記事の目次
バッフルオイルパンの必要性
バッフルオイルパンとは
オイルパンとはエンジンの一番下にあるエンジンオイルを貯めておく受け皿のことで、このオイルパンに溜まっているオイルはポンプで吸い上げられエンジンの隅々に供給されています。オイルを供給する目的にはエンジンの冷却と潤滑があります。
サーキットを走る場合にはバッフルオイルパンと呼ばれる、「オイルの偏り防止の仕切り板」が取り付けてあるオイルパンを装着するのが一般的です。
出典:TODA S2000バッフルオイルパン
オイルの偏り
バッフルオイルパンはオイルの偏りを防止する役目がありますが、なぜ偏りを防止する必要があるのでしょうか?
それはこんな理由があるからです。
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サーキットのようにGが高い場面では、オイルが偏りオイルを吸い上げられなくなる
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アクセル全開が多くなり高回転を多用すると、オイルの吸い上げ量が増えるのでオイルパンの油量が少なくなる
Gが高いとオイルが偏ってオイルパンの内部の一部ではオイルが少なくなっている状況が発生しています。もしオイルポンプのストレーナー(吸い口)に溜まっているオイルの量が少なくなっていれば吸い上げることができません。そもそも、サーキットではエンジンが高回転となっているのでオイルパンの油量は少なくなっているし、片寄ってストレーナーのオイルが少なくなれば吸い上げる量が増えていることに対応できていないことにもなり、悪循環でしかありません。
オイルポンプ/ストレーナーの状況
オイルが片寄ったり油量が少なくなったりすると、オイルを吸い上げにくくなったり吸い上げられなくなってしまうのですが、そうなってしまうと問題が起きます。
オイルポンプやストレーナはこんな事になります。
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エアを吸い込む
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油圧が低下する
エアを吸い込んだり油圧が低下してしまうと、エンジン内部の潤滑が著しく低下してクランクシャフトやコンロッドのメタルと呼ばれる軸受けが油膜切れを起こして焼付いてしまいます。
俗に言うエンジンブローと言うやつです。こんなことが起きないようにするためにバッフルオイルパンが必要なんです。
オイルパンの選択
オイルパンのクラックと溶接
私のS2000は購入した時からバッフルオイルパンが付いていましたが、ある時オイルパンを外してみたら仕切り板の溶接にクラックを発見してしまいました。
このオイルパンはメーカー不明で、どこかのショップオリジナル品だと思います。
オイルパンのクラック
溶接の割れ
再溶接したらクラックが入ってオイルが漏れた
クラックが入ったままでは使用できないので、TIG溶接機で割れているビート部分を再溶接したのですが、失敗して外側にクラックが入りオイル漏れを起こしてしまいました。
そんな時、仕事でお世話になっているアルミの溶接屋さんからお話を伺うことが出来たのですが結構衝撃的でした。
アルミ溶接の注意点
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中古のオイルパンはオイルを吸っているので、溶接すると沸くので気泡やクラックが入る
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溶接棒に種類があり「強度があるがクラックが入りやすい」「強度は無いがクラック入りにくい」があるので使い分けが必要
- アルミをグラインダーで削る場合、砥石に付着している鉄やステンレスなどのアルミ以外の成分がアルミに付着すると綺麗に溶接できない。砥石は新品を使う。
知らないことばかりでした。やっぱりアルミの溶接のプロ以外には中古のオイルパンを溶接することは無謀だったようです。
TODAレーシングのオイルパンを選択する
今まで使用していたバッフルオイルパンが使用できなくなってしまったので、TODAレーシングのオイルパンを装着することにしました。
TODAレーシングのオイルパンを選択した理由はコレです
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他社と比べて価格が安かった
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センサ取り出し口が1個ついている
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オイルパンの仕切り板がボルト止め
TODAレーシングのオイルパン
3年間サーキットで使用していますが、今のところ問題は起きていません。
ポイントまとめ
それでは、バッフルオイルパンについて重要なポイントをまとめておきます。
ポイント
- サーキット走行にはバッフルオイルパンが必要
- 仕切り板の溶接部分はクラックは入ってしまうことがある
- アルミの溶接は「オイルを吸っているクラックが入る」「アルミの溶接棒は使い分けが必要」「グラインダーの砥石は新品を使う」が重要
以上3つのポイントです。
バッフルオイルパンの仕切りが割れる、クラックが入り事はよくある事だそうです。外す機会があるときには必ず確認してください。
*私が使用しているS2000のTODAバッフルオイルパンの購入はこちらから
関連記事:【S2000/メンテ/セッティング】
以上です。