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【精度測定/精度調整】

工業用の油粘土ですき間を測定する方法【加圧装置やプレス装置の数値化】

この記事はAIで音声配信しています。

工業用の油粘土ですき間を測定する方法

加圧装置やプレス装置のすき間

機械装置の組立て作業や調整作業では、測定対象に適した測定器を選び、適切な測定方法で現状の寸法や精度を数値化します。

もし、数値化できなければ、機械装置の状態を客観的に判断することができず、その後の作業をどのように進めればよいのか明確な指針を得ることができませんし、かと言って、作業者の経験や感覚だけを頼りに調整を進めてしまうと、数値やデータとして残らない「根拠がない仕事」になってしまいます。

このような理由から、機械装置の現状を数値化することは非常に重要であるのですが、実際の作業では測定したくても測定できない場合があります。

 

例えば、こんな測定ができない場面があります。

  • 狭くて、遠くて、手が入らないので測定ができない

 

例えば、こんな機械装置が該当します

  • 加圧装置やプレス装置が下降した位置での、上側の板と下側の板のすき間

加圧装置は設定した圧力をかける、プレス装置は材料を押しつぶす、ことを目的としている。

 

加圧装置やプレス装置

加圧プレス装置

 

加圧装置やプレス装置は、上下の板の間にワークを挟み込む構造になっています。

このような機械装置の上下の板は、フライス加工や研磨加工などによって精度よく仕上げられており、組立てでは、まず下側の板を水準器、ストレートエッジ、すき間ゲージなどを使用して測定・調整し組立を進めます。

その次に、上側の板も同様に各部の測定・調整をしながら組み付けを行い、組立て後には上下の板の平行度をダイヤルゲージなどで「対角線法」「井げた法」「グリッド」「ユニオンジャック」などを用いて細かく測定しマップ化、最終の精度調整をおこないます。(※ここで説明している作業手順は一例です)

しかし、ここで一つの疑問にあたります。

「上下の板をそれぞれ精度調整し、組立て後に上下の平行度まで調整したとしても、実際に上側の板を下降させた状態(装置によっては下側が動く場合もあります)、つまり実際にその機械装置が仕事をする位置で、上下の板の平行度やすき間が狙った値になっているのだろうか??」

実際の加圧位置・プレス装置は上側の板が下降した場合、摺動部の遊び、ガイドのすき間、板の偏荷重などの影響で板が傾き、上下の板の平行度やすき間が狙った値になっていないことが多々あります。

そのため、必ず下降位置での上下の板の平行度とすき間を測定・調整しなければならないのですが、冒頭で説明したように、加圧装置やプレス装置が下降した位置では、測定したい場所が狭かったり、奥まっていたり、周辺部品が干渉したりすることで、手や測定器を入れることが出来ないのです。

と言うことで、このような「測定器が入らないすき間」をどのようにして数値化すればよいのでしょうか?考えてみましょう。

 

測定マップの例

平面を測定する場合の測定マップの例

平面の測定方法

平面度のマップ

 

参考

*1/100台のすき間を測定するためには、プラスチゲージがおすすめです。

要チェック
プラスチゲージの特徴
【特徴と使い方】見えない隙間はプラスチゲージで測定【潰れた幅】

続きを見る

 

工業用の油粘土と金属板

加圧装置をプレス装置が下降した状態で、上下の板のすき間を測定するための方法を紹介します。

 

測定方法は下記の通りです。

  • 上側の板が上昇した位置で、下側の板の上に、工業用の油粘土を金属板でサンドイッチした測定サンプルを測定する箇所に配置し、その状態で下降して潰します。その後、上側の板を上昇させてこの潰れた測定サンプルをノギス、マイクロメーター、ダイヤルゲージなどで測定することで数値化することができます

 

工業用の油粘土と金属板で測定する方法

測定サンプルで測定する

測定サンプルで測定する

 

測定に使用するものはコレです。

  • 工業用の油粘土(レオン粘土)
  • 金属板(1mm~2mm程度の板厚)

※下記に瀬戸製土株式会社の工業用粘土を紹介します。

出典:瀬戸製土株式会社 油粘土タイプ レオン油土

レオン油土はハンドメイドデザインの歴史を熟知した最高級の油粘土です。造形表現の限りない可能性を追求し、インダストリーデザインをはじめ、美術、工学、彫刻などアーティスティックな分野で幅広い用途にお応えしています。
油粘土タイプは、普通の粘土と同じ手触りで、しかも空気中に長時間放置しておいてもタッチがそのまま変わりません。

レオン油土の商品

 

工業用の油粘土は、ホームセンターなどで販売されている工作用の油粘土や、電気工事・配管工事などで使用されるシールパテ(ネオシールなど)よりも硬く、例えば「レオン油土」は、標準硬度の一般用、中間硬度の工業用、高硬度の精密用の3種類がラインナップされています。

すき間を押し潰して測定する用途では、油粘土が柔らかいと、持ち運んだだけで変形してしまったり、測定器で押さえたときに変形してしまったりするため、正確な測定結果が得られません。そのため、基本的にはなるべく硬い油粘土を使用する必要があります。

また、金属板を使用する理由ですが、油粘土だけで測定すると、硬い油粘土であっても、持ち運ぶ際に変形したり、ノギスやダイヤルゲージなどの測定器で押さえたときに測定子が油粘土へ食い込んだりすることがあるため、油粘土を金属板でサンドイッチするわけです。

具体的には、金属板を使用することで、油粘土をしっかり保持できるため、測定サンプルを持ち運ぶ際の変形を抑えることができ、また、測定器を金属板に当てて測定することで、測定子が油粘土に直接触れることがなく、測定時に油粘土が変形することがありません。

つまり、油粘土で「すき間の形状を記録」し、金属板で「その形状を保持して測定しやすくする」という方法になるわけです。

 

はんだ線ですき間を測定する方法

基盤や配線を接合するために使用する「はんだ線」は、柔らかい素材なので潰して厚さを測定することができます。

有名な使用例として、エンジンのシリンダーヘッドとピストンのクリアランス測定があります。はんだ線を測定箇所に入れ、ピストンを上死点まで動かしてはんだ線を押し潰し、取り出したはんだ線の厚さを測定することで、ピストンとシリンダーヘッドのすき間を確認します。

この方法は機械装置のすき間測定にも応用できますが、使用するはんだ線の線径より大きなすき間の測定には適していません。例えば、ホーザンでは0.3 mm~1.6 mmのはんだ線がラインナップされているため、測定したいすき間に合わせて適切な線径を選ぶ必要があります。

 

潰れ具合と測定精度

と言うことで、工業用の油粘土と金属板で測定サンプルを作り、実際に押し潰したらどうなるのか?をやってみました。

 

テストの条件

  • 気温・湿度:26度・19%
  • 加圧方法:油圧プレスを使用
  • 測定方法:ノギス測定とダイヤルゲージ測定
  • 金属板:ステンレスの板厚1.0mm
  • 油粘土:中間硬度の「工業用」、高硬度の「精密用」の2種類

※今回はテストなので、油圧プレスで加圧します。

 

今回、改めてテストしてみたところ、気温26℃、湿度19%の環境では、中間硬度の「工業用」と高硬度の「精密用」で、固さの違いを明らかに感じることはありませんでした。

ただ、真冬の低温環境では使用した経験がないため、気温によってどの程度固さや扱いやすさに違いが出るのかは分かりません。

また、測定サンプルを作る際には、金属板と油粘土の大きさを、測定したいすき間に合わせて調整する必要があるので注意してください。

例えば、金属板が小さすぎると、油粘土を押し潰したときに金属板からはみ出してしまい、取り出した後の測定がやりにくくなります。

一方で、大きなすき間を測定しようとすると、それに合わせて油粘土のサイズも大きくする必要があります。そうなると、油粘土を安定して押し潰すために、金属板もそれに合わせて大きくする必要があります。

そのため、実際の測定位置、測定範囲、すき間の大きさ、加圧方法などを考慮し、その測定条件に適したサイズの測定サンプルを準備することが大切です。

 

潰れ具合と測定精度

レオン粘土の中間硬度の「工業用」、高硬度の「精密用」の2種類でテストします

レオン油土の中間硬度と高硬度

粘土は固いので、スクレーパーなどで切り分けると使いやすいです

油粘土をスクレーパーで切り分ける

油粘土を玉にします

測定サンプルを作る

玉にした油粘土を金属板でサンドイッチします。これが測定サンプルとなります。

加圧装置やプレス装置の測定したい部分に配置して使用します。

測定サンプルを作る

テストの為、油圧プレスで潰してみました。

潰してみると、より固さがでているように感じます。

テストで潰してい見る

潰してみると、より固さがでているように感じます。

テストで潰してみる

ノギスで測定してみました。

力をかけて測定すると粘土が変形してしまうので、力加減には注意が必要ですが、簡単に変形するような柔らかさではありません。

測定サンプルをノギスで測定し見ている

マイクロメーターで測定してみました。

数回測定したところ、1/100台での誤差がありましたが、この測定サンプルであれば、この程度はOK範囲であると思います。

測定サンプルをマイクロメーターで測定してみる

 

粘土を使用する以上、1/100mm単位の測定精度には確信が持てませんが、測定できない部分を数値化する方法としていは非常に有効であると思います。

参考にしてください。

 

油粘土が硬いときは?

油粘土は気温の低い時期には硬くなり、扱いにくくなります。

その場合は、室温を上げるなどして油粘土自体を温め、柔らかくしてから使用します。

また、油粘土の種類によっては、油分を加えて柔らかさを調整する方法もあります。ただし、やりすぎないように、少量ずつ加えて硬さを確認する必要があります。

 

ポイントまとめ

それでは、工業用の油粘土ですき間を測定する方法について重要なポイントをまとめておきます。

ポイント

  • 工業用の油粘土を使えば、測定工具が入らないすき間も数値化できる
  • 油粘土を金属板でサンドイッチすることで、変形を抑えて測定しやすくなる
  • 油粘土は硬度や温度によって変形しやすさが変わるため、測定条件に合わせて選ぶ
  • 1/100mm単位の高精度測定には限界があるが、測定できないすき間の確認には有効

 

以上4つのポイントです。

 

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以上です。

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