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機械装置を据付ける段取りとして、事前に墨打ちをおこないますが、小さなミスが取り返しのつかないトラブルにつながるため、墨打ち作業は非常に重要な作業です。
特に、装置単体ではなく、ラインの墨打ちとなるとなおさらです。
では、失敗しないためにはどうすればいいのか?
その一つに、据付図面に必要な寸法がもれなく記載されていること、が挙げられます。
今回はその点について、深堀してみます。
記事の目次
機械装置の墨打ちと据付に必要な図面寸法
据付図面と組図では必要な情報が違う
機械装置を据付けるとき、その基準になるのが、工場フロアに引かれた基準線です。
この基準線は「墨」と呼ばれ、文字通り墨ツボで引かれた線のことです。
そして、この墨をフロアに描く作業を「墨打ち」と言います。
墨打ちは、図面上の装置レイアウトに示された装置の芯や位置を、実際のフロアに写し取る作業です。
一見簡単そうに見えますが、装置が分割されていたり、複数の装置が連続して並ぶライン構成になるほど、この作業の責任は大きくなります。
単体の装置を据付けるのとは、まったく別物なのです。

私自身、これまでマテハンラインと呼ばれる生産自動ラインの据付を、メーカーを問わず経験してきました。
その中で、さまざまな据付トラブルも見てきました。
例えば、
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墨の位置が間違っていて、装置の全長がラインに収まらない
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A装置とB装置の芯がズレていて、ワークが受け渡しできない
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A列とB列の芯ピッチが斜めになり、合流するC装置に接続できない
といったトラブルです。
こうしたトラブルの要因に据付(墨打ち)に必要な寸法が不明確なまま据付をしていることが挙げられます。
そのため、次の2つが重要になると思っています。
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据付に必要な寸法を事前に洗い出す(現場側)
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据付のための図面を用意する=据付図面(設計側)
本来であれば、据付図面に必要な情報がすべて網羅されていればいいのですが、実際には、設計側が現場で本当に必要とされる情報を完全に把握するのは難しく、どうしても現場側での事前確認や寸法の拾い出しが必要になります。
そこで次の章から、私のこれまでの経験をもとに、「据付図面に入っていてほしい据付に必要な図面寸法」について、整理していきます。
設計側の人はもちろん、現場で据付作業を行う作業者にとっても、「どんな情報が必要なのか?」を再確認するヒントになると思います。
参考
*装置を迅速かつ正確に据付けるために、出荷前にしておくべきことについて、下記の記事で紹介しています
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【装置を据付ける】装置を迅速かつ正確に据付ける方法【機械装置の組立の基本】
続きを見る
*墨打ちを失敗せずに確実におこなう考え方と心得について、下記の記事で紹介しています
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墨打ちを失敗せずに確実におこなう考え方と心得【機械据付のキホン】
続きを見る
据付に必要な図面寸法
据付図面に入っていてほしい寸法は、大きく2つに分けることが出来ます。
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墨打ちに必要な寸法(位置を決めるための寸法)
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据付に必要な寸法(高さを決めるための寸法)
それぞれの内容を整理すると、以下の通りです。
墨打ちに必要な寸法
据付に必要な寸法
この各項目の寸法を据付図面にすべて記載さてあれば、現場の墨打ちと据付は問題なく進みます。もし、図面に記載がない場合は、現場側がCADで調べるか、または設計側に問合せをして、事前に調べておく必要があります。
それでは、次の章から個別に解説していきます。
参考
*パスライン(PL)とフロアレベル(FL)の意味と考え方については、下記の記事で紹介しています
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パスライン(PL)とフロアレベル(FL)の意味と考え方【設計と据付に必要な知識】
続きを見る
墨打ちに必要な情報
装置レイアウトの基準寸法
装置レイアウトの基準寸法とは「既設設備や工場建屋に対して、据付する装置の設置位置を明確にするための寸法」のことです。
必要な情報はコレ(例)
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既設設備の芯や外面からの寸法
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工場建屋の柱・壁・床の目地からの寸法
この情報は、墨打ちを行ううえで最初に必要になる基準情報です。
この寸法が分からなければ、極端な話、墨を一本も引くことができませんし、仮に基準が曖昧なまま据付を進めてしまうと、据付途中で装置間の位置ずれや干渉などが発生し、最終的に整合性が取れないラインが完成してしまいます。
ここで、注意したいポイントを確認しておきます。
既存設備の芯や外面からの寸法と工場建屋の柱・壁・床の目地からの寸法は、一方向だけでは足りません。
必要になるのは、2方向の位置情報です。
2方向の位置情報
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X方向(横方向)
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Y方向(縦方向)
この2つの寸法が揃ってはじめて、装置の位置がフロア上で決まるので見落とし注意です。
墨打ちの方法
最近はレーザー墨出し器を使って墨打ちを行う場面が増えてきました。ただ、長距離であり、曲がりが多数あるような墨打ちとなると、レーザー墨出し器では役不足です。
そのような場合には、セオドライト(角度測定器)を使う方が信頼性が高い墨打ちが可能となります。
私が独立するときにわざわざ60万もするソキアのセオドライトを購入した理由がそれです。私は装置単体の据付ではなく、ライン全体の据付を経験してきたし、エンドユーザーさんにとって一番重要なことは、装置単体の据付精度よりも、最終的にラインとして正しいかどうか、と言うことを理解しているからです。
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セオドライトの特徴と使用方法【トランシット】
続きを見る
装置単体の装置芯
装置単体の装置芯とは、ワークの搬送中心や、ワークが出入りする位置の基準となる芯のことです。
なぜ「装置芯=ワークの芯」が重要なのか?と言うと、、、、
それは、その装置が外部とやり取りするのは、あくまで「ワーク」だからです。
その為、据付図面には、装置芯に対しての様々な位置関係の寸法を記載しておく必要があり、据付するための芯と一致している必要があります。
もし墨打ちした芯と装置芯が図面上一致しないのであれば、それは据付には使えない情報となるからです。
ワークとは
ワークとは、製品や治具など、機械装置によって搬送・加工・組立される対象物のことを指します。
製造途中の製品(半製品)であったり、完成品であったり、あるいは製品を搬送するための治具など、装置が何らかの処理を行う対象のことです。
装置間の芯ピッチと累進寸法
装置間の芯ピッチおよび累進寸法とは、複数の装置における装置芯同士の位置関係を明確にするための寸法です。
芯ピッチとは、装置の芯と芯の間隔を示した寸法で、図面では直列寸法で表現されます。
一方、累進寸法は、基準位置から各装置芯までの距離を示した寸法です。(並列寸法で記載する方法でも良いです)
図面上、本来は直列寸法と累進寸法は並記しませんし、また、芯ピッチの情報だけでも、理論上は墨打ちを行うことは可能です。
しかし実際の現場で、芯ピッチ寸法のみで墨打ちすると、誤差が発生します。
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メジャー(巻き尺)の誤差
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作業者のケガキ作業による誤差
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長距離になるほど蓄積される測定誤差
といった要因により、距離が長くなるほど誤差が大きくなっていき、50mm以上ズレる(大抵は長くなる方向でずれる)ことも珍しくありません。
このズレが問題にならない場合もありますが、既存装置と接続する場合や他メーカーの装置と接続する場合においては、帳尻が合わず、据付トラブルの原因になります。
では墨打ちするときに、芯ピッチと累進寸法をどのように使い分けるかと言うと
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芯ピッチで順番に墨打ち、または仮のケガキを行う
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累進寸法で全体の位置を確認し、誤差があれば修正する
つまり、芯ピッチで測定する誤差、累進寸法で測定する誤差、この2つの異なる誤差を打ち消すための方法となるのです。
また、この方法には、誤差を最小限にするためだけでなく、作業者の寸法の見間違いを防ぐ効果もあります。
「芯ピッチでは正しかったはずなのに、累進寸法で図りなおしたら100mm違う、、、、」
このようなうっかりミスを防ぐための、2つの方法で測定することは大きな効果があります。
参考
*墨打ちを失敗しないための心構えについて、下記の記事で紹介しています
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墨打ちを失敗せずに確実におこなう考え方と心得【機械据付のキホン】
続きを見る
装置単体の外形寸法
装置単体の外形寸法は、レイアウト上の装置のサイズ感を把握するためであったり、墨打ちの際に装置同士の外形の位置関係を把握するために必要な寸法です。
もし、据付図面に必要な情報が不足している場合でも、装置単体の外形寸法が分かっていれば、計算によって算出することも可能です。
装置単体の外形寸法とはコレ
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幅(W)
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奥行(D)
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高さ(H)
このように、いわゆる装置の外形サイズを指します。
さらに、装置の形状に凹凸がある場合には、張り出し部分や引っ込み部分の寸法も必要になります。
据付では、装置の芯だけではなく、装置と装置の位置関係を具体的にイメージできる情報が必要なのです。
この寸法が据付図面に必要な理由は、次の2つ
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装置と装置の位置関係(装置間のすき間)を把握するため
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据付時に干渉や矛盾が生じた場合に、実際の装置サイズ(完成品)と図面寸法に差異がないかを確認するため
このように、芯だけでは判断できない部分を補うために、外形寸法が必要になるわけです。
参考
*墨打ちしたラインが消えないようにする方法を下記の記事で紹介しています
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【据付必見】墨打ちが消えない方法【ヘアスプレーとクリアスプレーで対策する】
続きを見る
装置間の外形ピッチと累進寸法
装置間の外形ピッチおよび累進寸法とは、複数の装置の外形同士の配置関係を把握するための寸法です。墨打ちの際には、基準となる芯の近くにマーキングし、装置の据付位置を決定するために使用します。
なぜ、ピッチ(直列寸法)と累進寸法が必要なのか?については、前述の「装置間の芯ピッチと累進寸法」でも説明しているので割愛します。
では墨打ちの際に、外形ピッチと累進寸法をどのように使うかと言うと
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外形ピッチで順番にマーキング、または仮のケガキを行う
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累進寸法で全体の位置を確認し、誤差があれば修正する
このように、外形ピッチで発生する誤差と、累進寸法で発生する誤差という異なる2種類の誤差を相互にチェックし、打ち消して墨打ちする方法になります。
また、実際の据付では、装置の外形寸法の製作公差により、マーキングした位置(図面通りの位置)に収まらないことが多々あります。
その場合は、装置間のすき間で誤差を吸収し、最終的にライン全長と装置間の芯ピッチが墨(据付図面)と一致するように合わせ込みます。つまり、装置間は設計段階で、「すき間ありき」で装置設計しなければならないとも言えます。一般的にはすき間10mm~20mm程度となります。
つまり、最終的に重要なのは
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外形寸法は調整対象、芯寸法は絶対基準
と言うことになります。
参考
*レーザー墨出し器で装置芯をけがく方法を下記の記事で紹介しています
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【マキタ最強】レーザー墨出し器で装置芯を正確にケガく方法【センターライン】
続きを見る
据付に必要な情報
既設装置または他メーカー装置との高低差
新規で据付ける機械装置が、既存設備や他メーカーの装置と接続される場合、重要になるのが搬送レベル(パスライン)が一致している、または設計値の高低差であることです。
(新規装置が複数ある場合は、その装置同士の搬送レベルの高低差情報も必要です。)
必要な情報は下記の通りです
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新規装置の搬送レベル
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既設装置・他メーカー装置の搬送レベル
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両者の高低差(+方向/-方向)
据付の基準となるのが、既設装置・他メーカー装置の搬送レベル(パスライン)です。この基準に対して、新規装置の高さを図面寸法に合わせるために
もし、高低差がわからなければ、据付はできませんし、間違っていれば、据付後の試運転でトラブルが発生します。
そのため、この情報は据付け図面に必ず明記する必要があります。
もし搬送レベルが間違っていると
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ワークの受け渡しができない
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搬送レベルを再調整しなければならない
これって、ちょっと調整すれば解決するでしょ?って思われるかもしれませんが、据付がやり直しとなるリスクがあり大変危険です。
しかも、既設装置・他メーカー装置は、正確な事前情報が乏しいことがあるので、現物を測定して整合性をとる方法も検討した方がいいです。
フロアからの搬送レベルとベースフレームまでの高さ
機械装置の高さの基準(設計の基準)となる情報として、フロアからの搬送レベル、またはベースフレーム上面までの高さがあります
なかでも、重要なのは搬送レベルが正しいかどうかです。この高さが一致していなければ、ワークの受け渡しが成立せず、ラインとして機能しないからです。
一方で、補助的な情報としてベースフレームまでの高さも据付図面に記載しておく必要があります。
据付する方法としては
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基本は搬送レベルが一致するようにレベル調整する
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仮据付や目安としてベースフレームまでの高さを調整することがある
据付の基準となるのは搬送レベルですが、据付中や試運転でトラブルが発生した場合には、ベースフレーム高さをの位置関係を確認することがあります。
ベースフレームの高さと他ユニットや他装置との位置関係を調べたい、、、、、このような場合に、フロアからベースフレームまでの寸法が役に立つので、据付図面には記載しておく必要があります。
ポイントまとめ
それでは、墨打ちと据付に必要な寸法を再確認しておきます
墨打ちに必要な寸法
- 装置レイアウトの基準寸法
- 装置単体の装置芯
- 装置間の芯ピッチと累進寸法
- 装置単体の外形寸法
- 装置間の外形ピッチと累進寸法
据付に必要な寸法
- 既設装置または他メーカー装置との高低差
- フロアからの搬送レベルとベースフレームまでの高さ
以上の寸法を据付図面に記載する、事前に調べておく、ことによって現場作業は滞りなくすすみますし、もしトラブルが発生しても寸法から対処の方法を見出すことが出来ます。
参考にしてください。
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以上です。







