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【回転運動の要素】

ベアリングナットとは?特徴と注意点【軸受け用ロックナットは菊座金で緩み止め】

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ベアリングナットとは?特徴と注意点

ベアリングナットとは

ベアリングナットの正式名称は軸受用ロックナットといい、JIS規格(JIS B 1554)で規格化されている機械要素部品です。

 

主な用途は以下の通りです。

  • 軸方向の「すきま(ガタ)」を調整する
  • ベアリングに「予圧(プリロード)」をかける
  • ベアリングをシャフト(軸)に固定し、位置決めを行う

 

出典:株式会社ミスミ ナットと菊座金によるベアリング固定(使用方法)

ミスミのベアリングナットと菊座金の使用方法

出典:株式会社冨士精密 ベアリング用ゆるみ止めナット

冨士精密のベアリングナットと菊座金の使用方法

 

一般的な六角ナットとは異なり、外周に複数の切欠き溝(4切欠き形や8切欠き形)が設けられているベアリングナットは、フックスパナや引っ掛けスパナなどの専用工具を用いて締め付けを行います。

このナットは、ベアリングをシャフトに固定するだけでなく、ナットの締付けトルクや締付け位置を微調整することで、ベアリングの軸方向のすきま(ガタ)と予圧(プリロード)調整を行い、回転精度を高めることができます。

そのため、回転や振動によってナットが緩むと、せっかく調整した位置や与圧が狂って機械の故障に直結するため、基本的には「菊座金(きくざがね)」と呼ばれる周囲に複数のツメがついた特殊なワッシャーと組み合わせて使用します。

菊座金は、あらかじめ加工されている軸の溝に、内爪に合わせて挿入し、ナットを締め付けた後に菊座金の外爪をナットの切欠き溝に折り込むことで、物理的にナットが回らないようロックする仕組みになっています。

 

ベアリングナットの特徴

ベアリングナット(軸受用ロックナット)の特徴をまとめみました。

  • ナット端面の直角度(精度)が高い
  • 薄いので省スペースに取付けできる
  • 細目ねじなので締付けの微調整ができる
  • 菊座金と併用することで緩み止めができる
  • ベアリングをシャフト(軸)に固定することができる
  • アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受の与圧調整ができる
  • 専用工具(フックスパナ・引っ掛けスパナ)で締付ける

 

ベアリングナットと菊座金

ベアリングナット

溝ナットの外観

 

ベアリングをシャフト(軸)に固定するためのベアリングナット(軸受用ロックナット)は、通常のナットに比べて厚みが薄く、省スペースである特徴があります。

また、ねじ山には位置やトルクの微調整がしやすい「細目ねじ」が採用されており、ナット端面の直角度(精度)が高く作られているため、正確な取り付けができます。

締め付けには外周の切欠き溝を使用する「フックスパナ・引っ掛けスパナ」などの専用工具を用い、その締め付け具合によってアンギュラ玉軸受や円すいころ軸受の繊細な与圧(予圧)調整を行うことができます。そのため、回転や振動による緩みを防ぐために「菊座金」と併用するのが基本であり、締め付け後に座金のツメをナットの溝へ折り込むことで、物理的にナットを強力にロックする特徴を持っています。

 

ベアリングナットの種類

ベアリングナットの種類について代表的なタイプを紹介します。

  • AN形 / HN形(JIS標準タイプ)
    JIS B 1554で規定されている、最も標準的なロックナットです。外周に4つまたは8つの切欠き溝があり、菊座金(止め座金)と組み合わせて使用します。ANが一般用メートルねじ、HNがメートル台形ねじ、Lが左ねじの記号です。
  • 精密ロックナット(高精度・工作機械用)
    工作機械の主軸や精密測定器など、極めて高い回転精度やシビアな予圧調整が必要な用途で使用されます。ねじ山や座面を研磨することで高精度に仕上げられているのが特徴です。
  • 緩み止め内蔵ロックナット(Uナットなど)
    ナット自体にフリクションリングや止めねじ(セットスクリュー)などの緩み止め機能が組み込まれたタイプです。菊座金をツメで折る工程が不要です。

 

ベアリングナットのサイズについては、代表的なタイプのAN形を紹介します。

 

4切欠き形ロックナット(AN形) の呼び番号とサイズの一覧表の抜粋(JIS B 1554)

呼び番号 サイズ
AN00 M10×0.75
AN01 M12×1
AN02 M15×1
AN03 M17×1
AN04 M20×1
AN/22 M22×1
AN05 M25×1.5
AN/28 M28×1.5
AN06 M30×1.5
AN/32 M32×1.5
AN07 M35×1.5
AN08 M40×1.5
AN09 M45×1.5
AN10 M50×1.5
AN11 M55×2
AN12 M60×2
AN13 M65×2
AN14 M70×2
AN15 M75×2
AN16 M80×2
AN17 M85×2
AN18 M90×2
AN19 M95×2
AN20 M100×2
AN21 M105×2
AN22 M110×2
AN23 M115×2
AN24 M120×2
AN25 M125×2
AN26 M130×2
AN27 M135×2
AN28 M140×2
AN29 M145×2
AN30 M150×2

 

締付け時の注意点

ベアリングナットはベアリングの位置決めや予圧調整を行う締結部品であるため、締付け方法には注意が必要です。

 

締付けの注意点

  • 細目ねじであるため、ねじ山が損傷しやすい
    異物の噛みこみやねじ山のつぶれによってねじ山がかじり易いので、違和感を感じたら締めこみをやめて、ねじ山を修正すること
  • 切り欠き溝を叩いて締付けや緩めをおこなわないこと
    マイナスドライバーやタガネで溝を叩くと「切欠き部が変形する」「ナットやねじ部を傷める」「ナットの再利用が困難になる」ことがあります。

 

切り欠き溝を叩くと変形する

溝を叩くと変形します

 

ベアリングナットの締め付けや調整を行う際は、丁寧な取り扱いが不可欠です。

特に、ベアリングナットはピッチの細かい「細目(ほそめ)ねじ」が採用されているため、一般的な並目ねじに比べて小さな異物の噛み込みやわずかなつぶれによって、ねじ山同士が固着する「かじり(焼き付き)」を起こしやすいため、締め付け中に少しでも引っかかりなどの違和感を覚えたら、すぐに作業を止めてねじ山を修正する必要があります。

こうした、かじりや焼き付きを防止する対策として、組付け前にねじ部への潤滑剤(リチウムグリスなど)を薄く塗布することが有効です。

また、外周の切欠き溝にマイナスドライバーやタガネを当て、ハンマーで叩いて締めたり緩めたりする方法は避けた方がよいです。現場で見かけることもある手法ですが、これをやってしまうと切欠き部が激しく変形するだけでなく、ナット本体やシャフトのねじ部を傷め、ナットの再利用が不可能になるといった問題が発生します。

ただし、実際の現場では、ナットの締め付けを微調整したい場合には、マイナスドライバー等を当てて加減しながら叩く行為が、実務上やむを得ないケースとされています。

もし、このようにやむを得ず叩く場合は、先端がつぶれている(尖っていない)マイナスドライバー等を使用します。そうすることで、ベアリングナットの溝の変形を最小限に抑えることができます。

 

先端がつぶれているマイナスドライバー

先端がとがっていないマイナスドライバー

 

フックスパナの紹介

ベアリングナット(ロックナット)の締め付けには、「フックスパナ」や「引掛けスパナ」と呼ばれる専用工具を使用します。これらには大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

 

ベアリングナットの専用レンチの種類

  • サイズ別の専用レンチ
  • 調整式(スライド式)の汎用レンチ

 

どちらを使用すべきかと言われれば、安全な作業のために「サイズ専用タイプ」をおすすめします。

サイズ専用タイプはナットの円周にピッタリとフィットするため、力をかけた際にかみ合わせが外れて滑るリスクが低く、安全かつ確実にトルクをかけることができます。

一方、調整式(スライド式)の汎用レンチは1本あれば様々なサイズのナットに対応できるため汎用性が高いのですが、構造上ナットへの密着度がどうしても甘くなるため、強い力をかけた瞬間に「フックが外れて滑る(空振りする)」危険性があります。

そのため、それぞれのサイズに応じた専用レンチを使用するのが基本となります。

 

フックスパナの種類

 

フックスパナで「締付ける・緩める」場合の注意点についても紹介しておきます。

  • レンチがスリップして手を挟んだり、ぶつけて怪我をすることがある

 

たとえ専用サイズのフックスパナであっても、工具の特性上スリップ(滑り)のリスクはゼロではありません。

そのため、レンチが不意に滑った勢いで周囲の構造物に手を挟んだり、部品に手をぶつけて怪我をしたりしないよう、「力をかける方向に障害物がないか確認する」「適切な姿勢で引くように力をかける」といった安全対策をすることが重要となります。

 

参考

* 引っ掛けスパナ・フックスパナに関する記事は下記をご覧ください。

要チェック
フックスパナの修理
引掛けスパナの種類とピンタイプ破損事例【フックとピンの使い分け】

続きを見る

 

ポイントまとめ

それでは、ベアリングナットの特徴と注意点について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • ベアリングナットは、ベアリングの固定とガタつきや予圧(プリロード)の微調整ができる
  • 振動による緩みを防ぐため、菊座金のツメをナットの溝に折り込んで物理的にロックする
  • 変形や破損の原因となるためタガネ等で叩くのは厳禁とし、必ずフックスパナを使用する
  • 細目ねじ特有の固着(かじり)を防ぐため、組付け前のグリス塗布がおすすめ

 

以上3つのポイントです。

 

*フックスパナ(引っ掛けスパナ)の購入はこちらから

 

*ベアリングナットの購入はこちらから

 

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以上です。

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