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他社製の機械装置を改造するときの基準の考え方
他社の機械装置は謎
他社製の機械装置を改造しなければならない、、、、
そのような案件では、困ることが多いのではないでしょうか。
設計や制御はもちろんのこと、組立て側もかなりのリスクを抱えることになります。
簡単に言ってしまえば、他社製の機械装置は自社製の機械装置と違い、分からないことがたくさんあります。
例えば、
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どのような順番で組立てたのか
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どこを基準として調整したのか
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どこにシムを入れて調整したのか
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どのような構造になっているのか
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どの部分の位置関係が重要なのか
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どのような部品で構成されているのか
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どこを測定してレベルを調整したのか
他社の機械装置は謎

このようなことが分からないまま、改造を行わなければならない場合があります。
つまり、「どこをどう調整すれば、この機械装置が本来の性能を発揮するのか」が分からない状態で作業をすることになるわけです。
これは組立て側にとって、大きなリスクです。
例えば、ある部分を調整したことで、一見すると精度が良くなったとしても、その調整によって別の位置関係が崩れたり、別の機構の動作に影響したりする可能性があります。
最悪の場合、調整方法そのものを誤り、要求された性能を満たせない可能性もあります。
逆に、自社製の機械装置を自分で組立て、調整したのであれば、自分自身の作業を通して、これらのことを把握しています。
さらに、組立て時の精度表や各種資料も記録として残っています。
つまり、自分で組立て、調整した機械装置であれば、「どのように組立て、どこを基準にして、どのように精度を出したのか」を理解したうえで調整できるわけです。
ところが、他社製の機械装置では、その情報がありません。
ではどのような思考や方法で、他社製の機械装置に向き合えばいいのでしょうか?
経験・知識、そしてプラスの情報で決める
他社製の機械装置を改造するときには、分からない基準を無理に探し続けるのではなく、自分の考え方でアプローチしたほうがよいです。
自分の考え方とはコレ
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自分のこれまでの経験や知識をもとに、機械装置の基準を考える
これまで当ブログでも触れてきましたが、機械装置を組立てる基本的な手順は、下記のようになります。
- ベースフレームのレベルを出す
- 各ユニットを組立てる
- 各ユニットを定盤で精度測定・調整する
- 各ユニットをベースフレームに設置する
- 設置した各ユニットの精度を出す
ここでは単純化してまとめていますが、機械装置を組立てる基本的な考え方は、このような流れになります。
普段からこのような方法で機械装置の組立てや調整を繰り返していると、他社製の機械装置を見たときに、「この機械は、どこを基準にして精度を成立させるべきか」を考えられるようになります。
経験・知識、そしてプラスの情報で決める

例えば、、、
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ここが基準であるはず
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この位置関係が重要であるはず
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このユニットは、ここを基準に精度を出しているはず
つまり、他社製の機械装置であっても、これまでの組立て経験や知識から、基準がどこなのか、どこを基準にするべきなのかを推定することができます。
もちろん、経験だけで設計者の意図を断定することはできないため、さらに別の情報を加えます。
例えばこんな情報
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エンドユーザーが開示してくれる情報・資料
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自動運転や単独動作で機械の動きを観察する
エンドユーザーから「仕様書」「精度表」「図面」といった情報が得られれば、それも基準を考えるための重要な材料になります。
また、現物を観察すれば、摩耗や傷、干渉痕、シムの有無、部品同士の位置関係など、図面だけでは分からない情報を確認できるし、自動運転と単独動作を観察すれば、各部品がどのような位置関係で動作しているのかを確認できます。
このように、自分の経験や知識に、エンドユーザーから得られる情報、実機の動作から得られる情報を加えていきます。
そして、それらを総合して
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この機械装置は、ここを基準とし、このくらいの精度で仕上げる
という考え方をまとめます。
ただし、この段階ではまだ自分の判断だけです。
改造するための精度の基準として正式に採用するのであれば、その考えをエンドユーザーと共有し、必要に応じて協議します。
協議で決定した内容は、口頭だけで済ませるのではなく、「評価表」や「精度表」として文書化します。
この評価表や精度表は、単に作業終了後の結果を記録するための資料ではなく、これから行う改造、調整、メンテナンスにおいて、「何を基準に作業するのか」「どの状態を合格とするのか」を判断するための基準そのものになります。
さらに、作業中に問題が発生したり、設定した基準では要求される動作や性能を満たせないことが分かったりした場合は、勝手に基準を変更するのではなく、関係者と確認・協議したうえで必要な修正を行います。
つまり、評価表や精度表は作って終わりの資料ではなく、改造・調整・メンテナンスの作業中に常に参照し、関係者で共有しながら使用するための資料です。
こうして、もともとの基準が分からなかった他社製の機械装置であっても、自分たちの経験や現物の状態、エンドユーザーから得られた情報などをもとに基準を設定し、その基準を明確な形で残すことができるわけです。
参考
時々、「位置決めピンで位置が決まるから、ユニット単体で精度測定する必要はない」と言う方がいますが、位置決めされることと、精度が出ていることは別の話です。
つまり、位置決めによって所定の位置に取り付けられたとしても、そのユニット自体の状態を数値化しなければ、精度が出ていることにはなりません。
そのため、「位置決めがあるから精度測定は不要」という考え方ではなく、実際の精度を測定し、必要であればシム調整や追加工などを行って、要求される精度に仕上げるという考え方が重要です。
また、大型のユニットは、定盤に載せて測定することが難しいので簡単に測定できませんが、その場合は、レベリングブロックなどを使用し、ユニット単体で精度を測定・調整できる方法を考え実行します。
このように、機械装置の組立では常に数値化しなければなりませんし、このような作業をしていない方には、今回の記事で説明している内容を理解することも、実際に作業することも難しいでしょう。
無関係の部位の精度の考え方
ここまで、他社製の機械装置を改造するときに、どのように基準を決めるのかについて話をしてきました。
では今度は、今回の改造で手を加えない部分の精度については、どのように考えればいいのでしょうか?
この場合、考え方は大きく二通りあります。
考え方は2通り
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自分で基準を決めて、その精度に調整する
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現状の精度を記録し、作業後に同じ精度になっていることを確認・調整する
1つ目は、手を加えない部分も自分たちで精度の基準を決めて、その基準に合わせて調整する方法です。
例えば、改造・調整・メンテナンスを行う部分の基準や精度は、前述の通り、自分たちで決めて作業を行います。
しかし、その部分だけを自分たちの基準に合わせると、それ以外の部分との位置関係や精度の整合が取れなくなることがあります。
そのため、本来は手を加えない部分であっても、装置全体の整合を取るために、自分たちで決めた基準に合わせて調整を行うわけです。
ただし、この方法は、やり始めると歯止めが効かず、どこまでも調整し続けなければならないスパイラルに陥ってしまいます。
そのため、「どこの部分まで精度を出すのか」という線引きを、あらかじめ決めておくことが大切です。
2つ目は、現在の状態をそのまま残す方法です。
例えば、今まで問題なく稼働していた機械装置であれば、今回の改造やメンテナンスに関係のない部分まで、自分たちの基準に合わせて調整する必要はありません。
むしろ、問題なく動いている部分を調整することで、これまで発生していなかった不具合を引き起こすリスクがあります。
そのため、手を加えない部分については、作業前の精度を測定して記録し、その状態を基準として残します。
そして、改造・調整・メンテナンスが完了した時点で、手を加えていない部分を再度測定します。
そこで作業前の数値から狂いが生じている場合は、作業前の数値に戻すように調整します。
重要なことは、手を加えない部分は、「今まで問題なく動いていた状態を維持する」という考え方です。
無関係の部位の精度の考え方

どちらの考え方を採用するかは、今回の改造内容や機械装置全体への影響をこれまでの経験から予測する、または作業中の状況を見ながら判断し、関係者やエンドユーザーと協議したうえで決めるようにします。
また、改造で手を加えない部分まで調整する、またはその可能性があるのであれば、その作業にかかる費用や工数も、あらかじめ見積りに含めておく必要があります。
もし上手くいかなかったら
ここまで話してきた内容をもとに、他社製の機械装置を改造、メンテナンス、調整したとしましょう。
ところが、試運転をしてみると、機械装置が正常に動作しない、、、なんてことが発生する場合があります。
例えば、
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停止位置が悪い
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動作中に部品が干渉する
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ワークの受け渡しがうまくいかない
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ワークがぶつける、落とすなどで不良品となってしまう
ここで重要なのは、精度表の数値だけを見て、「精度は出ているから、機械側に問題はない」と判断しないことです。
そもそも、最初に設定した基準そのものが適切ではなかった可能性があります。
他社製の機械装置では、そのメーカーがどのような基準で組立て、どのような精度を狙っていたのかが分かりません。
そのため、これまでの経験や知識、現物の状態、エンドユーザーから得た情報などをもとに基準を設定し、その基準に従って作業を行っています。
しかし、実際に試運転を行った結果、その基準では機械装置が要求される動作や性能を満たさないことが分かったのであれば、基準そのものを見直す必要があります。
つまり、「精度が出ていること」と「その精度で機械が正常に動作すること」は別問題なのです。
もし上手くいかなかったら

試運転で発生した不具合は、どのユニットが、どの位置で、どのような問題が発生したのかなど、状況を詳しく抽出します。
そして、その不具合を改善するため、現合調整を行うのか、または精度の基準や測定箇所、調整方法を見直して再調整するのかを判断します。場合によっては、改造や追加工が必要になることもあります。
最終的には、当初決めた「評価表」や「精度表」とは異なる状態になるため、なぜこのような状況になったのか、最終的にどのような状態になったのかを整理し、関係者やエンドユーザーに共有します。
そして、当初の基準から変更した内容や、その理由、最終的な状態について関係者と協議し、認識を合わせたうえで、今回行った他社製の機械装置の改造、メンテナンス、調整を完了させます。
このように、他社製の機械装置を扱うときは、分からない基準を探し続けるのではなく、自分の経験や客観的な情報から基準を決め、状況に応じて柔軟に見直していく姿勢が大切です。
手を加えない部分は「原状復帰」で既存の状態を維持し、手を加える部分は「自分たちで決めた基準」で精度を出し、試運転で不具合が出れば基準そのものを見直して関係者と合意する。
この手順をしっかりと踏むことで、情報のない他社製の改造やメンテナンスであっても、確実に作業を完了させることができます。
ポイントまとめ
それでは、他社製の機械装置を改造するときの基準の考え方について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 他社製の機械装置は、もともとの組立て基準や調整方法が分からない
- 経験・知識、現物、エンドユーザーの情報から、必要な基準と精度を自分たちで決める
- 決めた基準は評価表・精度表にして関係者と共有すること
- 手を加えない部分は、全体との整合を図って調整するか、現状の精度を維持する
- 試運転で問題が出たら、現合調整か基準の見直しを行い関係者やエンドユーザーに共有すること
以上5つのポイントです。
関連記事:【機械組立の心構えと基本】
以上です。