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【精度測定/精度調整】

ピアノ線で仮想の芯を設定する方法【芯出しと据付の基準】

2019年12月4日

 

今回は「ピアノ線で仮想の芯を設定する方法【芯出しと据付の基準】」についての記事です。

私はピアノ線を機械装置の組立作業に使用するのですが、ピアノ線は特徴を把握しておかないと作業効率や精度が低下してしまうことがあります。

今回の記事では、ピアノ線のメリットデメリットなどの特徴から、仮想の芯としてピアノ線を設定する方法について紹介しようと思います。

 

ピアノ線とは

ピアノ線とは、高炭素鋼で高い引張強度がある鋼線です。

ピアノ線の引張強度はおおよそ硬鋼線の1.5倍 ステンレス線の1.3倍程度です。

 

私が普段使用しているピアノ線 0.3mm

ピアノ線

 

組立における目的

組立作業でピアノ線を使用する目的

  • 仮想の芯(線)をピアノ線で表現して、部品やユニットや装置などの取付/設置するときの基準とする

 

何かを取付たり設置する作業には目安となる基準が必要です。位置決めピンや基準面があればよいですが、そのような基準がない場合は自分で仮想の芯を作るしかないのです。

仮想の芯にはピアノ線以外にも水糸、レーザー墨出し器、トランシットも使用することができます。

 

ピアノ線のメリットとデメリット

ピアノ線を仮想の芯として使用する場合のメリットとデメリットをまとめておきます。

 

メリット

  • 強く張れるのでタルミが少なく精度が高い
  • 作業者がピアノ線にひっかっかても簡単には断線しない
  • タルミが少ないので長距離でも使用できる(40mの実績あり)
  • 細いピアノ線を選定できるので、測定時に目盛りが読取りやすい

 

デメリット

  • 芯の設置に時間が掛かる
  • 一度絡まると解くのが大変
  • 腰が強いので扱いにくい時がある
  • キンクしたら曲がりの癖が付き使用できない
  • 張る(引っ張る)ためにはテンション調整治具や巻上げ機が必要

 

このような特徴があり、状況によって都合が悪ければ水糸、レーザー墨出し器、トランシットなどと使い分けをしましょう。

 

ピアノ線で仮想の芯を設定する方法

ピアノ線の張り方には様々な方法があると思います。どのような方法であっても適切に張る事が出来れば問題ありませんが、今回は私が実践している2つの方法を紹介します。

 

ピアノ線を設定する方法

  • 短距離には簡易的治具を使用する
  • 長距離にはハイテンションで張る治具を使用する

 

短距離には簡易的治具を使用する

私が使用している簡易的な治具は、短距離で細目にピアノ線を設定する時に重宝します。

治具には「長めのねじ」と「マルチアングル」と「シャコ万力」を使用します。

 

事前準備が必要なモノ

  • ねじの縦方向にピアノ線より少し大きめの斜め穴をあけておく(2セット必要)
  • マルチアングルなどのブラケットを適度な長さを数個用意する(2セット必要)

 

参考治具

ピアノ線の治具

ピアノ線の治具

 

上記の画像にあるように、簡単で早く設定できるメリットがありますが長距離には不向きです。

 

長距離にはハイテンションで張る治具を使用する

長距離でハイテンションが必要な場合には、巻上げ機と巻上げ機スタンドを使用します。

これは、長距離で太目のピアノ線を張るときに向いています。

 

ポイント

  1. 巻上げ機を使用する事で強力に引っ張る事が可能ですが、巻上げ機の特性上の問題でピアノ線が蛇行してしまい芯の設定が定まりません。その為、スタンドにはピアノ線が蛇行してもズレないような部品が必要です。例えば、溝あり(ピアノ線の位置決め)&芯調整の長穴の部品などです。
  2. 高さ調整が出来る機構も必要だと思います。例えば、スタンドの柱で上下調整をしたり、ピアノ線の蛇行防止部品に高さ調整機構を備え付けても良いと思います。

 

イメージ図

ピアノ線の治具

 

 

ポイントまとめ

それでは、ピアノ線について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 芯の設定として使用できる
  • ピアノ線を張るためには治具が必要
  • ピアノ線は強いので細いものが使用できるため、測定の目盛りが正確
  • 癖が強いので取扱に注意が必要。作業に手間取ることもある

 

以上4つのポイントです。

 

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以上です。

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