目次
アジャスタパッドとは
アジャスタパッドとは架台やベースフレームの高さを変更する調整ボルトです。
架台やベースフレームのレベル調整にはアジャスタパットを使用する場合がほとんどですから機械/装置を組立てるうえで必要不可欠ですね。
と言う事で今回はベースフレームの高さ調整としてのアジャスタパッドについて解説しようと思います。
アジャスタパッド
アジャスタパッドの取付
アジャスタパッドの取付は簡単ではありますが押さえておきたいポイントが2つあります。
ポイント1 ステンレスのアジャスタパッド
ステンレスのアジャスタパッドはステンレスの特性上、非常にカジリ/焼付きやすいので注意が必要です。
カジリ/焼付きの原因は以下の通りです。
引用抜粋:鍋屋バイテック 第1話 ”かじり”について考える
(中略)
ねじ山の摩擦熱
ねじを締めつける際の摩擦熱でねじが膨張し、ねじ山が溶着することで、かじりが発生してしまうんだ。
ステンレス鋼製のねじが鉄鋼製のねじよりも、かじりやすいのは、このためだね。
なぜならば、ステンレスは
・摩擦係数が大きく(鉄鋼の2倍)、熱が発生しやすい
・熱伝導率が小さく(鉄鋼の1/3)、熱が逃げにくい
・熱膨張係数が大きく(鉄鋼の2倍)、おねじとめねじが密着しやすい
ため、ねじ山が溶着しやすいんだ。また、高温環境下の場合は、さらにかじりやすくなるため、鉄鋼製のねじでも注意が必要だよ。
ステンレスのねじが焼付きやすい理由がお分かりいただけたでしょうか?
この事をふまえてアジャスタパッドの焼付きについて考えてみますと「レベル調整する時にアジャスタパッドにベースフレームの重量(負荷)がかかった状態でねじを回転させるので強い摩擦が発生し発熱しカジリ/焼付きとなる」と言う事になるのです。
焼付きの原因が分かったところで次に私が行っている対策を紹介します。
私の場合はステンレスのアジャスタパッドの焼付き防止対策として「エイトルーブ」と言うフッ素スプレーを塗布して摩擦抵抗を減らす事で対策しています。
*焼付き防止剤についてはこちらの記事をご覧ください「ねじやガスケットのおすすめ焼付き防止剤と使分け」
おすすめの対策ですので参考にしてください。
アジャスタパッドとエイトルーブ
ポイント2 アジャスタパッドのねじ込み量
アジャスタパッドはねじの「ねじ込み量」で高さ調整(レベル調整)をするのですが初期設定としてねじ込み量に注意が必要です。
ねじ込み量の注意とは「ベースフレームの4隅以外のアジャスタパッドは15mm程度多くねじ込んでおく」です。
その理由は、4隅のレベルが優先だからと言う事です。つまりベースフレームのレベル調整をする場合、4隅のレベルを優先として4隅のアジャスタパッドのねじ込み量で上下させますが、その時に4隅以外のアジャスタパッドは無視して調整するのでレベル調整中に他のアジャスタパッドがフロアに接触してしまってはレベル調整の妨げとなるのです。
例えば4隅のレベル調整中に他のアジャスタパッドが邪魔をしてベースフレームが天秤状態となる事が考えられますね。
*詳しくはこちらの記事をご覧ください「機械装置のベースフレームのレベル出し/水平調整」
アジャスタパッド取付イメージ

アジャスタパッドの取付手順
それでは注意ポイントを考慮して取付手順を下記に示しておきます。
- 「アジャスタパッドの長さ」=「FLとフレーム下面の寸法」を図面で確認
- フレームにアジャスタパッドを取り付ける
- フレームの四隅は”FLとフレーム下面の寸法”にしておく
- フレームの四隅以外は15mmほど多くねじ込んでおく
*ステンレスのアジャスタパッドには焼付き防止剤を塗布する
ロックナットは忘れずに
ここまででアジャスタパッドの取付やレベル調整について話をしましたが、アジャスタパッドのナットを締め付けボルトが回転しないようにロックする事を忘れないでください。*高さ調整後にロックをし忘れてしまう場合があります。
ただしロックナットを締付ける時慎重になって欲しい事があります。
それはアジャストボルトをロックするとレベルが変化すると言うことです。ロックしていない時はねじのガタ(遊び)分でねじに倒れが出ているのです。この状態でロックするとナットの端面がベースフレームの取付面と同じ角度となりボルトの角度も変化します。これによりFLからベースフレームまでの距離が変化しレベルが変わってしまうのです。
ですからロックナットを締付けたら再度レベル測定と微調整を忘れずに行って欲しいのです。
まとめ
今回はアジャスタパッドについて取付の注意ポイントをレベル調整を交えて解説しました。単純な部品ですが要点を把握して後戻りや忘れが起きないように作業をしましょう。
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以上です