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溶接ナットとは?薄板に「めねじ」を作れる便利なナット
溶接ナットとは
溶接ナットとは、金属の板材に溶接して固定し、めねじの機能を持たせるためのナットです。JIS B 1196で規格化されており、別名「ウエルドナット」とも呼ばれます。
また、溶接を前提としているので表面処理がない生地が一般的ですが、めっき処理されているモノもあります。
※溶接ナット(JIS B 1196)以外に、JIS B 1200で規格化されている「フランジ付き六角溶接ナット」もありますが、今回の記事では割愛します。
出典:ミスミ ウエルドナット
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鉄やステンレスの薄い金属板には十分なねじ山を確保することできないため、薄板に部品を固定する場合は、下記の方法が取られます。
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ボルトとナットで固定
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ナットを溶接しボルトで固定
このなかで、ナットを溶接して固定する方法に使用されるのが「溶接ナット(ウエルドナット)」です。
溶接ナットは、「パイロット」と呼ばれる案内形状と、溶接時に溶融する「溶接突起」を設けた端面形状になっており、プロジェクション溶接(圧力をかけて溶接突起に電流集中し発熱させて溶接する)やスポット溶接(金属を上下から圧力をかけながら電極で挟み電流を流して溶接する)で結合します。
そのため、TIG溶接などでナットを金属板に溶接する場合は、溶接ナットではなく、通常のナットの生地(表面処理なし)を使用することが多いかもしれません。
また、溶接ナットの外形には、六角形の「六角溶接ナット」、四角形の「四角溶接ナット」、フランジを持つ「T形溶接ナット」があります。
これらはナットの形状によって、パーツフィーダーによる供給のしやすさ、ナットを所定の位置にセットするための治具の構造、溶接する部分の形状や位置などが異なるため、製造工程や自動化設備との相性も考慮して使い分ける必要があります。
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溶接ナットの特徴
溶接ナットの最大のメリットは、薄板にナットを溶接して固定することで部品をボルト固定できる点にありますが、その他さまざまな特徴があるので、まとめておきます。
溶接ナット(ウエルドナット)の特徴は下記の通りです。
- 一般的に生地(表面処理なし)で使用されるが、めっきなどの表面処理を施した製品もある
- 溶接ナット(ウエルドナット)は、金属の板材に溶接してめねじの機能を持たせるためのナット
- JIS B 1196で規定されている溶接ナットのねじの呼びは、M4、M5、M6、M8、M10、M12、です
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JIS B 1196で規格化されている一方、メーカー独自仕様の製品も流通しており、形状にはさまざまなバリエーションがある
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金属板にプロジェクション溶接やスポット溶接で取り付けることを前提とした形状になっている
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通常のナットとは異なり、ナットの端面はパイロット(案内形状)と溶接突起の形状を持つものがある
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パイロット(案内形状)タイプは、金属板の下穴にパイロット部分を入れることで溶接前に位置を決めできる
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溶接突起は、プロジェクション溶接などで発熱・溶融・結合する部分として機能する
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溶接ナットには、六角・四角・T形など複数の形状があるため、製造工程や自動化設備との相性も考慮して使い分ける
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TIG溶接などでナットを板材に取り付ける場合には、溶接ナットではなく通常ナットの生地を使用することがある
溶接ナットの規格
JIS B 1196-2015に規定される溶接ナットの形状、寸法を紹介します。
形状の一覧表(※JIS B 1196-2015)
| 種類 | 形式 | 溶接方法の別 | パイロットの有無 | 張出しの有無 |
|---|---|---|---|---|
| 六角溶接ナット | 1A形 | プロジェクション溶接 | あり | - |
| 六角溶接ナット | 1B形 | プロジェクション溶接 | なし | - |
| 六角溶接ナット | 1F形 | プロジェクション溶接 | なし | - |
| 四角溶接ナット | 1C形 | プロジェクション溶接 | - | なし |
| 四角溶接ナット | 1D形 | プロジェクション溶接 | - | あり |
| T形溶接ナット | 1A形 | プロジェクション溶接 | あり | - |
| T形溶接ナット | 1B形 | プロジェクション溶接 | なし | - |
| T形溶接ナット | 2A形 | スポット溶接 | あり | - |
| T形溶接ナット | 2B形 | スポット溶接 | なし | - |
JISに基づく形状と寸法の一覧表(寸法は抜粋して掲載しています)
出典: 由良産商株式会社 溶接ナット(ウエルドナット) 種類の形状と形式 (JIS B 1196)
六角溶接ナット 1A形 パイロットあり
| 六角溶接ナット 1A形 パイロットあり | |||||
| ねじの呼び | 外形 | パイロット | |||
| 並目 | 細目 | s(2面幅) | h | d2 | h1 |
| M4×0.7 | 11 | 5 | 7 | 0.8 | |
| M5×0.8 | 11 | 5 | 7 | ||
| M6×1 | 13 | 6 | 9 | ||
| M8×1.25 | M8×1 | 15 | 7.5 | 11 | |
| M10×1.5 | M10×1 | 17 | 9(強度区分5)10(強度区分8) | 13 | 1.2 |
| M10×1.25 | |||||
| M12×1.75 | M12×1.25 | 19 | 11(強度区分5)12(強度区分8) | 15 | |
| M12×1.5 | |||||
※通常ナットとは二面幅の寸法が違うので、見た目で判断すると間違えます。
六角溶接ナット 1B形 パイロットなし
| 六角溶接ナット 1B形 パイロットなし | |||
| ねじの呼び | 外形 | ||
| 並目 | 細目 | s(2面幅) | h |
| M4×0.7 | 11 | 5 | |
| M5×0.8 | 11 | 5 | |
| M6×1 | 13 | 6 | |
| M8×1.25 | M8×1 | 15 | 7.5 |
| M10×1.5 | M10×1 | 17 | 9(強度区分5)10(強度区分8) |
| M10×1.25 | |||
| M12×1.75 | M12×1.25 | 19 | 11(強度区分5)12(強度区分8) |
| M12×1.5 | |||
※通常ナットとは二面幅の寸法が違うので、見た目で判断すると間違えます。
六角溶接ナット 1F形 パイロットなし
| 六角溶接ナット 1F形 パイロットなし | ||||
| ねじの呼び | 外形 | |||
| 並目 | 細目 | s(2面幅) | m(強度区分5) | m(強度区分8) |
| M4×0.7 | 11 | 4 | 5 | |
| M5×0.8 | 11 | 4 | 5 | |
| M6×1 | 13 | 5 | 6 | |
| M8×1.25 | M8×1 | 15 | 6.5 | 7.5 |
| M10×1.5 | M10×1 | 17 | 8 | 10 |
| M10×1.25 | ||||
| M12×1.75 | M12×1.25 | 19 | 10 | 12 |
| M12×1.5 | ||||
※通常ナットとは二面幅の寸法が違うので、見た目で判断すると間違えます。
四角溶接ナット1C形 パイロットなし、 四角溶接ナット1D形 パイロットなし
| 四角溶接ナット1C形及び1D形 パイロットなし | ||||
| ねじの呼び | 外形 | |||
| 並目 | 細目 | s(2面幅) | m(強度区分5) | m(強度区分8) |
| M4×0.7 | 8 | 3.2 | 4 | |
| M5×0.8 | 9 | 4 | 5 | |
| M6×1 | 10 | 5 | 6 | |
| M8×1.25 | M8×1 | 12 | 6.5 | 7.5 |
| M10×1.5 | M10×1 | 14 | 8 | 10 |
| M10×1.25 | ||||
| M12×1.75 | M12×1.25 | 17 | 10 | 12 |
| M12×1.5 | ||||
T形溶接ナット 1A形 パイロットあり、 T形溶接ナット 1B形 パイロットなし
| T形溶接ナット 1A形及び1B形 | |||||||
| ねじの呼び | 外形 | パイロット | |||||
| 並目 | 細目 | dc | s | d1 | t | d2 | h1 |
| M4×0.7 | 20 | 12 | 5.4 | 1.2 | 7 | 0.8 | |
| M5×0.8 | 20 | 12 | 6.2 | 1.2 | 7 | ||
| M6×1 | 23 | 14 | 7.8 | 1.6 | 9 | ||
| M8×1.25 | M8×1 | 23 | 14 | 9.5 | 1.6 | 11 | |
| M10×1.5 | M10×1 | 30 | 19 | 12.5 | 2 | 13 | 1.2 |
| M10×1.25 | |||||||
| M12×1.75 | M12×1.25 | 32 | 21 | 14.5 | 2 | 15 | |
| M12×1.5 | |||||||
※一般的に流通しているT形溶接ナットとは寸法の違いが複数あるので、実際に使用するナットの寸法を確認してください。
T形溶接ナット 2A形(タボなし≪小さな突起≫) パイロットあり、 T形溶接ナット 2B形 パイロットなし
| T形溶接ナット 2A形及び2B形 | |||||||
| ねじの呼び | 外形 | パイロット | |||||
| 並目 | 細目 | dc | s | d1 | t | d2 | h1 |
| M4×0.7 | 23 | 12 | 5.4 | 1.2 | 7 | 0.8 | |
| M5×0.8 | 24 | 12 | 6.2 | 1.2 | 7 | ||
| M6×1 | 26 | 14 | 7.8 | 1.6 | 9 | ||
| M8×1.25 | M8×1 | 28 | 14 | 9.5 | 1.6 | 11 | |
| M10×1.5 | M10×1 | 32 | 19 | 12.5 | 2 | 13 | 1.2 |
| M10×1.25 | |||||||
| M12×1.75 | M12×1.25 | 36 | 21 | 14.5 | 2 | 15 | |
| M12×1.5 | |||||||
※一般的に流通しているT形溶接ナットとは寸法の違いが複数あるので、実際に使用するナットの寸法を確認してください。
参考
六角溶接ナットの2面幅のサイズは通常ナットとは違うので、見た目で判断すると間違うことがあります。
M4の2面幅は、通常ナット7mm 溶接ナット11mm
M5の2面幅は、通常ナット8mm 溶接ナット11mm
M6の2面幅は、通常ナット10mm、溶接ナット13mm
M8の2面幅は、通常ナット13mm 溶接ナット15mm
M10の2面幅は、通常ナット17mm 溶接ナット17mm
M12の2面幅は、通常ナット19mm 溶接ナット19mm
溶接ナットの参考動画
溶接ナットをどのようにして金属板に取付けているのか?
良く分かる動画を載せておきます。
ポイントまとめ
それでは、溶接ナット(ウエルドナット)について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 溶接ナットは薄板に溶接して、ボルト固定用のめねじを設けるナットです
- プロジェクション溶接やスポット溶接を前提とした形状となっています
- パイロット付きは、板材の下穴に入れて位置決めできます
- 六角・四角・T形など、用途に応じた形状があります
- 通常の六角ナットとは二面幅が異なるため、サイズの見た目判断に注意してください
以上5つのポイントです。
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関連記事:【締結要素】
以上です。






