機械装置業界の人手不足が深刻すぎて泣けてきます。
人材不足で廃業する会社さんはますます増加すると思います。
でも、いくら少子化とはいえ、機械装置業界に人が集まらない要因は、他にもあります。
それは、機械装置業界はブラックボックスになっていいて、「なにをやっている業界なのか?」が求職者に届いていないのです。
だから、SNSで、特に動画で発信しまくったらいいと思っています。
機械装置業界の人材不足を解消するSNS活用術
慢性的な人材不足で今後は廃業が増える
私が機械装置の業界に飛び込んでから、気づけば18年が経ちました。
この間、業界の変化を肌で感じながら仕事をしてきましたが、今振り返ると、長い間「人の大切さ」が軽視されてきたのではないか?そんな思いがあります。
それは、短期的な利益やコスト削減を優先して、派遣社員を積極的に採用し不要になったら契約解除する、または、給与や作業環境の改善にコストをかけずに、「キツイ仕事だから辞めても仕方がない」と言った風潮があったからからです。
とはいえ、当時の社会情勢や企業の生き残りを考えると、やむを得ない判断だったとも思います。リーマンショックのような経済危機を考えると派遣に頼らざるを得ない、低単価でなければ仕事が受注できない、だから社員の給料も上げられない。しかも、短納期や休日出勤が当たり前、、、、それでも、求人を出せはとりあえず人が入ってくる、このような現状もあったからです。
「人を育てる」よりも「今を回す」こと、、、、、、これが実態だったのではなかと思います。
あれから時代は大きく変わり、現在では人手不足が慢性化した問題となっています。
令和に入り、労働時間の削減やパワハラ根絶といった「働き方改革」が進められ、職場環境は以前より確実に改善してきましたが、その一方で、少子化は予想をはるかに超えるスピードで進行し、求人をだしても応募がない状態に陥っています。
しかも、現場を支えてくれていた再雇用のベテラン技術者たちも、次々と引退していくタイミングに差し掛かっています。
こうなると、もう派遣社員を使って一時的に人手を補うだけでは、まったく追いつきませんし、そもそも「会社と一緒に成長する」「技術・技能を伝承する」ことが難しい、、、
そう考えると、あと5年もすれば、事業の継続が難しくなる装置メーカーが急激に増えると危機を抱いています。
人材に関する事業が盛んになっている
人手不足の現在、職業紹介事業を行っている企業は増え続けています。
*職業紹介事業とは、雇用関係の成立をあっせんすることです。
下記のデータからは、人材を必要としている企業がますます増えていて、「人の価値」がこれまで以上に高まっていることが読み取れます。
出典:厚生労働省
ひと昔前までの人材ビジネスと言えば、「人を集めて企業に紹介する」という、「仲介業」のような性質が強かったと思いますが、現在では様々な付加価値をプラスしたサービスへ進化しています。
例えばこんなサービス
- AIを活用したオンライン人材育成
- 各業界に最適な専門職の人材を派遣
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人材データを活用したミスマッチ防止
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企業の口コミを共有するプラットフォーム
人材が圧倒的に不足している時代において、限られた人材を「いかに適切に確保し、定着させ、戦力化していくか?」が採用企業にとっても、人材ビジネスにおいても重要なテーマになっています。
ではここで、「オープンワーク株式会社」の事例を紹介します。
オープンワークは日本最大級の社員口コミサイトであり、スマホのアプリでクチコミ情報と求人情報を閲覧ができ、さらに履歴書を登録すれば求人を受取ることができます。
実際に、「ミスミさん」を検索すると、企業プロフィールのほか、社員クチコミ、年収、質問、採用情報を閲覧することができます。
出典:オープンワーク
Screenshot
このようなサービスは非常に便利で、求職者にとって魅力的な機能が揃っていますが、対象となるのは主に大手企業が中心です。そのため、多くの求職者は大手企業へと流れていくことになります。
ここで問題なのは、日本の企業の大多数は「中小企業」であるということです。
つまり、最新の人材サービスがどれだけ進化しても、大手企業に人材が集中し、中小企業の求人にはなかなか応募が集まらない、、、、、この構図が少子化によって引き起こされた悪循環ではないかと考えられます。
機械装置業界の求人はSNSで
機械装置に関する業務を行っている企業の多くは、中小企業です。私がこれまで関わってきた装置メーカーの多くも、社員数が50人以下という規模でした。
となると、「人材の確保はもう無理なのか?」と思うかもしれませんが、私はそうは考えていません。
なぜなら、ものづくりの実態が悪い意味での「ブラックボックス」になっており、世間から見ると「何をやっているのかが分からない」と思われてるため、求人を出しても応募がない状態となっている事が、少子化問題と同じくらいの要因になっていると思っているからです。
逆に言えば、「社長がどんな人なのか」「何をどうやって作っているのか」「日々の仕事であるあるな事」を伝えることができれば、求職者の共感を誘い、潜在的に眠っているワクワクに火をつけることができるでのはないか?と思っています。*私が機械メーカーに就職したときも、全く想像がつかなかった世界だったので、「なんだんだこの世界は!」と驚いたのを覚えています。
参考
マズローの5段階欲求で考えると、多くの人は仕事に「安定した給与」を求めていると言えそうですが、中小企業が「安定した給与」をアピールしても求職者に響くのか、、、ちょっと疑問があります。安定した給与をもとめるのなら、大手企業の方が安心感がりますから。
一方で、少数ですが「承認欲求を満たしたい」「自分の好きなことを見つけて、思いきり没頭したい」と考える人もいます。
子供の頃から振り返れば、必ずこういった体験をして、興奮して脳汁がでた瞬間があったはずです。
そう考えると、安定した給与はもちろん大切ですが、もっと本能に訴えるようなアピールをした方が良いのではなか、、、と思っています。
それでは、ブラックボックスの機械装置業界の実態を伝えるために、どのような方法を考えてみました。
機械装置業界がやるべきこと
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SNSで情報発信を継続的におこなう
- SNSの専門部署を作りコストかけて取り組む
- 文字ではなく画像と動画で発信する
自由に情報発信できる時代ですから、求人サイトや人材斡旋業者に頼るのではなく、SNS(YouTube、TikTok、Instagram、X)で情報発信するのです。これまでブラックボックスだった機械装置業界を、画像や動画の発信によって「これが機械なのか」「装置の精度ってこうやって調整するのか」などを、相手に直で刺さるようにします。
ありがちですが、SNSをやっているが、「会社紹介の動画だけしか投稿していない」ので中身が伝わってこない、「SNSの更新が長続きしていない」ので求職者の目に止まらない、となっていることが多いです。だから、社内にSNSの部署を作って「XとInstagramは毎日」「YouTubeは週一」と言った具合に、継続し続けることが重要になります。「数打てば当たる」という言葉があるように、発信を続けていれば、必ず少しずつ反響が出てきます。
発信する内容
- 社長や社員の密着
- 社長のフリートーク
- あるあるトラブル対応
- 実際の作業風景や作業紹介
- 装置が完成するまでのストーリー
SNSで発信する内容は上記の通りですが、ポイントは「良い所も悪い所も、正直にありのままの姿を伝える」ことです。
これは、入社後に「こんなはずじゃなかった」と感じるようなミスマッチを防ぐだけでなく、共感してくれる人が求人に応募してくるため、一緒に成長できる仲間を採用しやすくなるメリットがあるからです。
もちろん、SNSで情報発信することは、機密保持の観点から制限が多いと思いますが、そこは工夫次第です。例えば、「人物メインで撮影する」「写せない部分にはモザイクを入れる」「SNS専用のデモ装置や部品を使って撮影する」などです。
参考
業界は違いますが、SNSでバズっている「ゾス」でおなじみのグローバルパートナーズ株式会社さんは、パワハラじゃないの?って思われそうな日常をYouTubeで発信しています。
賛否ありますが、実際のところは「社風を理解して入社している若者が大勢いる」ので、凄いの一言です。
これはいい見本だと思います。誠実に仕事に向き合う姿は、必ず共感してくれる人がいると言うです。
今後、人手不足が解消されることないでしょう。
そのため、外国人労働者や海外研修生の採用は今後さらに進んでいくと思われますが、彼らは一定期間が過ぎると帰国してしまうことがあるので、永住権や国籍を持っていない人はどうしても一時的な労働力にとどまります。
また、AIの導入によって、事務作業や部品加工などの業務は効率化が進んでいますが、どれだけ技術が進んでも、最終的には「人」の力が必要です。
人がいなければ、会社や現場を支えることはできません。
だからこそ、会社と一緒に成長してくれる仲間を見つける努力をしなければなりません。時間とコストをしっかりかけて、求職者に届く努力です。
みんなで機械装置業界のブラックボックスをぶち壊しましょう。
ポイントまとめ
それでは、機械装置業界の人材を確保について重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- 機械装置業界はブラックボックスになっているので「何をやっているか?」分からない
- 求職者に届くようにSNSで情報発信を継続しておこなう
- 機械装置業界の実態、会社のありのままの日常を発信すれば、共感する人が仲間になってくれる
以上3つのポイントです。
関連記事:【社会の仕組み/本紹介/雑記】
以上です。