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ボールねじのサポートユニットのナットの緩みと対策/軸受けトラブル

2019年10月25日

 

今回は「ボールねじのサポートユニットのナットの緩みと対策」についての記事です。

ボールねじを使用して回転運動と直線運動を変換する構造はよく見かけますが、その反面トラブルが起きやすいとも言えます。

トラブルの原因の多くは芯出し不足であることが多いのですが、以前私が体験したことに「サポートユニットのナットがゆるむ」ことがありました。

そこで今回の記事では、サポートユニットのナットのゆるみについて、その原因と対策方法を紹介しようと思います。

 

ボールねじとサポートユニット

サポートユニットとは

サポートユニットとは、ハウジング(ケース)にベアリングが組み込まれた軸受ユニットです。

 

ボールねじにおけるサポートユニットには2つの種類があります。

  • 固定側のサポートユニット
  • 支持側のサポートユニット

この中で重要視するべきは、固定側のサポートユニットです。

固定側はボールねじをナットで締め付けてスラスト方向を拘束する部分で、ベアリングはアンギュラベアリングが2個組み込まれておりラジアル荷重とアキシアル荷重を負荷できる構造です。

 

出典:THK サポートユニットカタログ

 

なぜ固定側が重要なのか?

なぜ固定側が重要なのか?と言いますと、下記の2点があげられます。

  • ナットがゆるむことがある
  • ボールねじの芯出しが不十分だと、一番ダメージを受ける部分

このような理由があります。

この中でも、今回の記事にテーマである「ナットのゆるみ」について実例と対策例を挙げて話を進めていきます。

*ボールねじの芯出し方法についてはこちらの記事をご覧ください ⇒ 「サポートユニット/ボールねじ 損傷事例と組立方法」

 

ボールねじのサポートユニットのナットのゆるみ

私は以前、ボールねじのサポートユニットのナットがゆるむことに悩まされていました。

ボールねじの取付けは下記のイメージ図をご覧ください。

 

取付けイメージ

*クリック拡大

 

ナットのゆるみの発見

ナットのゆるみの状況はこうです、、、、

  • 設備点検時(半年から1年周期)にサポートユニットの固定側のナットがゆるんでいる
  • ナットのホーローセットは利いているので適度にゆるんでいる

 

ゆるみのイメージ

*クリック拡大

 

その場の対応

点検時に発見したナットのゆるみですが、応急の対応として下記の2点を行っていました。

  • ナットの増し締め
  • ホーローセットに低強度のゆるみ止め塗布と締付けを行った

 

補足ですが、ボールねじにプーリーが組み込まれた状態だとナットにアクセスするすき間は非常に狭いので工具が入りません、、、

  • 薄口モンキーをさらにグラインダーで削り薄くして使用した

このような方法で増し締めをしました。下記のイメージをご覧ください。

 

対応

*クリック拡大

 

ナットのゆるみを考える

なぜナットがゆるむのか?その原因を考えてみますと、、、

  • ナットの締付け不足
  • ボールねじの回転時の負荷が大きい
  • 装置の特性上、振動が発生している事が影響している

以上のことが推測できましたが、、、原因の特定をする方法がないのでこれ以上は考えようがありませんでした。

 

ナットのゆるみ対策

サポートユニットのナットのゆるみの原因は特定できませんでしたので、次にナットがゆるまない方法について考えてみました。

 

ナットが緩まない対策

  • ナットの締付けが確実にできる方法
  • 特殊ナットを使用する

この2点が考えられました。

 

ナットの締付けが確実にできる方法

ナットの締付けは、ねじサイズから算出して規定トルクで締付けますが、この時にボールねじに必要なことがあります

  • ボールねじに2面カットのような締付けたときにねじが回転しないように、工具で固定できる加工が必要

実は今回のゆるみの事例のボールねじには2面カットはありませんでした。

 

2面カットがないとどうなるのか

  • ねじを直接道具で固定する
  • ねじが滑ってしまう(固定できない)場合がありナットが締付けできない

これでは、適切な締め付けができるはずがありません。

 

ナットの締付け

*クリック拡大

 

そもそもこのような考えの作業者もいます

  • ナットを締付け過ぎると「ベアリングに負荷がかかって良くない」と考える人

上記のイメージ図をご覧になればわかりますが、ベアリングのコロに負荷がかかる事はありません。効くのはインナーレースですのでナットは規定トルクで締付けて問題ありません。

 

特殊ナットを使用する

THKのサポートユニットのナットにはゆるみ止めのホーローセットが付いていますが、このホーローセットには必ず低強度のゆるみ止め剤を塗布しなければいけません。これはTHKの取説に記載があります。

 

今回の事例では、ホーローセットは緩んではいませんでしたので、ゆるみ止め剤の塗布は適切だったと思います。しかし、実際にはそれでも緩んでいるわけでそれでは不十分ではないか考えました。

  • ボールねじの回転時の負荷が大きい
  • 装置の特性上、振動が発生している事が影響している

この懸念が解決していなかったためです。

 

ナットのゆるみ

*クリック拡大

 

そこで、ゆるみに強いナットに変更することを考えてみました。

  • Uナット・・・バネがねじ山の摩擦力を向上させる
  • ハードロックナット・・・ナットを2個使用しクサビ効果を発生させる
  • 精密ロックナット・・・ベアリング固定用の精度が必要な軸に対して有効で、ホーローセットの数も多い。工作機械の主軸など

今回のケースでは、スペースの問題と装置の用途を考え精密ロックナットに変更しました。

 

引用・抜粋 日機株式会社 精密ナット

 

ナットのゆるみ対策のまとめ

サポートユニットのナットのゆるみに対して下記の3項目を対策することにしました

  • ナットの規定トルクでの締付け(ボールねじは2面カット)
  • 精密ナットの使用
  • ホーローセットには低強度のゆるみ止め剤

この対策を実施し以後問題は発生していませんので、ナットのゆるみ対策の効果があったと言えます。

 

ナットの緩みと対策のポイントまとめ

それでは、ナットの緩みと対策について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • ボールねじの固定側のサポートユニットのナットはゆるむことがある
  • ナットの増し締めは、スペースが狭いので薄い工具が必要
  • ボールねじのには2面カットをして、規定トルクで締め付けできるようにする
  • ナットのホーローセットには必ずゆるみ止め剤を塗布する
  • ゆるみが起きる、想定される場合は、Uナット、ハードロックナット、精密ナット、がおすす

 

以上5つのポイントが大切です。覚えておきましょう。

*嫌気性接着剤についてはこちらの記事で解説しています ⇒ 「嫌気性接着剤の使分け/ねじロック/ロックタイト」

 

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以上です。

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