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【空気圧/油圧】 【回転運動の要素】

空気軸受の特徴と構造【エアベアリングは高精度でクリーン】

2021年7月22日

 

今回は「空気軸受の特徴と構造」についての記事です。

空気軸受(エアベアリング)は非常に高精度な軸受けなので工作機械や半導装置や精密測定機などに使用されています。

今回の記事では、空気軸受についての基本情報をまとめておこうと思います。

 

空気軸受の特徴と構造

空気軸受/エアベアリングとは

空気軸受とは、軸と軸受けの間に圧縮空気を送り込む(静圧案内)または、軸の回転によって軸受け間に圧縮空気を発生させる(動圧案内)ことで非接触で軸を支持できる滑り軸受です。別名エアベアリングと呼ばれます。

*性能面で静圧案内と動圧案内を比べると圧縮空気を送り込む静圧案内の方が優れていますので、今回の記事では静圧案内の空気軸受を前提に紹介していきます。

 

出典:オイレス工業株式会社 エアベアリング カタログ

エアベアリング

 

油膜軸受

空気軸受の仲間としては、軸と軸受けの間に油(油圧)を送り込み非接触とする油膜軸受けがあります。これは、自動車のエンジンのクランクシャフトやコンロッドに使用されているメタルと呼ばれる軸受けが代表的です。このタイプは非接触で半永久的に使用できますが、油圧の低下や油温が高温になると剥離したり焼付くことがあります。

 

エンジンのクランクシャフトのメタル

クランクシャフトのメタル

 

空気軸受の構造

静圧案内の空気軸受の構造で重要なことは、圧縮空気を供給する絞りの形状です。絞りの形状には種類があり、絞りによって流量を制限することで圧力分布や剛性や負荷容量などに違いがあります。

 

代表的な絞りの形状は下記の4種類です。

  • 自成絞りタイプ・・・供給溝の先端に絞りを設けてある
  • 表面絞りタイプ・・・空気軸受の内面に供給の溝がある
  • オリフィスタイプ・・・吸気溝の途中にオリフィス絞りを設けてある
  • 多孔質材タイプ・・・空気軸受の内面に多孔質材を設けて全面からに供給する

 

出典:オイレス工業株式会社 エアベアリング カタログ

エアベアリングの形状

 

静圧案内の空気軸受の特徴

普通、滑り軸受と言えば代表的な「ブッシュ」が思いつきますが、ブッシュの場合は接触して軸を支持するのに対し空気軸受(エアベアリング)は非接触で軸を支持するので特徴に大きな違いがあります。

 

静圧案内の空気軸受の特徴はコレです。

  • 高速での使用が可能
  • 高精度な位置決めが可能
  • 騒音や振動が発生しない
  • 超高精度で回転精度は0.05㎛以下
  • 摩耗がなく半永久的に使用できる
  • 発熱がないので精度が安定している
  • 潤滑が不要なのでメンテナンスが不要
  • 摩擦係数がほぼ0なので摺動抵抗がない(空気の粘性抵抗のみ)
  • 発塵がなく潤滑剤を使用しないのでクリーンルームで使用可能
  • 0.3Mpa~0.7Mpa程度の空気を軸受けと軸の間に供給して軸を支持する
  • 軸を均一な圧力で支持するので軸や軸受けの平面度に左右されず真直度が良好

 

欠点にはこのようなことがあります。

  • 振動の減衰性が低い
  • 供給空気がクリーンでないと焼付きがおきる
  • 供給圧力が低下すると剛性低下と摩耗が起きる
  • 球を使用したベアリングと違い予圧がないので剛性が低め
  • 超高精度なので、空気軸受を取付ける部品の精度は1㎛単位の精度が必要

 

空気軸受(エアベアリング)の用途

空気軸受(エアベアリング)は超高精度なので、精密機器や精密加工の用途に使用されます。

 

例えばこんな機械に使用されます。

  • 工作機械
  • 半導体装置
  • 精密測定機

 

空気軸受のポイントまとめ

それでは、空気軸受ついて重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 空気軸受とは軸と軸受けの間を圧縮空気によって非接触で支持する滑り軸受け
  • 超高精度で半永久的に使用ができる
  • 供給空気のクリーン度と圧力によって剛性や摩耗が影響される
  • 圧縮空気を供給する絞りには種類がある

 

以上4つのポイントが大切だと思いました。参考にしてください。

 

 

関連記事:【回転運動の要素】

以上です。

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