今回は「アルミフレームのクリーン化と火災対策には溝カバー」についての記事です。
アルミフレームはナットやパネルホルダーを入れるための溝がありますが、この溝にはチリ、ホコリ、粉塵、が堆積するので、クリーンルームであったり溶接環境では問題になることがあります。
溝の問題を解決するためには、溝を埋めてしまう方法が簡単なのですが、その一つの方法として今回の記事では「溝カバー」を紹介しようと思います。
記事の目次
アルミフレームのクリーン化と火災対策には溝カバー
クリーン化と火災対策
アルミフレームは装置のカバーフレームとして使用されたり、ユニットのフレームとして使用されますよね。
で、このアルミフレームには自在に部品やブラケットが取付けられるように「溝」があるのですが、この溝は便利であるとともに、使用環境によっては欠点となります。
アルミフレーム
アルミフレームの溝の欠点
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チリ、ホコリ、粉塵、が堆積する
それによって起きること
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クリーン度が低下する
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火災が発生するリスクがある
クリーンルーム、スーパークリーンルームと呼ばれる清浄度が高い部屋では、チリホコリは厳禁です。そのため、設備の発塵対策と、もしチリホコリが発生したり外部から持ち込まれても堆積しない対策が必要です。そうなると、チリホコリが堆積してしまうアルミフレームの溝は非常に厄介な存在となります。
また、溶接を伴う装置においては、アルミフレームの溝にチリホコリ粉塵が堆積し易く、火の粉がアルミフレームの溝に飛散すれば引火するリスクもあります。
このように、アルミフレームの溝は組立て作業では汎用性があって便利ですが、使用する場面においては不要な存在なのです。
アルミフレームの溝カバー
アルミフレームの溝にチリ、ホコリ、粉塵、が堆積しないようにする方法があります。
チリホコリ粉塵が堆積しない方法
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アルミフレームの溝に「溝カバー」を取付ける
溝カバーとは、アルミフレームの溝に圧入ではめ込む製品のことです。
アルミフレームの組立完成後に、露出している溝に自分でカットして溝にはめて使用します。作業的にはかなり面倒ですが、溝を埋める方法としては確実です。
*ミスミさんを初め、各メーカーさんから販売されています。
出典:ミスミ 溝カバー
下記はアルミフレームの溝に樹脂製の溝カバーをはめた状態です。
こんな感じで溝に蓋をすることが出来きます。
樹脂の溝カバー
この溝カバーは樹脂製のミスミHSCA6-Sです
溝カバーの取扱情報まとめ
溝カバーの特徴
それでは、溝カバーの特徴をまとめておきます。
溝カバー
この溝カバーは樹脂製のミスミHSCA6-Sです
材質は3種類です
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樹脂製
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アルミ製
- スポンジ製
樹脂製は安価で、材質はポリエチレン、PVCなどがあります。低発塵なのでクリーン環境におすすめです。
アルミ製は樹脂製よりも高価ですが燃えることがないので火気対策に有効です。
スポンジ製はアルミ製よりも高価です。材質はクロロプレンゴムとシリコンゴムなどがあります。
溝カバーの活用方法
樹脂カバーは2通りの使い道がある
樹脂製の溝カバーは2通りの使い道があります
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溝の蓋として使う
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溝をレールとして使う
アルミ製とスポンジ製は溝の蓋として使用するのがスタンダードですが、樹脂製の溝カバーはひっくり返して溝にはめることで、レールとして活用することが出来ます。
レールとして使う例としては、窓のスライドがあります。単に溝に窓を入れてスライドさせるよりも樹脂カバーを使ってレールとする方が、耐摩耗、低発塵が期待できます。
溝カバーの切断方法
溝カバーの材質は、樹脂製、アルミ製、スポンジ製があり、切断にはそれぞれの材質に合った方法でおこないます。
失敗すると、切断面に「バリがでる」「潰れる、変形する」ことになり、余計な手間が増えます。
樹脂製の切断
樹脂製の場合はニッパーやカッターよりもダクトカッターがおすすめです。ダクトカッターとは配線で使用する樹脂ダクト(カッチングダクト)を切断する工具なのですが、めちゃくちゃ切れるので、変形したりバリが出ることなく簡単に切断可能です。
アルミ製は金属なのでノコ刃やグラインダーの砥石で切断します。バリがでたらやすりをかけて必ず修正します。
スポンジ製は、樹脂ニッパーやハサミがおすすめです。柔らかいので切断面が直角にならない場合があるので、細かく切断修正できる工具がよいです。
樹脂の溝カバーのはめ方
使用頻度の高い樹脂製の溝カバーのはめ方を紹介しておきます。
はめ方は2通りです
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指で押し込む
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プラハン、無反動ハンマーで叩いいて入れる
溝にはめる
樹脂カバーは溝の上から押し込んではめる方法が基本となります。アルミ製のように溝の端面からスライドして入れる方法は、挿入時の抵抗が大きくてうまくいかないですし、組立完了後に施工するのことが多いので溝の上から押し込んではめる方法が良いです。
押し込む方法は「指で押し込む」か「プラハン、無反動ハンマーで叩いいて入れる」方法があり、実際に入れてみたときの感触で使い分けてください。
樹脂が柔らかく指で簡単に入る場合は、ハンマーで叩くと変形してしまうことがありますし、その逆に、指の力では硬くて入らないのであればハンマーで叩く方が簡単です。
因みにですが、ミスミの樹脂の溝カバーHSCA6-Sは年代によって仕様変更しているようで、2019年に購入したモノは指の力では硬すぎて入りにくかったのですが、2023年に購入したモノでは適度な指の力で入るようになっています。
樹脂の溝カバーの外し方
溝カバーは一旦溝に入れてしまうと掴む部分がないので、外すのが大変です。
外す方法
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溝カバーにマイナスドライバーを入れて外す
アルミフレームを分解して外す方法は、手間がかかりすぎるので現実的ではないので、工具を使って外す方法が良いです。
溝カバーの取外し方
マイナスドライバーなどのすき間に入りやすい工具や、溝カバーに刺さりやすい工具を使って、テコで外します。
この作業はアルミフレームに傷が付きやすく、溝カバーも損傷してしまうので、覚悟しておきましょう。
ポイントまとめ
それでは、アルミフレームの溝カバーについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- アルミフレームの溝にはチリホコリ粉塵が堆積する
- クリーン化と火災対策には溝カバーを使う
- 溝カバーには樹脂、アルミ、スポンジがある
以上3つのポイントです。
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関連記事:【フレーム/カバー】
以上です。