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電気ドリルでステンレスに穴をあける/ステンレスの特徴と切削油が不要な理由

2019年12月5日

 

今回は「電気ドリルでステンレスに穴をあける/ステンレスの特徴と切削油が不要な理由」についての記事です。

現場作業で穴あけ加工をするときに「ステンレス」と聞けば、皆が嫌がる作業だと思います。

作業をしたことがある人は、感覚的に「ステンレス=穴あけしずらい」と理解しているはずです。

そこで今回は、ステンレスに穴あけ加工がしづらい理由と、穴あけの改善についてまとめておこうと思います。

 

電気ドリルでステンレスに穴をあける

今回は電気ドリルでステンレスに穴あけ加工する時について考えたと思いますが、まずはステンレスの特性/特徴について話を進めます。

 

ステンレスの穴あけ加工を経験した方は実感していると思いますが、ステンレスは加工しずらく穴あけに苦労する事が多い材料です。(特に電気ドリルで穴あけ加工する時は苦労します。)

 

ステンレスの穴あけで起きる事

  • 初めは切れていたのに、直ぐにドリル(キリ)がダメになる。切れなくなる
  • キリを交換しても切れない
  • 切削油を塗布しても、切削し易くならない

 

このような事を感じているのではないでしょうか?

 

ステンレスの穴あけ加工で摩耗し切れなくなったドリル

 

電気ドリルの穴あけの方法

電気ドリルの穴あけの方法についてはこちらの記事をご覧ください。 ⇨ 「電気ドリルで穴をあける方法/手作業の難しさ」

 

ステンレスの特徴

穴あけに苦労する原因はやはりステンレスの特性に起因しています。

ステンレスには様々な種類がありますが、例えば一般的に使用頻度の高い種類のSUS304は鉄を主成分としてクロム18%とニッケル8%を含んでいますので、下記に示す特性となります。

 

ステンレスの穴あけに関係する特性

  1. 粘りが強い
  2. 熱伝導が悪い
  3. 加工硬化性が強い

それぞれの特性について解説します。

 

++補足「粘りの勘違い」クリックで表示++

ステンレスに穴あけをすると「硬い」と感じますが、特性は「粘りが強い」です。

 

1.粘りが強い

粘りの強さは加工をしにくくさせます。「粘る」とは「良く伸びてちぎれにくい」と言う意味です。

つまり、いくらドリルが切削しようとしても「良く伸びてちぎれにくい」ので穴があきずらく、ドリルにかかる負担も大きいので早期摩耗となります。

ドリルが摩耗すれば穴をあける能力は落ちますから、さらに穴があきずらくなります。

 

2.熱伝導が悪い

穴あけ加工によってドリルとステンレスは摩擦によって発熱し、ステンレスの熱伝導が悪い事でドリルの先端に熱が集中して高温になります。

この「高温」が非常に問題となります。私の経験では切削できていない(切れていない)状態で穴あけ加工を続けるとステンレスとドリルが真っ赤(高温)になっている事がありました。

 

高温になり赤くなっている。ドリルの摩耗と加工硬化が起きている

この高温ががなぜ問題なのかと言いますと、「ドリルは高温に弱く高温になると刃がカケたり舐めた状態=摩耗となる」からです。

 

++補足「熱伝導の悪さは精度に影響する」 クリックで表示++

ステンレスは溶接や機械加工で反りや歪が出やすい材料です。私は「見た目は綺麗なのに精度が悪く使えない」と言うこと多く経験してきました。この反りと歪の原因は熱伝導の悪さです。熱伝導が悪く熱が集中する=反り、歪の発生です。ですから単純に考えると精度良く製作する為には、時間をかけて少しずつ高熱にならないような加工する方法となると思います

 

3.加工硬化性が強い

ステンレスは加工硬化性が強い材料とされています。加工硬化とは「応力(力)を与え続けるとその部分が硬くなる」事です。

穴あけ加工の場合ですと、切削できていない(切れていない)状態で作業を続けた時にドリル先端のステンレスが部分的に硬くなってしまいます。

こうなってしまうと、切れるドリルに交換しても材料が硬くなっているので穴をあける事が非常に大変な作業となります。

 

ステンレスの穴あけ加工の改善

ステンレスの特徴を把握したところで、ここからは「穴あけ加工の改善」について考えてみます。

 

電気ドリルを使用して、ステンレスに穴あけ加工をする時ににやりがちな事があります。

 

やりがちな事

  1. 回転数が速い
  2. 切れが悪いドリルを使用している
  3. 切削油を塗布する

 

このような事をやってしまうと、ステンレスの加工は非常に難しい作業となってしまいます。

やりがちな事の3項目がなぜ悪いのか?とその対策をステンレスの特性をふまえて考えてみます。

 

1.回転数が速い

回転数が速いと下記の問題が起きます

  • 発熱量が多くなり、熱伝導が悪いために高温になりドリルが摩耗する
  • ステンレスは粘りがあり切削しにくい材料なので、回転数は遅め傾向が適切です。回転数が合っていないのでドリルのが早期摩耗します。

 

回転数の計算方法については「電気ドリルで穴をあける」に記載してありますので、実際に計算してみますと材料による回転数の違いが分かると思います。

 

対策

  • 意識的に回転を遅めにする
  • 切れ具合を感じながら速度を調整する(SS材やアルミ材のように速くしない)

 

2.切れが悪いドリルを使用している

切れが悪いドリルを使用すると下記の問題が起きます

  • 発熱量が多くなり、熱伝導が悪いために高温になりドリルが摩耗する
  • 切削スピードが低いので、加工硬化が起きやすい

 

対策

  • キリを研ぐ(切れるキリを使用する)
  • ステンレス用のドリル(コバルトドリル)を使用する

 

3.切削油を塗布する

切削油を塗布すると下記の問題が起きます。

  • 切削油は油なのでドリルが材料に食いつきにくくなります。工作機械と違い電気ドリルではドリルを押さえる(送り)力が弱いので、ドリルが滑り切削が進まないので高温と加工硬化が起きやすくなります。(食いつきは悪くなりますがキリ粉の吐けは良くなります)

 

切削油については「電気ドリルで穴をあける」のブログの中で、潤滑作用/冷却作用/反溶着作用の効果があると説明していますが、そう言った効果よりもドリルの食いつき低下が招く結果が上回る事が多々起きます。作業者の気持ちは「切削油を塗布しているのになぜ切れないんだ!」と疑問を感じていると思いますが、私も昔はそう思っていました。しかし理屈を考えると、切削油を塗布すると逆に切削しにくくなる事が理解できると思います。

 

対策

  • 切削油は切削の具合を感じ取りながら、もし効果が無かったり切れが悪くなったと感じたら塗布をやめる
  • 冷却をしたい場合には、連続的に同じドリルを使い続けるのではなく数本をローテーションしたり、切削油/水/パーツクリーナーでしっかりと冷却してから使用する

 

補足:タップ加工

穴あけ加工と違いタップ加工の場合には切削油を塗布する事をお勧めします。

タップ加工はキリ粉の噛みこみによってタップが折れる事が多い為、キリ粉の吐けがスムーズとなるように切削油が必要となります。

 

私の使用している切削油

 

ステンレスの穴あけ加工のポイントまとめ

それでは、ステンレスの穴あけ加工ついて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 回転数は遅めにする
  • 切れ味が悪いドリルを使用しない
  • 切削油は塗布しない。塗布する場合は切れ味を確認しつつ慎重に
  • 熱が集中しないように、ドリルを交換したり冷やしながら使用する

 

以上4つのポイントがステンレスの穴あけに大切だと思います。

 

まとめ

今回は電気ドリルでのステンレス穴あけ加工について考えてみました。回転数/ドリルの切れ具合/切削油の塗布については気を付けて作業をおこないましょう。今まで苦手だったステンレスの穴あけ加工も少しは楽になると思います。

 

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以上です。

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