組立ての技術 チェーン

ローラチェーンの摩耗判断とたるみ量調整(テンション調整)

チェーンとは

チェーンとは鎖の事で、何かと噛み合わせたり引っ張ったりして伝動するモノです。

 

ローラチェーン

ローラチェーンとはスプロケットに噛み合わせる事を想定して、噛み合う部分が円滑になるようにローラーが組み込まれているチェーンです。

 

ローラチェーンの伝動の方法には下記のような方法があります。

  • ローラチェーンをスプロケットに噛み合わせて動力を伝達させる
  • ローラチェーンの端を引張って伝動する(吊り下げなど)
  • レール状にローラチェーンを設置して、スプロケットがチェーン上を走行する

このような使用方法が一般的です。

 

引用抜粋:椿本チエイン ドライブチェーン&スプロケット 取扱説明書 P4

 

今回はコンベアなどの搬送系によくみられる、ローラチェーンにスプロケットを使用して伝動する方法を前提として話を進めたいと思います。

 

伝動させる為に必要な事

ローラチェーンの伝動で大切な事は下記の2点です

  • チェーンのたるみ量
  • 給油

 

チェーンのたるみ量

効率よく伝動する為にはたるみは無い方が良いのですが、ローラチェーンの場合は適度なたるみ(遊び)が必要となります。

 

たるみが必要な理由

  • チェーンの屈曲具合やスプロケットの傾き精度などでチェーンテンションにムラがでるので誤差を吸収する
  • 潤滑油の油膜確保(構造部品に適度なすき間が必要)
  • チェーンを張りすぎると構造部品が負荷と油膜切れで早期摩耗となる

たるみが必要と言っても、たるみが多すぎてしまうと問題が起きてしまいますでの注意が必要です。

 

たるみが多い時の問題

  • 応答性が悪い
  • フリクションロス(摺動抵抗)
  • 騒音(ガチャガチャ音)
  • スプロケットの巻き込みや歯飛びが発生(噛み合うタイミングが悪くなる/チェーンピッチとスプロケットの歯山のピッチが合わない)

 

給油

チェーンは構造を見れば分かりますが、多数の金属部品によって構成されています。チェーンが伝動する時には金属部品に負荷がかかったり噛み合いの摩擦が発生する事になりますので摩耗は避けられません。

この摩耗を緩和して長持ちさせるために給油が必要になります。また、給油はグリスでは内部まで浸透しないので潤滑油を塗布するようにしてください。

 

*椿本チェインの場合は梱包時に塗布されているようです。

引用抜粋:椿本チエイン  ドライブチェーン&スプロケット 取扱説明書 P12

(中略)

2) ローラチェーンは、包装する前に塗油されています。(ス テンレスドライブチェーンを除く)この油は、防錆と潤滑 の効果がある高級油を使用しておりますので、運転初期に 起こりやすい摩耗を防ぎ、また潤滑油と親和して耐摩耗性 を確保します

 

給油しなくても良い場合

チェーンは給油した方が長持ちさせられるのですが、給油をしなくても良い(給油してはいけない)場合があります。

 

給油をしなくても良い場合

  • 搬送チェーン(ワークに油が付着してはいけない場合)
  • 粉塵や粉が降りかかる使用条件(油に付着して噛み込み摩耗する)
  • 無給油チェーン

 

チェーンの洗浄

汚れたチェーンや新品チェーンの防腐油などを洗浄する場合には灯油が基本です。

灯油は洗浄能力がありながら、金属やシールにダメージを与えないので最適です。

*シールとはシールチェーンの内部に油の保持目的で組み込まれているゴム製のシールの事です。

 

摩耗の判断

チェーンの摩耗はパット見た感じでは中々判断が付きにくく、たるみ量を調整すれば著しい摩耗が見受けられない限り使い続けられると思ってしまいます。

ここでは、チェーンのどこに注目して摩耗の判断をすれば良いか確認してみます。

 

摩耗判断

  • チェーンの伸び量
  • ローラーの損傷と回転
  • プレートのクラックと摩耗
  • ピンの回転(カシメの緩み)

この中でも、私の経験では「チェーンの伸び」と「ローラーの損傷」の事例が多くありますので、この2点に重点を置いて確認します。

 

チェーンの伸び量

チェーンが伸びるとスプロケットとピッチが合わなくなり歯飛びを起こしたり、「伸び=摩耗」なのでチェーンが切れてしまいます。

チェーンの伸び量判断は、新品の状態から1.5%伸びたら交換です。(椿本チェイン基準)

 

引用抜粋:椿本チエイン ドライブチェーン&スプロケット 取扱説明書

 

チェーンが伸びる原因

チェーンが伸びる原因はピンとブッシュの摩耗です。回転と負荷でピンとブッシュの両方とも摩耗してガタガタ(遊びが増える)になります。

 

引用抜粋:椿本チエイン ドライブチェーン&スプロケット 取扱説明書

 

ローラーの損傷と回転

ローラーはスプロケットと直接触れる部分なので摩耗しやすく、目視で確認し易い箇所です。

 

ローラーの摩耗判断

  • ローラーが回転しない
  • ローラーが凹んでいる
  • ローラーにクラックが入っている

 

引用抜粋:椿本チエイン ドライブチェーン&スプロケット 取扱説明書

 

組立/交換のポイント

組立/交換で重要な事はスプロケットの芯出しとチェーンのたるみ量の2点です。

 

スプロケットの芯出し

スプロケットの芯出しが出来ていないと、チェーンの噛み合いが悪い状態となるので脱線/異音/乗り上げ/偏摩耗が発生しますので注意しましょう。

*スプロケットの芯出し精度は椿本チエインを基準とします(大同工業株式会社も同じ基準です)

 

引用抜粋:椿本チエイン ドライブチェーン&スプロケット 取扱説明書

 

このような方法をメーカーは推奨していますが、実際には状況により「1)水平度」と「2)平行度」が調整や確認が出来ない場合があります。

そう言った場合には「3)スプロケットの同一平面」のみの調整で良いと思っています。

スプロケットが点当たりですき間がある場合はすき間が【軸間距離÷1000】におさまっていれば良いという判断です(これは推奨しているのではなく、仕方がない状況の話です)

 

イメージ図

 

たるみ量の調整方法

チェーンの張り具合はたるみ量で判断します。たるみ量はチェーンの下側で確認します。メーカーにより違いはありますが、3%~4%が適切とされています。【スパン長さ×0.03~0.04=たわみ量】です。

 

イメージ図

 

たわみ量の確認は手で軽く上下させた時の遊びがたるみ量となります。

新品を取付ける場合には馴染みによる初期伸びを考慮して、たるみ量を少なめで【スパン長さ×0.02~0.03=たわみ量】でも良いと思います。

 

イメージ図

 

補足:スプロケット/プーリー芯だし測定器

スプロケットの芯出しについて解説していますが、面倒な芯出し作業を簡易的にするために椿本チエインから「イージーレーザー」と言う、スプロケットとプーリーの自動測定器がリリースされています。

 

引用抜粋:椿本チエイン イージーレーザー

つばきイージーレーザーなら、スプロケットにレーザーを照らすだけで、簡単に心ズレを確認・調整することができます。

 

私は使用したことがありませんが、直尺やストレートエッジなどの長物の測定器が不要ですし、一人作業が可能なので購入を検討しています。

 

まとめ

チェーンは噛み合いの伝動なので、ベルトと違い噛み合っていれば伝動するので摩耗やたるみの判断を甘く見がちです。ですが、摩耗が行き過ぎれば切れてしまうし、たるみ過ぎれば破損やモーター過負荷で機械が停止してしまうかもしれません。日頃の点検と調整はもちろんの事、新規で組立てる時にはスプロケットの芯出しをしっかり行いましょう。

 

*チェーンは機械要素の基礎です。書籍を参考にしましょう。

 

以上です。

キーワードを入力してブログの記事を検索

気になるカテゴリーから記事を検索

この記事で満足できない方はGoogle検索

             

⇩ この記事のシェアはこちらから ⇩

-組立ての技術, チェーン
-, , , , ,

Copyright© 機械組立&制御盤組立の部屋 , 2020 All Rights Reserved.