今回は「アルミフレームにブラケットが入らない/部品の公差トラブル」についての記事です。
アルミフレームとは架台やフレーム、安全カバーの骨格などに使用するアルミの構造材で、機械装置には欠かせない部品です。私の場合はミスミを使用することが多いのですが、先日アルミフレームにブラケットが取り付けられないトラブルが起きてしまいました。アルミフレームがブラケットは購入してそのまま使用するのが当たり前なので、このようなことが起きては困ってしまいます。
そこで今回の記事では、アルミフレームとブラケットのトラブル事例とその原因について情報共有として紹介しようと思います。
記事の目次
アルミフレームにブラインドブラケットが入らない
先日、ミスミのアルミフレームを組立てていたら経験したことがないトラブルが起きました。
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アルミフレームの溝に後入れブラインドブラケットが微妙に入らない
今まで多くのミスミのアルミフレームを組立ててきましたが、このようなことは初めてでした。
アルミフレームのメリットは指定部品を買えば追加工無しで組立ができることなのにこれでは意味がありませんね。
*下記の画像で入らない現象を確認してください。
ブラケットが入らない
状況を整理
今回のトラブルを整理しておきますと、、、
アルミフレームの型式とナットは下記の通りです。
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メーカー・・・ミスミ
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アルミフレーム・・・HFSH8-8080
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後入れブラインドブラケット・・・HABLBS8
いたって何の問題もない組み合わせです。
アルミフレームとブラケットの公差
それでは、このトラブルの原因を探るために、、、
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現物のアルミフレームと後入れブラインドブラケットを測定
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カタログの公差と比べる
この2点を実施してみることにしました。
現物のアルミフレームと後入れブラインドブラケットを測定
現物のアルミフレームと後入れブラインドブラケットの寸法をノギスで測定してみました。
測定結果
アルミフレームの溝 | 9.84mm~10.08mm |
後入れブラインドブラケット | 9.97mm~10.04mm |
測定する部分によって数値にバラつきがあるのですが、アルミフレームの溝の最小が「9.84mm」でブラケットの最小が「9.97mm」でした。
つまりアルミフレームの溝の方がマイナスしています。
これでは入るはずがありませんね。
ブラケットが入らない
カタログの公差と比べる
アルミフレームと後入れブラインドブラケットの実測値に矛盾点がある事が分かったので、次に公差が幾つなのか?を調べて何が悪いのか掘り下げてみる事にしました。
アルミフレーム公差データ FA用メカニカル標準部品の2-558ページに記述がありました。
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曲がりの許容差
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平さの許容差
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ねじれの許容差
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外径寸法の公差
このような記載はありましたがアルミフレームの溝寸法の公差については記述なくわかりませんでした。
後入れブラインドブラケットについてはFA用メカニカル標準部品の2-702ページに寸法のみ記載があるだけで、公差の記述はありませんでした。
ミスミに問い合わせてみました
カタログから得られる情報が無かったので、アルミフレームとブラケットの公差についてミスミに直接問い合わせてみました。
回答は以下の通りです。
公差 | |
アルミフレームの溝 | 10±0.3mm |
後入れブラインドブラケット | 10±0.3mm |
正直驚きました。これでは入るわけがありません。
カタログに記述がないのも納得しました。しかもオペレーターさんは「溝に入らない」と言う問い合わせはかなり多いと言っていました。
疑問
しかしよく考えてみると今まで30のアルミフレームを頻繁に使用していましたが、このような事は起きたことがありませんでした。
なぜだろうか?
問題となったのは80サイズで今までが30サイズ。通常サイズが大きくなれば公差の幅も広くなります。
どのような製造工程なのか分かりませんが公差のどこを狙って製作しているのか非常に気になる所です。
ポイントまとめ
それでは、アルミフレームにブラインドブラケットについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 購入品の部品なのに組立ができないことがある
- アルミフレームの溝寸法がマイナスしている
- カタログに詳しい公差は記載されていない
- メーカー回答は「よくあること」
以上4つのポイントです。
信用していた購入品。でも、実際はそうではなかった。ミスミで対策をしてもらわないと使用する側で対策することは難しいと思います。このような事例がある事は覚えておいた方が良さそうです。
*アルミフレームの組立にはPBのローレット六角レンチがおすすめです。私も使っています。
関連記事:【フレーム/カバー】
以上です。