組立ての仕事 仕事の思考

機械装置の試運転やデバックの適任者はだれ?/組立と電気と設計

機械装置を仕上げる前提

今回は機械装置の試運転/デバック作業について「どうすれば完成度の高い仕事ができるか」考えてみたいと思います。

まずはそれらを語るうえで前提にしておきたいことがありますので、そちらから説明していきます。

 

 

それは「機械装置は何となくの状態や不安定さの中にあってもスイッチを押せば稼働するもの」だと言うことです。

ぎこちない動きでも、辛うじてかみ合っている状態でも、センサがチャタっていても、製品(ワーク)を損傷させても、、、動いてしまうのが機械装置です。

つまり、機械装置の完成度を高めるためには「動くからいいや」などと言う感覚では困るのです。

 

そして私には理想的な試運転/デバックのやり方があります。

それは、設計と制御の不安要素を是正し、メカ調整によって調律。加えて自己満足ではなく「作業者目線で仕上げる」です。

 

今回はこの考えを前提として試運転デバック作業について解説しようと思います。

 

試運転/デバック作業の完成度

機械装置を新規で組立てたり、改造した場合に通常は試運転とデバックをおこないます。

こちらの記事で ⇒ 「機械調整や装置調整の立上げ/組立がやるべき事」 で解説しましたが、機械装置を安全に適切に運用するためには欠かせない作業です。

 

この試運転/デバック作業は組立、ソフト(電気)、設計(メカ)の3者が協力しなければ完成度の高い機械装置が出来上がりません。

しかし、現実には試運転/デバックが「上手くいかない」「上手くいっていない」場合が多くあり、そのようなことを相談されたり、耳にしたり、私が直面したりします。

 

では、その上手くいかない理由な何なのでしょうか?

 

大抵の場合は、試運転/デバック作業を「組立(メカ)が主導権を握っていない」ことが原因です。

つまり「ソフト(電気)や設計(メカ)が主導権を握っている」場合は上手くいっていないことがあるのです。

 

*私が「上手くいっている」と「上手くいっていない」を判断する基準は下記の3項目です。

  • 試運転/デバックにかかった工数
  • メカ精度の高さ
  • チョコ停/バグの少なさ

ソフトや設計が主導権を握っていると上記項目の評価が悪いことが多いのです。

そして、試運転/デバック作業の過程では「上手くいっているのか?いっていないのか?」の判断が難しく、当事者も気が付いていないので最終的に取り返しのつかない事体を招くことがあります。

 

取り返しのつかない事体とは?

試運転/デバックの完成度が低いとどのようなことが起きるのでしょうか?

 

 

私の経験を抜粋しますと、、、こんなことが発生します。

  • ねじの締め忘れ
  • 予期せぬ操作によってクラッシュする(インターロックが不十分)
  • 可動部にエアー、電線が干渉して損傷し故障
  • ダマ停で稼働不能に陥る
  • 品種違い(段替え)による製品の品質低下(すべての品種の確認と検証をしていない)
  • メカ調整不足でチョコ停が頻発する
  • センサの検出が不安定で異常停止する(センサの調整不足)

 

このようなことがおきますと、客先納入後に信用問題に発展し、会社の運命を左右する事態になりかねないのです。

 

試運転/デバックは誰が主導権を握ってやるべきなのか?

前述でも言っていますが、私は試運転/デバック作業は「組立」が主導権を握ってやるべきだと思っています。

 

その理由には、「組立は現場目線」であることが挙げられます。

 

 

それは、自分で組み立てたので機構構造や精度を理解しているため異変に気が付きやすいく、客先での立上を組立が担うことが多いので経験豊富で動くモノの良い状態と悪い状態を直感的に判断でき、使用する側(客先)の使い勝手を考慮できると言うことです。

それ以外にも、試運転をしている状況は、組立作業が完了している状態なのでの組立の負荷が少なく全体に目が行き届くので、試運転デバック作業をまとめる役割を担うことができるでしょう。

そういったことで、組立が主導権を握ることで制御(ソフト)とメカ的構造(設計)を是正したり改善することがスムーズに進むと思うのです。

 

ただし、組立はソフト制作や設計はできないので、「気づき」や「案」はありますが、そこから先はソフトと設計と協力して進むしかありません。

 

3者を比べてみる

ここで一度整理しておきたいと思います。

組立/ソフト/設計の3者の特徴を比べておきましょう。

試運転/デバック作業の主導権を握ってまとめることができる最適な役割の人は誰でしょうか?

 

*私の独断で評価しています。

組立 ソフト(電気) 設計(メカ)
試運転/デバック作業の負荷 少ない 多い 少ない
得意な事 メカ調整 デバック 設計が関わる対応
構造の熟知度
組付け精度の把握
ソフト制作/変更 × ×
制御管轄の動作や安全性の改善案
メカ調整
設計対応 × ×
設計の問題解決案
部品の追加工
精度測定/能力測定
動作中の異変に気が付く
装置の制御方法の把握
作業者(客先)目線

 

それぞれの役割に特徴がありますね。

では組立以外のソフトと設計について考えてみましょう。

 

ソフトが主導権を握る

ソフトの心情としては「機械装置の動きを最優先で確認したい」思惑があります。

 

 

機械装置の「動き」は制御によって生まれるわけで至極当然なことでしょう。ですが、その思いが先走りすぎると「動くか、動かないか」の視点でしか捉えることができなくなり、例えば干渉に気が付かなかったり、可動部の繊細な調整に意識が向かなかったりします。

これは私が見てきたソフト屋さんの8割はこのタイプでした。

つまり私が言いたいことは、ソフト屋さんにはデバックに専念してもらい、作業の指示やまとめ役は組立が行うほうが良いと思うのです。

 

*繊細な調整とは制御によってコントロール可能なモーター関係の加減速や、メカ的調整によって可能な部品の位置関係やスピコン調整などがありますが、制御にかかわる調整すらも見失っている場合は往々にしてあります

*私は組立だけでなくロボットプログラム制作もしますから、ソフト屋さんの気持ちは重々理解しているつもりです。

 

設計が主導権を握る

設計(メカ)の視点はオールマイティです。メカと制御の両方に理解がなければ、そもそも設計することはできません。

 

 

では、オールマイティの視点を持っている設計が試運転/デバックの主導権を握るとどうなるでしょうか?

私が見てきた設計の方たちの多くは「自分が設計した気になる特定の部分に注目」し、機械装置の仕上がりについて隅々まで気にかけることがありません。それは、現場経験が少ないがゆえに感性が不足していることも関係しているかもしれません。

 

例えば、「この部分はこの程度でいいんで」などと言った発言良く耳にします。機械を熟知しているために「この部分はこの程度でも大丈夫」などと言う感覚があるのでしょうか、、、。そういった油断が後にトラブルの原因に繋がることもあります。

また、組立からすると「この部分はこの程度でいい」と言う感覚はあまりなく、新規で組立てる場合は全てを完璧にしたいと思っています。それは、組立段階で「手抜き」をしたとして、試運転した時に設計通りに動くか予測が立たないからです。

 

ですから、設計が主導権を握るとオールマイティな視点の持ち主なのに、全体を評価することは得意ではないと思うのです。

 

試運転/デバックの最適任者

ここまでで組立/ソフト/設計の3者について試運転デバック作業の主導権を握ってまとめるのはどの役割の人が最適なのか考えてきましたが、私の考えは一貫して「組立」が最適だと述べてきました。

しかし、裏を返せば「現場目線」であればどの役割の人であっても良いとも言えるかもしれません。

 

 

現場目線、、、これはどれほど多くの現場を経験し、苦労してきたか。

上手くいかなかった現場の数だけ「現場目線」が鍛えられる。

 

古く遅れた考えなのかもしれませんが、、、今のところの私の答えはこれでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はかなり偏った私の考えを述べてみました。

最終的に言いたかったことは「試運転デバックの主導権を握ってまとめるのに最適なのは現場目線を持った人」と言うことです。

機械装置と一口に言っても千差万別、会社の社風も様々。ですから、私の考えが共感されるとは全く思っていません。しかし、このような考えを持った組立工もいるのだと認識はしていただきたいですね。

 

以上です。

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