今回は「エアシリンダのエアー漏れは寿命」についての記事です。
機械装置にはエアシリンダは欠かせませんので、シリンダのエア漏れと寿命について理解を深めようと思います。
エアシリンダの寿命
エアシリンダの寿命の判断基準はどこでしょうか?
エアシリンダの寿命は「エアー漏れが起きたら寿命」です。
エアシリンダには無給油形と給油形がありますが、いずれもゴムのシールで内部の気密を確保しています。このシールが摩耗してエアー漏れが起きたら交換です。エアー漏れを放置すると突然動かなくなりますのでエアーが漏れたら交換しましょう。
シリンダタイプ | 潤滑方式 | 寿命 |
無給油形 | リチウムグリスを予め塗布 | グリスが無くなるとシールが損傷する |
給油形 | タービン油を供給し続ける | タービン油を給油し続けるので高寿命だが、シールの摩耗は徐々に進む |
メモ
シリンダの寿命は長いもので走行距離8000㎞です。これはおおよそ1600万回往復となります。
エアーが漏れる
給油形は潤滑油が供給され続けるので寿命が長いのですが、無給油形は徐々に内部のグリスが少なくなることとグリスの劣化で潤滑機能の低下するので寿命が短い傾向です。
ですが、寿命が短いと言っても主流は無給油形のシリンダです。そこで、無給油形シリンダがエア漏れを起こした時の延命処置を紹介しようと思います。
延命処置
エアーが漏れたシリンダは本来は交換すべきなのですが、状況によっては延命処置が必要です。
延命処置が必要な理由
- 交換に必要なシリンダを在庫していない
- 装置を止められない(生産優先)ので交換できない
実際にこのような状況が現場ではあります。このような時にどのような方法で延命できるでしょうか?
延命方法
スプレーグリスでシリンダのポートに直接給油する
この方法で延命処置をします。
延命処置の効果
ではスプレーグリスでシリンダに給油することで得られることはどのような事でしょうか?
給油すると
- シールの摩耗進行を抑える(これ以上エアー漏れが酷くならない)
- グリスがエアー漏れ部分に入り込みシール機能を果たすので漏れが少なくなる
このような効果があります。ただしグリスを給油したからと言って飛躍的に寿命が延びるわけでは無く、延命である事を忘れてはいけません。
グリス給油の効果の持続性は経験上おおよそ1日~3日です。
グリススプレーで給油
グリススプレーの種類
グリススプレーには様々な種類があり迷ってしまいますが、シリンダの給油にはリチウムグリススプレーを使用します。なぜかと言われれば、無給油形シリンダに塗布されているグリスがリチウムグリスである事と、シール(ゴム類)を侵さない為です。
シリンダに給油する方法
シリンダに給油するやり方はこのような方法があります。
給油方法
- スピコンの給気口(スピコン経由だど上手くシリンダにグリスが到達しないかも)
- シリンダの給気口(スピコンは外します)
給気口からグリススプレーで給油してシリンダを動作させます。一度の給油ではグリスが行き渡らないので給油と動作を数回繰り返します。
メモ
給油は間違っても5-56のような洗浄能力のある潤滑剤を使用してはいけません。内部のグリスを洗い流し、シール(ゴム類)を侵すので短命になります。必ず使用する潤滑剤の特性は理解したうえで使用してください。
まとめ
今回はシリンダの延命処置の方法を紹介しました。グリススプレーはあまり使うことが無いので持っていない方が多いと思いますが、現場作業がメインの方は持っておくと便利です。その場しのぎですが、無給油形シリンダの給油は使える技だと思います。
*リチウムグリススプレーの購入はこちらから
以上です。