレームの組立てや部品の取付にはいくつかやり方があります。
組立方法
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溝に専用のナットを入れて部品やブラケットを固定する
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アルミフレームの側面に穴をあけてアルミフレームをボルト固定する
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アルミフレームの端面の穴を利用しタップを立ててブラケットやアジャスターパットなどを取付ける
*このうち端面の穴についてはタップ加工が出来る事を知らない方がおられるようなので、今回は端面のタップについて解説します。
アルミフレームの端面には穴があいていますが、この穴はタップ立てる事を想定しているのでタップの下穴で仕上がっています。発注時にオプションで端面のタップ指定が出来ますが、そうでない場合には自分でタップを加工する事が出来ます。
アルミフレームの端面
ミスミのアルミフレームには「標準アルミフレーム」「軽量アルミフレーム」「高剛性アルミフレーム」の種類がありますがいずれもタップ加工ができます。タップのサイズはアルミフレームの「外径サイズ別」ではなく「溝幅別(ナットを入れる溝)」となっています。溝の幅によってタップの下穴径が違います。
シリーズ名 | 溝幅 | 端面穴径 | タップサイズ |
5シリーズ | 6mm | 4.2 | M5 |
6シリーズ | 8mm | 6.8 | M8 |
8シリーズ | 10mm | 10.5 | M12 |
このようになっており、溝幅別によってタップ径が変わります。
シリーズ別の外観
タップの注意
ここまででアルミフレームの端面にはタップが立てられる(オプションでタップ指定可)とお伝えしましたが、一点注意事項があります。
注意事項
穴の形状が肉薄タイプの場合には、タップの面積が少ないのでねじを締付けるとタップがバカになる(なめる)事があります。
つまり「標準のアルミフレームの軽量タイプ」や「軽量アルミフレーム」の穴には注意が必要です。見た目でも判断できますので下記をご覧ください。
シリーズ別の外観
このようなアルミフレームの端面を使用する事はおすすめはしませんが、もし使用する場合にはいくつか対策があります。
組立方法
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可能な限り長いねじを使用する
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ねじの緩み止め(ロックタイト)を使用する
この2点で安心度は増すと思います。
タップの加工方法
タップの加工の方法は簡単です。下穴は開いているのですからタップを立てるだけです。
加工手順
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アルミフレームを固定する
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穴の面取りをする・・・面取りしないとバリや変形で端面の精度が悪くなります。
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ハンドタップ/タッパー(電動工具)/充電式ドリルでタップを開ける
この手順の中で効率を考えたポイントがあります。
ポイント
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タップは全部入りきるまで入れる(深くれる)
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タッパーを使いスピーディーに加工(切削油の塗布は忘れずに)
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アルミフレームが大量にある場合には、作業台にアルミフレームを並べてシャコ万力などで数本~10本ほど固定
このようなポイントを押さえればスマートに作業が進むと思います。面倒な作業なので効率よく作業をしたいですね。
*タッパーはタップを立てる電動工具です。
補足 流体の配管として
アルミフレームの端面タップについて解説してきましたが、この端面のタップは実は部品を取付ける以外の方法でも使用する事が出来ます。
例えばエアーの配管としてアルミフレームを使用することができます。その場合には漏れが発生しないように穴にスリットが入っていないタイプのアルミフレームを使用してください。
シリーズ名 | 端面穴径 | 配管サイズ | 配管下穴(PT) |
5シリーズ | 4.2 | M5の継手 | 4.2 |
6シリーズ | 6.8 | 1/8(1分) | 8.2 |
8シリーズ | 10.5 | 1/4(2分) | 10.9 |
加工は下記を参考にしてください
6シリーズに1/8PTタップを立てる
6シリーズに継ぎ手を取付ける
まとめ
今回はアルミフレームの端面タップや加工方法のポイントなどを解説しました。端面タップはオプションで指定できますが、タップが無い場合には参考になるかと思います。また簡易的な配管として使用もできますので知っておくともしもの時には役に立つかと思います。
*アルミフレームの端面加工にはタッパーがおすすめです。
関連記事:【フレーム/カバー】
以上です。