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【締結要素】 【機械組立の心構えと基本】

ボルトの合いマークのやり方と落とし穴【締付確認と再マーキングの重要性】

2026年5月11日

この記事はAIで音声配信しています。

実はこれまで記事にしていなかった「ボルトの合いマーク(マーキング)」について、私自身の再確認の意味も込めて徹底解説しました。

 

ボルトの合いマークのやり方と落とし穴

ボルトを締めたら合いマークをする理由

機械装置業界では、ボルト(ねじ)を締めたあとに「合いマーク」をすることが常識でありルール化されています。

この合いマークは、締結状態を管理するための品質管理として扱われており、客先仕様書や組立基準書にも「締結後は合いマークを実施すること」「増し締め確認後にマーキングすること」などと明記してあることが多いです。

また、組立や現場では、合いマークをおこなうことを「マーキング」と呼び、「このボルト締めたらマーキングしておいて!」といった声を、現場でよく耳にします。

それほど合いマークというのは、機械装置業界では当たり前のように浸透しています。

 

ボルトのマーキング

合いマークとは、ボルト頭部と相手部材にまたがるように一直線を書くこと

ボルトに合いマークをマーキングしている状態

 

では、そもそもこの「合いマーク」とは、何なのでしょうか?

 

合いマークとは、「ボルト頭部と相手部材にまたがるように書かれた一直線のこと」で、

  • 角度締めするときの回転基準にする
  • ボルトの緩みを発見しやすくする
  • ボルトが締め付けられていることを目視確認する

などの目的があります。

 

つまり、合いマークは「ボルトの状態を初心者でも目視で確認することができる手段であると言うことです。

 

合いマークのズレの例

もし合いマークがズレていたら?

ボルトの合いマークのズレ

 

では、合いマークがズレていた場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

  • ボルトが緩んで回転したから線がズレている
  • 部品交換または調整をしたためボルトは締まっているが線がズレている

よくあるパターンとしては、上記2点が考えられます。

 

まず代表的なのが、「ボルトが緩んで回転した」というパターンです。

この場合、作業者が意図的にに緩めて、その後締め忘れたパターンと、振動や衝撃などによってボルトが回転して緩んだパターンの2点が考えられます。

一方で、合いマークがズレているからといって、必ずしも「緩み」とは限りません。

例えば、「部品交換のために一度ボルトを緩めて、その後、締め付けた」「部品調整のために一度ボルトを緩めて、その後、締め付けた」といった作業をおこなった場合でも、ボルトの位置が微妙に変わるため、合いマークはズレます。

このように、合いマークのズレは、「ボルトがマーキングした後に動いた」ということを示すサインであり、その原因が「緩み」なのか、「故意なのか」または、「正常な作業」なのかを判断することが重要になります。

 

いずれにしても、ボルトの状態を見た目で判断できることは、

  • 異常や緩みに早く気付きやすくなる
  • 点検やメンテナンス性が向上する
  • 機械装置の品質維持につながる

といったメリットがあるわけです。

 

 

合いマークに使用するペン

機械装置のボルトに合いマークを行う場合に、どのようなペンを使用すればいいのでしょうか?

 

例として具体的な商品を紹介すると

  • ゼブラ株式会社 油性マジック 「マッキー極細」の「細」を使う
  • 三菱鉛筆株式会社 油性マーカー 「ペイントマーカー」の「細字」か「中字」を使う

この2種類のペンを状況に応じて使い分けます。(これは一例です、実際には会社によって使用するペンは違います)

 

出典:ゼブラ株式会社 油性マジック 「マッキー極細」

ゼブラ株式会社 油性マジック 「マッキー極細」

出典:三菱鉛筆株式会社 油性マーカー 「ペイントマーカー」

三菱鉛筆株式会社 油性マーカー 「ペイントマーカー」

 

この2種類のペンの違いを一覧にまとめると、下記のようになります。

製品名 使用する色 特徴 メリット デメリット
マッキー極細 赤・青の指定が多い 「細」と「極細」の両端タイプ ・乾燥後に粉を吹かないためクリーン環境OKな場合が多い ・視認性が低い・汚れると目立たなくなる
ペイントマーカー 赤・青・ピンク・黄など 「細字」か「中字」のペンを使用する ・視認性が高い・消えにくい・乾燥すると粉を吹く ・乾燥後に粉を吹くためクリーン環境NG

(これは一例です、実際には会社によって使用するペンは違います)

 

マッキー極細 は、「極細」と「細」の両端タイプになっていますが、合いマークに使用するのは、基本的に「細」のほうです。

逆に、「極細」は使わないのか?と思うかもしれませんが、機械組立ての現場では、部品の位置をケガいたり、微妙な位置調整のケガキ線を書いたりするときに使用します。

また、マッキー極細の特徴としては、「乾燥後に粉を吹かないので発塵しにくい」という点があるため、クリーン環境(クリーンルーム)でも使用できる場合が多いです。ただし、デメリットとしては、ペイントマーカーと比べると視認性が低く、油汚れなどで合いマークが見えにくくなることがあります。

一方、ペイントマーカー は、「細字」または「中字」を使い分けて使用します。

使い分けは、ボルトサイズや現場ルールによって変わります。例えば、M3~M12程度までは「細字」で、それ以上のサイズは「中字」といったルールであったり、「とにかく目立つようにしたい」という場合には、小径ボルトでもあえて「中字」を使用し、すべて同じ太さでマーキングすることもあります。

また、ペイントマーカーのメリットは、視認性が高く、合いマークが非常に見やすいことですが、デメリットとして「乾燥後に塗料が粉を吹き、発塵する」があるため、クリーン環境(クリーンルーム)では使用できないので要注意です。

 

私が使用している合いマーク用のペン

これが私が常備している合いマーク用のペンです

常備している合いマーク用のペン

 

合いマークのやり方

合いマークのやり方は、ボルト頭部と相手部材にまたがるように一直線を書くことですが、その様子を動画で確認しておきましょう。

 

 

このように、合いマークのやり方は簡単です。

注意点としては、うまく手が固定できずに、一直線ではなく斜めの線を書いてしまうことがありますが、その場合はやり直します。

具体的には、パーツクリーナーとウエスで合いマークを消して、その後、再度合いマークをおこないます。

ここまで気を使って合いマークできれば完璧です。

 

実は合いマークは絶対ではない

ここまでの説明で、「合いマークがしてあれば安心」と思うかもしれませんが、それには落とし穴があります。

なぜなら、、、、

  • 合いマークしてあるのにボルトが締まっていない

ということが、普通に起きるからです。

 

合いマークしてあるのにボルトが締まっていない

SWが浮いているので、感が良い人は締まっていないと見抜ける。

マーキングしてあるので、見た目は締まっているようにみえるが、実はトルク不足のボルト。これは増し締めしないとわからない。

合いマークトラブルの実態

 

では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

 

よくある原因に

  • 最後にまとめて増し締めをおこない、合いマークをする

という作業工程です。

 

例えば、現場リーダーや先輩が「そこは、試運転終わってから合いマークしよう」「あとで調整するかもしれないから、仮締めのままでいいわ」といった指示があり、ボルトの締め付け確認や合いマークを後回しにしてしまうケースです。

 

するとどうなるか?

出荷前の増し締め作業で「工具が入らない」「手が届かない」「めんどくさい」といった状況になり、「増し締め確認していないけど、とりあえず合いマークだけする」という行動につながってしまいます。

さらには、「誰かが確認するから自分はやらなくていい」「ボルトがたくさんありすぎて見落とした」といった理由から、合いマークすら無いボルトが発生することもあります。

こうなってしまうと、「マーキングがある=絶対に締まっている」とは言えず、合いマークの運用の根本的な問題となります。

 

では、このような合いマークトラブルを防ぐためには、どうすれば良いのでしょうか?
重要なのは、「合いマークを一番最後にまとめてやらない」ということです。

 

具体的には、

  • ボルトを締めたら、その場ですぐ合いマークする
  • 試運転時に調整し問題なければ、すぐに合いマークする
  • ユニット単位での組立が完了したら、すべて合いマークする
  • 調整するときは「パーツクリーナーでマーキングを消す → 緩める → 締めたら合いマークする」

ことを徹底することです。合いマークを一番最後にまとめてやらずに、作業単位でこまかく、その場その場で合いマークするのです。

 

しかし、これを徹底することは、簡単ではありません。

私は以前、機械装置メーカーに18年間勤務しており、そのうち10年は管理職として組立部門を見てきました。

その経験から言えるのは、「ボルトの緩み」や「合いマークのトラブル」を撲滅することは、想像以上に難しいということです。

どれだけ厳しいルールを作っても、どれだけ注意喚起をしても、最終的には「作業者一人一人が自分の勝手な判断で行動してしまう」のです。しかも厄介なのが、しっかりやろうとしていても「うっかりミスで締め忘れてしまう」こともあるのです。

そのため、個人頼みするのではなく、管理者が毎日何度も声掛けすること、現場の全員でチェックし合いお互いのミスも修正してあげること、という雰囲気づくりが必要になるのです。

だから、合いマークは「線を書けば終わり」ではなく、「組立現場全体で品質を維持する文化」まで含めて、初めて機能する管理方法なのです。

そして、ここまでできて、初めて合いマークが「品質管理」として意味を持つようになります。

 

参考

*ねじの締め忘れ対策について、私が過去に書いた葛藤の記事です

要チェック
ねじの締め忘れ対策
ねじの締め忘れ対策とヒューマンエラー【組立精度の向上】

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※組立て作業に必要なボルトの知識と取扱い注意点については、下記の記事で網羅的に解説しています。

要チェック
ボルトの知識と取扱い注意点
組立て作業に必要なボルトの知識と取扱い注意点【機械装置の組立の基本】

続きを見る

 

ポイントまとめ

それでは、ボルトの合いマークのやり方と落とし穴について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 合いマークは、ボルトの緩みや締結状態を目視確認するための品質管理です
  • 合いマークがズレていても、「緩み」だけでなく調整や部品交換が原因の場合もあります
  • 合いマークのペンは視認性やクリーン環境を考えて使い分ける
  • 「合いマーク=安心」ではなく、その場で締付確認と再マーキングを徹底することが重要

 

以上4つのポイントです。

 

※ 油性マジック 「マッキー極細」の購入はこちらから

 

※油性マーカー 「ペイントマーカー」の購入はこちらから(「細字」または「中字」がおすすめです)

 

関連記事:【機械組立の心構えと基本】

以上です。

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