配管

塩ビ配管の差し込み量と接着/接着剤の塗布と漏れ対策

塩ビ配管の接続方法について

塩ビ配管の接続は「接着」と「塩ビ溶接」の2つの方法があります。

*塩ビ配管と接着剤の種類についてはこちらの記事で解説しています。 ⇨ 「塩ビ配管の種類と接着剤/使分け」

*PP配管の場合は「溶着」と「溶接」の方法で接続します。

 

今回は接着の接続方法(おおよそ40Aまで)についての解説です。*大口径の接続は接着剤の種類と差し込み方法が異なります。

 

塩ビ配管の継手

 

まずは簡単に接続の手順についてまとめておきましょう。

  1. パイプの差し込み量を確定させる
  2. 差込み量を罫書く
  3. 継ぎ手とパイプに接着剤を塗布する
  4. 差し込む
  5. マーキングして完了

私が塩ビ配管を接続する場合はこの5つの手順で進めています。

 

それではそれぞれの作業ポイントを掘り下げていきます。

 

塩ビ配管の接着ポイント

1.パイプの差し込み量を確定させる

パイプの差し込み量は、実はいい加減です。

と言うのは、必ずしも継ぎ手の一番奥まで入れる必要はなく、継手のテーパーが効いて接着できていれば実用可能だと言うことなのです。私のやり方、経験でも一番奥まで入れなくても漏れたことはありません。漏れる場合は差込み量以外の原因があります。

 

配管材メーカーの旭有機材のカタログで確認してみますと、下記の方法が記載されています。

ゼロポイントまでの挿入長さ(軽く挿入して止まる所) + 受口長さの1/3 = 実用可能

引用抜粋:旭有機材 配管カタログ TS接合の施工

接着剤を塗布しない状態での挿入長さ(ゼロポイント)に継手受口ℓ の約1/3をプラスした位置まで挿入すれば実用上充分な耐水圧 強度があることが確認されています。

(中略)

必ずしも継手 のストッパーまで挿入する必要はありません。

 

私の場合はメーカーの方法と違い「継手の受口長さの8~9割まで入っていればOK」としています。

その理由には、配管径が大きくなるほど挿入時の抵抗が大きくなるので、大きな力が必要となりますが、そうなると継手の一番奥まで差込むのに手間取っているうちに接着剤が固まってしまい施工不良となりかねません。

ですから「安定して挿入できる控えめな差込み量」を基準として施工しています。

*ただ、作業者によっては腕力が強く、大きなサイズでも奥まで差込むことができる人もいますので、作業者に応じて差込み量を検討すれば良いでしょう。

 

それでは実際にやってみましょう。

今回は配管サイズVP30で実際に作業を進めます。

測定

*クリック拡大


実用可能な差込み計算:18mm(ゼロポイントまでの挿入長さ) + 15mm(受口長さの1/3)= 33mm(実用可能な差込み量)

私の差込み計算:45mm(受口長さ) × 0.9 = 40.5mm(9割差し込み量)

 

いかがでしょうか。差込み量が大きく違うのですが、どちらも問題がないという所が「パイプの差し込み量は、実はいい加減です。」と言うことになっているのです。

 

2.差込み量を罫書く

差込み量が決定したら、パイプ側にマジックで差込み量を罫書きます。

 

罫書きの目的は下記2点です。

  • 接着剤を塗る範囲を分かり易くする(必要以上に塗らない)
  • 「差込みすぎ」「差込み不足」を防止する

罫書きは数ミリのズレは気にする必要はないので、150mmのサシやメジャーとマジックで手際よく罫書きます。

 

それでは実際にやってみましょう。

前項で差込み量を計算しましたが、その計算値をパイプ側にマジックで罫書きます。

罫書く

*クリック拡大

私の差込み計算:45mm(受口長さ) × 0.9 = 40.5mm(9割差し込み量)

 

3.継ぎ手とパイプに接着剤を塗布する

接着剤の塗布にはポイントがあります。*塩ビ配管と接着剤の種類についてはこちらの記事で解説しています。 ⇨ 「塩ビ配管の種類と接着剤/使分け」

  • 手際よくスピーディーに塗る
  • 接着剤が膜切れしないように均一に塗布する
  • 塗布する順番は「継手」⇒「パイプ」

 

**スピーディーに塗る理由は塩ビ配管用接着剤の特徴に関係しています。

接着剤の特徴は「乾燥して固まる」「塩ビを溶かす」の2つで、塗った瞬間から乾燥し、塩ビが溶けるので素早く差込まないと接着性能が低下してしまうためです。

 

**接着剤の膜切れとは、差し込み面に接着剤が塗れていない部分があることです。均一に全体的に塗布できていないと、差し込みの抵抗が挿入途中で重たくなり罫書きまで差込み出来なかったり、接着が出来ていない部分が発生して漏れの原因となります。

 

**塗布する順番も重要です。

接着剤は継手とパイプの両方に塗布する必要がありますが、初めにパイプに塗布すると、継手に塗布する間に手元に置いておくことになりリスクとなります。リスクとは接着剤が露出した状態なので、液だれや接着剤にウエスなどが付着してしまうことです。

逆に、初めに継手に塗布する場合は、接着剤が露出していないのでパイプに塗布する間に手元に置いておいてもトラブルが起きにくいと言えます。ですから、接着剤の塗布は初めに「継手」でその後に「パイプ」に塗布します。

 

 

それでは実際にやってみましょう。

継手、パイプ共に全体的に均一に塗布します。特にパイプ側は罫書きよりも塗布する必要はないので注意しましょう。

接着剤の膜切れ

*クリック拡大

ウエスを下に敷いて、接着剤が垂れても大丈夫なようにしておきましょう。

 

4.差し込む

差し込みにはポイントがあります。

  • 人手で罫書きの位置まで差込む
  • パイプが抜けてくるので、一定時間押さえ続ける

 

**罫書きの位置まで差込む理由は冒頭でも説明しています通り、漏れの原因になります。

また、罫書きより入りすぎると配管全長が合わなくなり、挿入不足だと配管全長と漏れの問題が起きます。

 

それでは実際に差込んだ様子を確認してください。

罫書きの位置まで差込む

*クリック拡大

 

**パイプは差込むと抜けてくるので注意が必要です。

その理由は、継手の差し込み口がテーパー形状であることです。テーパー形状の継ぎ手にパイプを差込むとパイプが抜ける力が発生しますので、接着が落ち着くまで押さえておく必要があります。

押さえておく時間は「配管径が大きくなるほど」「気温が低くなるほど」「接着剤を沢山塗布するほど」長時間押さえないと抜けてきます。

配管径 50以下 配管径 65以上
抜けやすさ 抜けやすい とても抜けやすい
固定時間 夏 30秒以上 1分以上
固定時間 冬 30秒以上 2分以上

 

実際にパイプが抜けてくるかやってみました。

パイプの抜け

*クリック拡大

 

5.マーキングして完了

普通は差し込み完了で作業は終わりですが、私は差込みが完了したらマーキングをしておきます。

 

なぜマーキングをするのか?その理由は、、、

  • パイプが抜けていないかの確認
  • 接着剤を塗布して差込んだ証拠

 

前項で「パイプが抜けてくるので、一定時間押さえ続ける」と言いましたが、ごく稀に差し込み完了後に抜けてくる場合があります。

そのため「目視で抜けていないか?」の確認ができるように、差し込み後にマーキングしておくと良いのです。

 

実際にマーキングしてみました。

マーキング

*クリック拡大

十字にマーキングして「抜け」と「回転」のズレ対策をする。

 

**塩ビ配管の漏れの原因に「接着剤のうち忘れ」と言うことがあります。普通ではありえないのですが、膨大な配管を施工していると仮で継ぎ手に差込んだ配管をそのまま施工してしまうことがあるのです。

ですから、接着剤を塗布し罫書きまで差込んだ証としてマーキングすることをルール化やルーティンとすれば施工不良が減少すると思うのです。

 

 

余談 ソルベントクラック/ケミカルクラック

旭有機材の配管カタログを読んでいたら「ソルベントクラック」と言う初めて耳にする用語がありましたので、紹介しておきます。

 

引用抜粋:旭有機材 配管カタログ TS接合の施工

接着剤の塗りすぎにご注意ください(ソルベントクラックが発生 し破損する恐れがあります)。低温下での施工は、溶剤蒸気が蒸 発しにくく残存しやすくなるため、注意が必要です(ソルベントク ラックが発生し破損する恐れがあります)。

 

ソルベントクラックとはケミカルクラックなど様々な同意語があるようですが、詳しく調べてみますと今回の要件に該当する記事を見つけました。

 

引用抜粋:クボタケミックス よくある質問 ソルベントクラックとはなんですか?

ソルベントクラッキングとは、ストレスクラッキング(応力亀裂)の一種であり、溶剤(solvent)の加わったときに生じる亀裂現象を特に区別していう。
塩ビ管の場合は、
(1)溶剤の存在(接着剤・防腐剤など)
(2)応力(熱応力・TS接合部の応力・生曲げなど)
(3)低温下での配管の3要因が加わったときに発生することがあります。

*記事の続きはこちらから ⇒ ソルベントクラックとはなんですか?

 

今まではソルベントクラックについて気にしたことはありませんでしたが、気が付いていないだけで問題が起きていたかもしれません。注意したいですね。

 

まとめ

今回は塩ビ配管の差込み量について、私のやり方を解説しました。差込み量については賛否があるかもしれませんが、まずは実際に自分でやってみてどの程度差込みができるか確認すると良いでしょう。

 

塩ビ配管用接着剤の購入はこちらから

塩ビパイプの切断には塩ビカッターがおすすめです。

以上です。

キーワードを入力してブログの記事を検索

気になるカテゴリーから記事を検索

この記事で満足できない方はGoogle検索

             

⇩ この記事のシェアはこちらから ⇩

-配管
-, ,

Copyright© 機械組立&制御盤組立の部屋 , 2020 All Rights Reserved.