今回は「スピードコントローラーとセンサアンプの取付けの基本」についての記事です。
私はスピコンやアンプなどの制御するものは、制御されるモノに直接取付けるか、近くに取付けることが基本だと思っています。
その理由は、「直感で分かり、間違いなくスピーディーに調整ができる」と言うことが挙げられます。
今回は、この考えについてまとめておこうと思います。
エアーのブロックターミナルとセンサアンプ
エアーのブロックターミナルとは
エアーのブロックターミナルとは、配管の継手が取付けられるブロックのことで、エアーの出力元から最終目的地の接続先までの経由地(中継地点)として使用されます。例えば、電磁弁(ソレノイドバルブ)から送られたエアーがターミナルを経由して、そこからエアシリンダまで接続されるような使われ方がされます。
ブロックターミナル
センサーアンプ
センサアンプとは、増幅回路(信号の増幅)、制御回路(出力のON/OFF)を基本とした機器です。センサアンプは、センサヘッドと一体型のアンプ内蔵型センサと、センサヘッドとセンサアンプが分かれているアンプ分離型の2種類があります。
出典:オムロン ファイバーセンサ概要
今回の記事のテーマである「センサーアンプを1箇所にまとめる嫌い」ついて該当するのは、「アンプ分離型センサ」のタイプです。
アンプ分離型センサ、センサヘッドの取付け以外にアンプを機械装置のどこかに取付ける必要があります。
スピコンのブロックターミナルとセンサアンプの取付けの基本
「制御するモノの近くに取付ける」が基本
スピードコントローラーとセンサアンプ(分離型)の取付けは、「制御するモノの近くに取付ける」が基本です。
具体的には下記の2点のことです。
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エアシリンダのスピードコントローラーはブロックターミナルを使用せずに、シリンダ本体に直につける
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センサのアンプは、センサヘッドの近くに取付ける
幾つもあるエアアクチュエータのスピードコントローラーや、幾つあるセンサのアンプを一か所にまとめることは避けるべき、と言うことです
つまり、制御するモノの近くに取付ける効果はコレです
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直感で分かり、間違いなくスピーディーに調整ができるようになる
ではなぜそのような必要があるのか、、、、それについては次項からまとめていきます。
スピコンやセンサアンプを1箇所にまとめる嫌い
スピードコントローラーやセンサアンプを並べておくと、整列していてかっこよく感じますが、実は多くのデメリットがあります。
まとめる嫌い
スピードコントローラーの集約デメリット
スピードコントローラーの集約のデメリットは下記の4点です。
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制御ができない・・・スピコンからエアシリンダまでの距離が離れている
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調整ができない・・・どっちのスピコンがシリンダの出/戻りに作用しているか分からない
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コスト増・・・エアチューブとマニホールドブロックの部品代、作業が増えるため工数が増える
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シリンダとスピコンの組み合わせが分からない・・・見た目では判断できない。表示してあっても、表示とシリンダ、スピコンの組み合わせの確認が必要になる
このようなことが考えられ、特にエアーの圧縮性の特性によって、エアシリンダからスピードコントローラーまでの距離を大きくとると、動作のタイムラグや飛び出し現象などが発生し制御が困難となることが大きな問題です。
もし、エアーではなく油圧であれば、圧縮性がないので出力や動き出しなどの初動に誤差がなく機能としては良いでしょう。ただし、違うスピコンを調整してしまうことはあり得ます。
センサアンプを1か所にまとめるデメリット
センサアンプを1か所にまとめるデメリットは下記の3点です。
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調整ができない・・・センサヘッドから離れていると、センサヘッドを調整しながらアンプの数値確認や設定変更ができない(2人作業が必要)
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破損・・・ケーブルの距離が長くなると、引っ掛けてセンサを破損、ケーブルを潰してしまうなどのトラブルが起きやすくなる
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センサヘッドとアンプの組み合わせが分からない・・・見た目では判断できない。表示してあっても、表示とセンサの組み合わせの確認が必要になる
このようなことが考えられ、特にセンサヘッドとアンプの組み合わせが分からなかったり、一人で調整作業ができないことで作業性が悪いと言えます。
基本は直感で分かりスピーディーに調整できること
このように、スピコンをマニホールドを使用して集約したり、センサアンプを1箇所にまとめることには多くのデメリットがあるため、下記の2点を基本とするのが望ましいのです。
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エアシリンダのスピードコントローラーはブロックターミナルを使用せずに、シリンダ本体に直につける
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センサのアンプは、センサヘッドの近くに取付ける
直感で分かり、間違いなくスピーディーに調整ができるようにすることが、機械装置にもっとも求められることだと思います。
まとめることが絶対ダメではない
ここまでの話しでは、スピコンやセンサアンプをまとめることがダメだと言ってきましたが、実際にはまとめることはありますし絶対ダメではありません。
スピードコントローラーをブロックターミナルで集約するメリット
スピードコントローラーをブロックターミナルで集約するメリットは下記の3点が考えられます。
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メンテナンス性・・・エア回路の途中でバラス方がメンテナンス性が良い場合
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スピードコントローラーの調整のし易さ・・・エアシリンダの周囲が狭く手入らないので、中継地にスピコンを取付ける
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エアーの分岐・・・エアーチューブの本数を少なくしたときや、エアーの共通使用が多い場合
そもそも、ブロックターミナルの望ましい使用方法は、単なるエアーの中継としスピコンはシリンダに直に取付けです。
しかし、デメリットよりも上記の3点を重要視する場合にはスピコンをブロックターミナルで集約することも仕方がないと思います。
センサーアンプを1箇所にまとめるメリット
センサーアンプを1箇所にまとめるメリットは下記の2点です。
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センサアンプの配線のスマート化・・・アンプの親機に子機を接続することで、親機のみの配線となる
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センサの反応状況の視認性・・・センサヘッドの取付け(並び方)に規則性があればアンプをまとめる方が直感的に認識できる
このような目的があり、実際にはセンサアンプをセンサの近くに取付けることよりも、上記2点を優先してアンプをまとめている場合の方が多いと思います。
ここでポイントなるのは、アンプをまとめることは良しとして、そのうえで「直感で分かり、間違いなくスピーディーに調整ができるようにする」を両立するために、まとめたアンプは極力センサヘッドの近くに設置し、かつセンサヘッドの並びとセンサアンプの並び方を一致させて、感覚で理解できるように取付けることです。
このポイントを意識して取付ければ、作業性の向上が図れると思います。
結局は状況によってやり方はいろいろ
まとめることのメリットを考えますと、まとめることが絶対ダメではないと言うことが分かったと思います。
状況に応じで、デメリットとメリットを比べてた時に何を優先するのか?で判断すれば良いと思いますが、基本の考え方である「直感で分かり、間違いなくスピーディーに調整ができるように」と言うことを念頭に置いて判断しましょう。
まとめ
今回は、スピードコントローラーとセンサアンプの取付けの基本についてまとめました。私はこれまでにスピコンもアンプも数多く取付けてきましたが、行き着いた考えが今回紹介した記事の内容です。
見た目が良いからといって、無暗にスピコンやセンサアンプを1か所にまとめることが無いように、何を優先しどこに取付けるのか?を考えて作業をおこないましょう。
*機械制御の参考にいかがでしょうか
関連記事:【センサ/電子機器 】
以上です。