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ホーローセットのゆるみの対策/止ねじ やイモネジ

ホーローセットとは

ホーローセットは「止ねじ」「イモネジ」「六角穴止めねじ(マイナスやプラス形状の頭もあります)」などとも呼ばれています。

このねじは座が無いので「ねじ先端を相手部品と接触させて軸力を発生」させます。また相手部品に接触させるので先端の形状に種類があります。

代表的な先端の形状は下記の3点です。

  • 平先・・・ねじの先端が平なので相手部品に傷が付かない。調整ねじとして。
  • くぼみ先・・・ねじ先端が円形にくぼんでいる為、くぼんでいない円形の部分が相手の部品に食い込む。スプロケットなど。
  • トガリ先・・・先端が円錐形状に尖っている。相手部品に円錐の窪みなどの溝があれば部品の位置決めと固定が出来き再現性がある。

ホーローセット

 

ホーローセットのゆるみと欠点

ホーローセットはあらゆる場面で使用されており機械/装置に欠かせないねじなのですが、実はこのねじには欠点がありまして「ゆるみが起きやすい」と言う事があります。

ゆるみが起きる使用方法として「特に回転軸と部品の固定に使用される場合にはゆるみが起きる可能性が高い」と言えます。

例えば「モーター」や「コンベア」などをイメージしてください。「プーリー」「スプロケット」「カップリング」「シャフト」などにホーローセットが使用されている場合が多いのではないでしょうか?このような場合は特に注意が必要なのです。

私の経験では装置の輸送と実際の使用で全体の3割程度のねじが緩んでしまう事がありました。

推測ですが「回転運動」と「振動」が影響してゆるみが発生しているのではないか?と感じています。しかしそれを言い出したら、六角穴付きボルトのような通常使用するねじもゆるむはずですが緩んでいない。この違いはどこにあるのでしょうか?

 

締付けに問題があるのでは?

六角穴付きボルトのような通常使用するねじと、ホーローセットの違いについて考えてみたのですが2点の重要な事に気が付きました。

まず1点目ですが「ホーローセットはねじ径に対しての工具径が小さいので、締付けトルクが不足しているのではないか?」と言う事です。

小さい工具で強く締付けると舐める危険性が高まりますので締付けトルクが弱くなってしまう傾向があります。

ねじ径 ねじ種類 六角レンチ径(mm)
M8 六角穴付きボルト 6
M8 ホーローセット 4

 

2点目ですが「ホーローセットにはワッシャーのような座が無いので、摩擦面積が少ない為に緩みやすいのではないか?」と言う事です。

ホーローセットは冒頭でも言いましたように「ねじ先端を相手部品と接触させて軸力を発生」させていますので、通常のねじとは摩擦を発生させている状況が違いますよね。摩擦力が弱ければ当然ゆるみやすくなってしまいます。

このように、ホーローセット特有の締付け具合によってゆるみ易いのではないかと考えたのです。

*ねじの締付についてはこちらの記事をご覧ください ⇒ ボルト/ねじの原理から締付けトルクの算出

 

ゆるみの対策

ホーローセットは「ゆるみやすい」と解説してきましたが、ここからは「ホーローセットはゆるむ」事を前提とした場合の「ゆるみ対策」を考えていきたいと思います。

今回は「ゆるみが発生し易い回転部品に使用する場合」を前提に検討してみます。

  • ホーローセットを2個使用する
  • 長いホーローセットをナットでロックする
  • ねじのゆるみ止め剤を塗布する

例えばこのような案が上げられますが、どの方法が最適なのかさらに掘り下げてみましょう。

 

対策の検討

ホーローセットを2個使用する

ホーローセットを2個使用する場合に考えられることは以下の3点です。

  1. 部品交換時にホーローセットが2個入っている事を知らないと、2個目だけゆるめて部品をバラそうとして部品がバラせない。
  2. 1個目の部品を押さえつける力が2個目を締め付ける事で弱くなる可能性がある。
  3. ゆるみに関しては長いホーローセットを使用している事に近い効果が得られる可能性はある。(摩擦面積が増えるため)

どうでしょうか。

1と2のを考えると望ましくないように思えますね。1の場合はメンテナンス性の問題で、2の場合はそもそもの軸力に懸念がある、と言う事になります。

ホーローセット2個使用のイメージ

*クリックで拡大



ホーローセットをナットでロックする

ホーローセットをナットでロックする場合に考えられることは以下の2点です。

  1. ナットを締め付けるとより緩みにくくなる。
  2. 部品よりホーローセットが飛び出すので使用できる場面が限られる。調整ねじの使い方としては良い。

この方法ですと緩みにくくなるので効果がありそうです。ただ、今回は回転部品に使用すことを前提にしているので2を考えると少し心配ですね。突起が何かに干渉したりひっかっかる事が無ければ良いですが。

ホーローセットとナットでロックのイメージ

*クリックで拡大

ねじのゆるみ止め剤を使用する

ねじのゆるみ止め剤を使用する場合に考えられることは以下の3点です。

  1. ゆるみ止めが使用禁止でない事が前提
  2. バラせなくなる可能性がある
  3. 部品点数が増えず手軽に施工できる

2の「バラせなくなる可能性がある」件はゆるみ止めの強度を低強度か中強度を選択すれば良いと思います。ただしゆるみ止め剤の強度区分によってはゆるみ止めの作用が弱くて緩むかもしれません。

ねじの緩み止め

 

対策と結果

「ゆるみの対策」として3つの方法を考えてみましたが、どう思われましたか?

私は「設計変更が必要なく組立作業のルール化で対応できそう」と言う理由で「ねじのゆるみ止め剤を使用する」を組立作業の新たなルールとして採用する事にし、ゆるみ止め剤の強度は低強度としました。

実は「ねじのゆるみ止め剤を使用する」方法は5年前から導入していまして、低強度のゆるみ止め剤を塗布してからはホーローセットのゆるみの報告は1件もありません。と言う事はそれなりの効果はあったと認識をしています。

 

まとめ

経験上ねじのゆるみは殆どが締め忘れや締付け不足が原因です。今回の場合はゆるみの要素と締付け不足になってしまう事を考慮しました。ねじのゆるみは安易に考えがちですが、笑い事では済まされない基本的な事だと思います。しっかり取り組んで対策しましょう。

以上です。

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