LMガイドの平行
LMガイドの走り平行度の平行出しについては過去のブログ ⇒ 「LMガイドの従動側の平行出しを素早く行う/ダイヤルゲージ」で解説しておりますが、実はそれだけでは平行出しは完了したとは言えません。
高さの平行
LMガイドの平行には「走り平行度」と実はもう一つ重要な平行があります。
それは「高さ」の平行です。
なぜ高さの平行度が必要なのか?
その理由は、LMブロックが走りながら高さの精度変化を起こすためです。つまりそれでは高性能な直動部品であるLMガイドを使用する意味は無くなってしまいます。
またこの高さの平行度は、走り平行度とは違い「LMガイド基準側/従動側の取付ベースが一体部品の場合は加工精度に依存し、分割部品の場合は加工精度とベースの組立精度が影響する」と言う事です。
走り平行度のようにねじ穴の遊び分で平行の調整は出来ないので、その点に注意が必要です。
高さ平行の測定
高さの平行を測定する方法ですが、測定は走りの平行出しが完了してから高さの平行測定を行いましょう。
その理由は下記の2点です。
- LMガイドを締め付けていない状態は取付ベースに密着していない事なので、高さが不確かな状態である
- 走り平行が定まっていないとダイヤルゲージを走らせる通りとねじ穴が干渉してしまう可能性がある
このような事が考えられますので、走り平行の平行出しが完了してからでしたか高さは測定しても意味がありません。
測定のやり方
測定のやり方はいたって簡単です。
LMレールの穴位置を避けた位置にダイヤルゲージの測定子をセットし、スライドさせながら測定します。
*下記の測定イメージを参考にしてください。
測定結果の良し悪し
高さの平行度の許容差は状況により様々だと思いますので、その都度判断が必要です。
私の経験で、走りの平行度が±0.01で高さを測定すると0.5mmの差がある場合がありました。高さの平行度はねじと穴の遊びで調整できないので、取付ベースの状態がそのまま影響してしまう実例です。その逆に、精度が出ている場合には走りの平行度も高さの平行度も±0.01以下でした。
それでは高さの精度を確保する為にはどうすれば良いでしょうか?
- 設計段階で取付ベースの剛性を十分に検討する
- 機械加工での精度を確保する
私の経験では設計での部品剛性に起因することが多いので、加工し易く組付けても精度が狂わない取付ベースを検討すべきでしょうね。
補足 信ぴょう性
もし高さの平行を測定して、結果が悪かった場合には走りの平行度の信ぴょう性に欠ける事になります。
高さが悪いと言うことは、LMガイドに倒れ(斜め)が生じている可能性があります。倒れは距離に影響しますから、果たして走りの平行度は正確なのか?と言う疑問が生じます。
これは、高さの問題をどのように処理するかによって判断が変わってきます。
測定結果の不確かさ
測定結果が悪かった場合に、基準側と従動側のどちらが悪いのか判断したいのですがこのままではわかりません。
それは基準側と従動側のどちらが変化しても数値が変化するので、どちらの変化で数値が変化したのかが分からない為です。もし原因の追究をするのならば定盤などの平面が確保された基準面にLMガイドの取付ベースを設置して、ダイヤルゲージを定盤にセットし定盤基準でLMレール(取付ベース)の変化量を測定します。
*下記の測定イメージを参考にしてください。
高さの悪さの原因が特定できても、それをどうするのか?の判断が難しい場合が多々あります。それは部品の加工精度に起因する事がほどんどだからです
- 部品の修正
- 再製作
- 設計からやり直す(構造が悪く加工精度が出ない)
修正で済めば良いですが、それ以外ですと、、、、。
私は消耗品などの部品にシムは入れませんが、LMガイドの下にシムを入るような誤魔化しを選択する方もいるかもしれませんね。
まとめ
冒頭でも言っておりますが、「高さの平行の精度が悪ければLMガイドを使用する意味はない」ので走り平行度だけでなく、高さの平行度を測定する事は忘れずに実施しましょう。装置が完成してから精度が悪いと気付いても手遅れになってしまいます。
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以上です。