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オイルの異変
先日、オイル交換のため、オイルを抜いた何やら異変があるとメカニックから報告がありました。
問題があったのはデフオイルでした。
問題
「オイルが泡立っている。通常ではありえない。」
これは問題です。通常どのようなオイルでも「消泡剤」を添加し調合されていますので泡立つことはありません。
消泡剤とは
消泡剤とは「泡が出来ないように」または「泡を破壊する」作用があります。潤滑油が泡立つと「潤滑不良」「キャビテーション」「オーバーフロー」が起きます。
オイルはサーキット走行後直後ではなく数日放置していた状態で交換したので、撹拌された直後のオイルではないですから何かの異変が起きた(起きている)に間違いなさそうです。
しかし今回はサーキット走行の予定があったので一先ずオイル交換を済ませて様子を見る事になりました。
デフに異音が発生
オイルを交換してサーキットへ行ったのですが、、、走行開始20分ほどで異変を感じるようになりました。
それは走行中に耳鳴りがする事で気が付きました。走行に集中しているので中々気が付かなかったのですが室内に「低音の唸り音」が響いていました。
一度ピットインしてリアをジャッキアップし簡単な駆動系の確認作業をしましたが異常を発見できませんでした。「何が悪いのか?」「気のせいなのか」・・・コースインして速度を上げていくと高回転で車速を上げていくとやはり異音が発生しているようでした。
何が悪いのか
状況から考えるに駆動系に間違いない。駆動系で異音が起きるのはどこだろうか?
駆動系の異音の原因は?
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デフ
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ミッション
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プロペラシャフト
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ハブベアリング
こんなところでしょうか。この選択肢のなかで今回の状況とオイルの異変を考えると「デフ」ではないか?と思いオーバーホールする事にしました。
デフのオーバーホール
お世話になっているショップでデフを開けてもらい、バラス前に異常がないか確認してもらいました。
下記3点の現状確認をおこないました。
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バックラッシュ
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歯当たり
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人手で回転させてベアリングを触診
結果は特に問題はなかったそうです。
ただ、、、そこからバラしていくとベアリングとLSDのフリクションプレートに異常が見られました。
ベアリングとフリクションプレートの異常
見つかった異常はLSDのサイドベアリングとフリクションプレートです。
サイドベアリングの異常
デフのサイドベアリング
球の接触面
レースに異変が見られます。
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変色(赤や虹色)
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肌が濁っている(光沢がない)
デフのサイドベアリング
この状態を調べますと「フレッティング」と「なし地」の症状が当てはまりそうです。
出典:NTN 軸受と損傷の対策
ケースのはめ合い面
アウターレースの外側であるデフキャリア側のはめ合い面にも異常がありました。
どうやらアウターレースがスリップ(回転)しているようです。アウターレースは半割れのはめ合いでしっかり固定されなければいけません。
デフのサイドベアリング
あくまでも予測ですが
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デフキャリアの変形
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負荷能力以上の大きな力が働いた
このような事が考えられそうです。
LSDのフリクションプレートの異常
フリクションプレートには線状のキズが見受けられました。
通常は面接触なのでこのようなキズは発生しないはずです。
ここから推測される事
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異物の混入
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反りによる点当たり
デフのサイドベアリング
問題のまとめ
今回の問題点をまとめます。
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オイルの泡立ち・・・オイルの劣化(交換頻度が悪かった、温度が高温になりすぎた)
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デフの異音・・・ベアリング損傷やデフキャリアの変形でギアの噛み合いが悪くなった
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ベアリングの異常・・・オイル潤滑不良、デフキャリアの変形で予圧が低下した
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フリクションプレートの異常・・・オイルの潤滑不良、油温が高温になりフリクションプレート変形、異物混入
全てに共通しているキーワードは「オイル」です。走行毎に交換していたわけでは無かったので、オイルの交換頻度が悪かった可能性は否めません。
他の異常や予測される原因については現段階では判断しかねる状態です。オイル起因で全ての問題が起きたとすればオイル管理で全て解決するはずですが本当にそうでしょうか?なんだかそうとも言い切れない気がしています。
そうは言っても前には進まないので、まずはオイルの交換頻度を再検討することとし経過を観察していこうと思います。
この件について続報あれば更新していきます
参考
関連記事:【潤滑油/グリス/ケミカル 】
以上です。