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【空気圧/油圧】

電磁弁は手動操作で切り替えができる【ソレノイドバルブの手動動作】

2020年6月29日

 

今回は「電磁弁は手動操作で切り替えができる/ソレノイドバルブの手動動作」についての記事です。

空気圧や油圧の動力を制御する機器として電磁弁があります。電磁弁は電気の制御によって切り替えを行う方向制御弁ですが、実は手動でも切り替えが可能なのですが知らない人もいるようです。

そこで今回の記事では、電磁弁を手動で切り替える方法を紹介しようと思います。

 

電磁弁は手動操作で切り替えができる

電磁弁(ソレノイドバルブ)とは

電磁弁とはソレノイド(電磁石)を利用して、ソレノイド通電ON/OFFで弁体を切り替える方向制御弁です

*空圧の電磁弁を前提に解説します。

 

切り替え方法

弁体の切り替えは2つの方法があります。

  • 直動式・・・ソレノイドのON/OFFでプランジャー(可動鉄心)と呼ばれる磁性体を可動させて直接主弁を切り替える方式
  • パイロット式・・・パイロットエア(操作する空気)の弁(ポペット弁など)を切り替えて間接的に主弁を切り替える方式

 

イメージ図

5ポート2位置シングルソレノイドの直動式とパイロット式の切り替えイメージ。代表的な電磁弁の構造を参考にしています。

直動式とパイロット式の切り替え

 

電磁弁は手動操作で切り替えができる

ここまでで電磁弁の弁体切り替えイメージがつかめたと思いますが、ここで一つ問題に感じることがあります。

 

問題に感じること

  • ソレノイドをON/OFFさせないと弁体を切り替えることができない

 

制御の観点ではそれで良いのですが、状況によってはそれでは困ることが起きるのです。

  • シリンダを動作させたいが電源消失でソレノイドをONできない
  • IL(インターロック)の都合上タッチパネルで切り替えができない
  • 組立時のエアー配管の接続確認や、メカ調整でシリンダを動作させたい

 

例えばこのように、何らかの理由でソレノイドに通電できない状況で主弁の切り替えをおこないたい場面があります。

実はそのような時のために、電磁弁は手動で主弁の切り替えができる構造になっています。

 

電磁弁の手動操作

電磁弁は直動式でもパイロット式でも手動操作が可能です。

さらに言いますと「空圧」「油圧」「真空エジェクタ」「エアオペレートバルブ」など区別なく、弁体を切り替えている制御弁は基本的には手動操作で切り替えができると考えて良いと思います。

 

 

手動操作の方法はプッシュボタン式とスライド形の切り替えの方法があります

切り替え方法の種類

  • プッシュ式・・・ボタンを押している時だけ切り替えができる
  • プッシュ&ロック式・・・ボタンを押してボタンをロックできる(押したまま固定)
  • スライド形ロック式・・・スライドして切り替える

 

プッシュ&ロック式とスライド形ロック式は便利な反面、切り替えの戻し忘れ(ロックしたまま)が起きることがあり、その後の機械装置の運転でのトラブル原因となります。ロックしたら必ずロック解除を忘れないように作業しましょう。

 

プッシュボタン参考

プッシュ式

SMCのパイロット式電磁弁です。押している時だけ主弁の切り替えができます。

SMCのパイロット式電磁弁

プッシュ&ロック式

CKDのパイロット式電磁弁です。ボタンをおしてレバーを切り替えるとロックできます。

CKDのパイロット式電磁弁

 

手動操作の仕組み

手動動作の補足として、主弁の切り替えの仕組みを代表的なプッシュ式で解説します。

  • 直動式・・・プッシュボタンが直接主弁に作用して切り替えます
  • パイロット式・・・プッシュボタンでパイロットエアの弁に作用して主弁を切り替える方法と、直接主弁に作用する方式があります。

*SMCの空圧用電磁弁を参考に紹介します。

 

直動式の電磁弁の手動操作イメージです。

SMCの直動式電磁弁の手動操作

直動式電磁弁の手動操作

 

パイロット式の電磁弁の手動操作イメージです。

SMCのパイロット式電磁弁の手動操作

直接主弁を切り替えるタイプ

直接主弁を切り替えるタイプ

パイロットエアをONしてで主弁を切り替えるタイプ

パイロットエアをONしてで主弁を切り替えるタイプ

 

ご覧のように、電磁弁のタイプによって手動操作による主弁の切り替え方式には違いがあります。

一概に切り替え方法を説明できないので、構造に疑問を感じたら型式毎にカタログで確認したほうが良いと思います。

 

電磁弁の手動操作の注意

電磁弁の手動操作について注意したいことがあるので説明しておきます。

 

電磁弁はソレノイド通電ON/OFFで弁体を切り替える方向制御弁です。

そのため、ソレノイドの通電の状態によっては手動操作に問題が起きることがあります。

  • 手動操作で主弁が切り替わらない
  • 2位置ダブルソレノイドの切り替えをおこなったが、プッシュボタンを離したら主弁が戻る

 

これは、「ソレノイドによって主弁を切り替えている状態」で「手動操作で主弁を切り替える」と、お互いの作用が邪魔しあうことで起きます。

逆に、「手動操作の切り替えをロックした状態」で「ソレノイドによって切り替える」ような状況でも同じことが起きます。

 

ですから、お互いの操作が邪魔しあわないように電磁弁の切り替えをしなければならないのです。

  • 手動操作ではソレノイドはOFFしておく
  • 手動操作のロックの解除を忘れない

このような点を怠ると、エアーの制御を適切にできなくなりトラブルの原因となりますので注意しましょう。

 

電磁弁の手動操作のポイントまとめ

それでは、電磁弁の手動操作について重要なポイントをまとめておきます。

 

ポイント

  • 電磁弁とはソレノイド(電磁石)を利用して、ソレノイド通電ON/OFFで弁体を切り替える方向制御弁
  • 電磁弁は手動で主弁の切り替えができる構造になっている
  • 切り替えの方式は、プッシュ式、プッシュ&ロック式、スライド形ロック式、がある
  • 手動操作ではソレノイドはOFFして、作業後は切替えのロックを解除すること

 

以上4つのポイントが大切です。

電磁弁の切り替えはソレノイドの通電が必ずしも必要でなく、手動操作で切り替えができます。特に機械装置の試運転立ち上げなどで、ソレノイドを通電できない時には有効ですので、覚えておくと良いと思います。

 

*電磁弁の購入はこちらから

 

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以上です。

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